バローロ、バルバレスコにキアンティなど。イタリアワインには世界的に有名なワインがたくさんあります。なかには上質でスケールの大きな最高級ワインも。
ヴィーノハヤシのイタリアワイン通信講座第12回では、そんなイタリアの偉大なワインを取り上げます。
葡萄、テロワール、造り手のすべてが最高の成果を発揮したときに生まれる偉大なワイン。イタリアを代表する偉大なワイン銘柄と代表的な生産者をご紹介します。
イタリアワイン通信講座全体の内容・ワイングラスについて
イタリアワイン通信講座第1回(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)
イタリアワイン通信講座第2回(ピエモンテ州)
イタリアワイン通信講座第3回(リグーリア州/ヴァッレ・ダオスタ州)
イタリアワイン通信講座第4回(エミリア-ロマーニャ州)
イタリアワイン通信講座第5回(ヴェネト州/フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州)
イタリアワイン通信講座第6回(ロンバルディア州)
イタリアワイン通信講座第7回(トスカーナ州)
イタリアワイン通信講座第8回(マルケ州/ウンブリア州)
イタリアワイン通信講座第9回(アブルッツォ州/モリーゼ州)
イタリアワイン通信講座第10回(サルデーニャ州/シチリア州)
イタリアワイン通信講座第11回(ラツィオ州/カンパーニア州)
イタリアワイン通信講座第12回(偉大なワイン/バジリカータ州/カラブリア州/プーリア州)
・ヴィーノハヤシインタビュー記事
ワインのサブスクで成長中!ヴィーノハヤシで聞いてきた
世界のワインが旅マガジン付きで届く!「ワインプラネット」中の人に聞いてみた
目次
偉大なワインとは
何をもって「偉大なワイン」というかは、ワイン好きなら議論が止まらなくなると思いますが、ヴィーノハヤシの通信講座では、偉大なワインの共通点を以下のように定義しています。
- 複雑でスケールが大きく気品のある香りと味わい
- 土地やブドウ品種の個性が表現されている
- 長期熟成を経ることにより真価を発揮する
さらに大切なのが、「ブドウ品種」「栽培される土地」「生産者」です。3つの要素すべてが最高の成果を発揮したときに生まれるのが「偉大なワイン」であるとしています。
イタリアを代表する7つの偉大なワインと生産者
偉大なワインの共通点がわかったところで、実際のワイン銘柄の紹介です。7種すべてDOCG格付けです。
複数の生産者が同じワイン銘柄を造っていて、味わいにはかなり差があります。講座では、代表的な造り手として28の生産者が挙げられています。
バローロ
イタリアワインの王様、DOCGバローロです。ネッビオーロ100%で造られる、しっかりした骨格で男性的な印象のワイン。長期熟成可能な、まさにイタリアを代表する偉大なワインです。
神の雫の第六の使徒となったルチアーノ・サンドローネや、同じく漫画に登場したジャコモ・コンテルノなどの生産者が有名です。
関連記事:最も入手しやすい使徒!バローロの巨匠ルチアーノ・サンドローネ
生産地:ピエモンテ
葡萄品種:ネッビオーロ
規定等:最低熟成期間3年(うち2年は木樽)、リゼルヴァは最低5年熟成
生産者:ジャコモ・コンテルノ、バルトロ・マスカレッロ、ルチアーノ・サンドローネ、ロベルト・ヴォエルツィオなど
バルバレスコ
バローロと並んでイタリアを代表する銘柄、DOCGバルバレスコ。同じくネッビオーロ100%ですが、バローロよりも女性的な印象で、エレガントさが際立ちます。もちろん長期熟成に耐える偉大なワイン。
ブルーノ・ジャコーザとガヤが、伝統的な生産者の二大巨頭です。
生産地:ピエモンテ
葡萄品種:ネッビオーロ
規定等:最低熟成期間2年(うち9ヶ月は木樽)、リゼルヴァは最低4年熟成
生産者:ガヤ、ブルーノ・ジャコーザ、ラバヤ・ディ・ブルーノ・ロッカ、ラ・スピネッタなど
アマローネ
陰干ししたぶどうから造られる偉大なイタリアワイン、DOCGアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラです。
糖度を上げてから醸造されるので、アルコール度数は14度以上と高め。さらに多くは甘味も残っていて、複雑で濃厚なワインとなります。
神の雫にはベルターニが登場しました。中華料理(北京ダック)と合わせていましたね。炒飯にもおすすめ。確かにこの濃厚さなら中華にも負けません。
生産地:ヴェネト
葡萄品種:コルヴィーナ、ロンディネッラ
規定等:収穫後陰干ししたぶどうを使用、アルコール度数は14度以上
生産者:アッレグリーニ、ジュゼッペ・クインタレッリ、ベルターニ、スペーリなど
キャンティ・クラッシコ
