ヴィーノハヤシのイタリアワイン通信講座第4回は、「ブドウがワインに変わるまで」が大テーマ。ワインの醸造について詳しくまとめてあります。
2本のテイスティングワインは、エミリア=ロマーニャ州のもので、生産者もぶどう品種も同じ。木樽熟成とコンクリートタンク(セメントタンク)熟成による味わいの違いを確認できるようになっています。
実際に飲み比べてみると、どう違うのか。講座内容とともにレビューします。
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【Vino Hayashi公式】自宅で学べるワイン通信講座
イタリアワイン通信講座全体の内容・ワイングラスについて
イタリアワイン通信講座第1回(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)
イタリアワイン通信講座第2回(ピエモンテ州)
イタリアワイン通信講座第3回(リグーリア州/ヴァッレ・ダオスタ州)
イタリアワイン通信講座第4回(エミリア-ロマーニャ州)
イタリアワイン通信講座第5回(ヴェネト州/フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州)
イタリアワイン通信講座第6回(ロンバルディア州)
イタリアワイン通信講座第7回(トスカーナ州)
イタリアワイン通信講座第8回(マルケ州/ウンブリア州)
イタリアワイン通信講座第9回(アブルッツォ州/モリーゼ州)
イタリアワイン通信講座第10回(サルデーニャ州/シチリア州)
イタリアワイン通信講座第11回(ラツィオ州/カンパーニア州)
イタリアワイン通信講座第12回(偉大なワイン/バジリカータ州/カラブリア州/プーリア州)
・ヴィーノハヤシインタビュー記事
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目次
イタリアワイン通信講座第4回のカリキュラム
一番大きなテーマは、ワインの醸造のなかでも、「発酵や熟成に使う容器の違いによるワインへの影響について」です。木樽(大樽・小樽)、ステンレスタンクやセメントタンクの特徴に大きくページが割かれています。
ほか、テイスティングのやり方として、赤ワイン・白ワインそれぞれの香りについても、イラスト付きで詳しく書かれています。
- ワインの醸造
- アルコール発酵
- マロラクティック発酵(MLF)について
- ワインの熟成
- 熟成容器の違いとワインへの影響
- 木樽の新旧とトースト(焼き)加減について
- エミリア=ロマーニャ州について(エリア説明)
- エミリア=ロマーニャ州について(ブドウ栽培)
- エミリア=ロマーニャ州を代表するワイン銘柄
- 価値を高めるワインの保管(コラム)
- 知っておきたい状態不良のあれこれ(コラム)
- 状態不良ではないワイン例
- テイスティングのヒント(嗅覚編)
カリキュラムは、上記に加えて、今月のワイン生産者「Nicolucci(ニコルッチ)」の説明が載っています。
ニコルッチのサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャをテイスティング
今回試飲するワインは2本とも同じ生産者「ニコルッチ」の赤ワイン。葡萄もどちらもサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ100%で、同じです。
違いは熟成容器です。今回のテイスティングテーマは、セメントタンク熟成と木樽(大樽)熟成による味わいの違いを見るもののようです。
ちなみにサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャは、お隣のトスカーナで造られるサンジョヴェーゼとは違う品種です。キアンティとはまた違った味わいということですね。
ニコルッチ・イ・マンドルリ/Nicolucci I Mandorli
1本目のワインは、ニコルッチ・サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ・スーペリオーレ“イ・マンドルリ”です。
Nicolucci Sangiovese di Romagna DOC Superiore “I Mandorli”
こちらのワインはセメントタンク熟成です。ワイン熟成の容器といえば、ステンレスタンクか木樽で行われることが多いですが、歴史としてはステンレスよりもセメントタンクが長いです。
通常、ワインを長期熟成させたい場合はオーク樽(木樽)を使います。そして木樽熟成させたワインには樽の香りがつきます。一方ステンレスタンクは樽香はつかず、透気性がないので長期熟成には向きません。
これらの特性から、「熟成はさせたい、しかし余計な香りをワインに付けたくない」という場合に、両者の中間のセメントタンクが使われます。私は樽香が大好きですが、いろいろな考え方がありますね。
さて、そんなセメントタンク熟成の「イ・マンドルリ」。まず色は明るいルビー。グラスから香るのは、バラやスミレ、若干のコショウかな?
飲んでみると、果実味がすごくあります。だけど酸味は尖ってなくてまろやかです。いわゆるミディアムボディのワインのお手本といった感じ。奥深さはないですが、軽めで綺麗な酸味がうまくまとまっています。
こういうワインはチャーミングって表現になる。ランチにぴったりです。飲み疲れしないので、昼間からサクッと開けたいワインです。
林ソムリエが取った香りは、レッドカラント、スモモ(熟していない)、野バラ、スミレ、ゼラニウム、茎っぽさ、ピンクペッパー。相変わらず多い……。
私の取った香りは、スミレは同じですが、バラは野バラ、コショウはピンクペッパーになっています。うーん、バラと野バラの違いがわからない。あと、ゼラニウムってどんな香りだったっけ?ホームセンターに売ってるかな。
あ、グラスによる違いはそれほど大きくなかったです。ですが、これまでどんなワインでも合ってきた、ボジョレーグラスがそれほど活躍せず。一番右の4番、大きめのボルドータイプがよく合っていました。
ニコルッチ・トレ・ロッケ/Nicolucci Tre Rocche
2本目は、ニコルッチ・サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ・スーペリオーレ“トレ・ロッケ”です。
Nicolucci Sangiovese di Romagna DOC Superiore “Tre Rocche”
1本目のイ・マンドルリと同じくサンジョベーゼ・ディ・ロマーニャ100%ですが、こちらは木樽熟成のもの。お値段も2割ほど高い4104円。深みのあるワインを楽しむならこちらでしょう