イタリアで最も有名なサンジョヴェーゼ主体のワインであるキャンティから、歴史的な生産エリアだけを独立させたのがDOCGキャンティ・クラッシコです。
世界的な人気で粗製濫造され、“トスカーナの安ワイン”みたいなイメージがついてしまったキャンティの復権のため、規定を厳しくして高品質化を目指しました。
神の雫にもいくつかのキャンティ・クラッシコの生産者が登場。なかでもバローネ・リカーゾリは質が良くおすすめです。安価ですし。
生産地:トスカーナ
葡萄品種:サンジョヴェーゼ
規定等:サンジョヴェーゼ80%以上使用、最低熟成期間11ヶ月
生産者:バローネ・リカーゾリ、サン・ジュースト・ア・レンテンナーノ、カステッロ・ディ・アマ、マッツェイなど
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
バローロ、バルバレスコとともにイタリアの三大赤ワインと呼ばれるのが、DOCGブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。ブルネッロから造られるイタリア最高級ワインのひとつです。
ブルネッロはサンジョヴェーゼ・グロッソの別名で、ミネラル感があり、凝縮した複雑なワインになります。
神の雫では、ポッジョ・ディ・ソットのブルネッロ・ディ・モンタルチーノが第九の使徒に選ばれました。イタリアワインを知るなら必ず飲まなければならないワインです。
関連記事:ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの魅力!神の雫使徒「ポッジョ・ディ・ソット」を紹介
生産地:トスカーナ
葡萄品種:サンジョヴェーゼ・グロッソ(ブルネッロ)
規定等:最低熟成期間4年(うち2年は木樽)、リゼルヴァは5年(うち2年は木樽)、アルコール度数13%以上
生産者:ビオンディ・サンティ、カーゼ・バッセ、ポッジョ・ディ・ソット、クパーノなど
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ
「モンテプルチアーノの高貴なワイン」という意味のDOCGヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ。トスカーナにある小さな街ながら、世界的に有名なのはこのワインがあるからですね。
プルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョヴェーゼの亜種)主体で造られ、キャンティよりも酸味が穏やかで果実味があります。エレガントさを感じるワインです。
生産地:トスカーナ
葡萄品種:プルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョヴェーゼ)
規定等:サンジョヴェーゼ70%以上使用、最低熟成期間2年(うち1年は木樽)、リゼルヴァは3年(うち1年は木樽)
生産者:コントゥッチ、アヴィニョネージ、ポリツィアーノ、ボスカレッリなど
タウラージ
南イタリアのキングと呼ばれるDOCGタウラージ。タンニン豊富で非常に力強く、スパイシー。長期熟成したものはエレガントさを持ち、上品で奥深いワインとなります。
ほぼアリアニコ種100%で造られ、石灰質な土壌で栽培されるため、ミネラルを含んだワインになります。
生産地:カンパーニア
葡萄品種:アリアニコ
規定等:アリアニコ85%以上使用、最低熟成期間3年、リゼルヴァの最低熟成期間4年以上
生産者:マストロベラルディーノ、サルヴァトーレ・モレッティエーリ、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ、ルイジ・テッチェなど
テイスティングワインはサンジョヴェーゼとプリミティーヴォ
ヴィーノハヤシイタリアワイン通信講座第12回のテイスティングワインは、キャンティ・クラッシコとピニャターロ・プリミティーヴォでした。
・キャンティ・クラッシコ ポデーレ・カンプリアーノ / Chianti Classico DOCG PODERE CAMPRIANO
・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア ピニャターロ・プリミティーヴォ タガーロ / Primitivo di Manduria DOC PIGNATARO Primitivo TAGARO
毎回学習する「州」が決まっていて、その州から2本選ばれるのが通例でしたが、最後はちょっと変わった構成ですね。バジリカータ州・カラブリア州・プーリア州を学習したのに、トスカーナ州のキャンティ・クラッシコが入ってますから。プリミティーヴォはプーリア州のものでしたが。
講座のテーマが「偉大なワイン」だったので、そのなかからキャンティ・クラッシコをということでしょうかね。
キャンティ・クラッシコ ポデーレ・カンプリアーノ
まずはキャンティ・クラッシコから。造り手のポデーレ・カンプリアーノは、農薬や化学肥料を一切使用しない自然な醸造を徹底していて、樽の風味付けもしないそうです。土地と葡萄の力を信じ、人の手をなるべく加えないことが信条だとか。
栽培はサンジョヴェーゼのみとのことで、すごいこだわりですね。当然ワインもサンジョヴェーゼ100%。
講座についてくるワイングラスで飲み比べます(写真左が1番)
グラスに注ぎます。色はガーネット。
香りはバラ、コーヒー、ハーブ、キンモクセイ、硫黄、ミント。2番の小ぶりのブルゴーニュ型が一番香ります。なんかちょっとグレープ味のガムみたいな香りがするんですが、これなんだろな。林ソムリエのコメントにもない。(バラ、ローズマリー、コーヒー、チョコレート、毛皮、獣臭とのこと)
舌をまろやかに流れていくタンニンと、優しい酸味が心地良いです。これは肉に合わせたいワインですね。
4番のグラスが一番タンニンを感じ、ボルドースタイルの印象に近くなります。なんとなく華やかな方が次の一杯に手が伸びるので、合うグラスは2番のボージョレ(小ぶりブルゴーニュ型)グラスかな。
プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア ピニャターロ・プリミティーヴォ
2本目はDOCプリミティーヴォ・ティ・マンドゥーリアです。アメリカではジンファンデルとして知られるプリミティーヴォ。果実とスパイシーさが特徴の品種です。
造り手は、プーリア州ロコロトンドの生産者タガーロ。ロコロトンドはイタリアで最も美しい村の1つと言われているそうです。
ではテイスティング。講座についてくる4種類のワイングラスで比較します。
色はガーネットであまり透けません。濃いです。
香りはカシス、ブラックベリー、コショウ、インク、鉄。香りからも濃いワインというのが伝わってきます。
味わいは、果実味たっぷりで凝縮感アリアリです。タンニンも豊富ですが、舌に残らないので不思議と重さは感じません。余韻も長め。
グラスによる差はあまり感じないですね。初めてかも?
これまで講座で24本のワインを飲んだことになるのですが、グラス4種のなかで「大ぶりのブルゴーニュグラスはわりと難しい」と思いました。
飲むワインによるのでしょうけど、味のまとまりが崩れてしまう感じがよくありました。小ぶりのブルゴーニュ型(ボージョレグラス)の方が、香りと味わいをしっかり感じ取れることが多かったです。
きっと、香りや味わいがもっと複雑な高級ワイン向きのグラスなんでしょうね。
普段使いに5000円くらいまでのワインを飲むなら、2番のボージョレグラスの使い勝手がとても良くおすすめです。ショットツヴィーゼルは価格もお手頃です。
イタリアワイン講座第12回のカリキュラム
ヴィーノハヤシイタリアワイン通信講座第12回のカリキュラムです。バジリカータ州・カラブリア州・プーリア州を学習し、イタリアの偉大なワインが冒頭の特集となっています。
- 偉大なワインについて
- 偉大なワインのつくり方
- バジリカータ州・カラブリア州について(エリア説明)
- バジリカータ州・カラブリア州について(ぶどう栽培)
- プーリア州について(エリア説明)
- プーリア州について(ぶどう栽培)
- プーリア州を代表する銘柄
- バジリカータ州を代表する銘柄
- カラブリア州を代表する銘柄
- 上級者の古酒選び(コラム)
- アッビナメントのヒント(ドルチェ)
このほか、今月のワイン生産者のポデーレ・カンプリアーノとタガーロについての説明があります。
さて、1年にわたったヴィーノハヤシのイタリアワイン通信講座が終わりました。感想は「大満足」です。
いやまあ、毎回4種類のワイングラスで飲み比べるのはけっこう面倒ですし(洗うの大変)、講座本を読むより、はよ飲みたい!って思うことも多々あったのですが笑
家でワイン飲むときって、一日が終わった後なので、さっさとうまいワインと飯で一杯やりたいんですよね。でもそこをグッとこらえて、教材とワイングラスをセットし、しっかりワインと向き合う準備をしてから飲む。この「儀式」が大切。
やはり、こうやって講座形式で情報を整理していくことで、覚えていけるんですよね。
なんとなく目に付いたワインを買うばかりではなく、一度こうやってテーマを決めて集中的に覚えると、ワイン選びがさらに楽しくなります。普段のワインに月2本だけちょっとプラスするヴィーノハヤシのイタリアワイン通信講座は、そんなに気負わずワインの学習ができるのでおすすめです。
料金や特典など、最新情報のチェックはこちらで
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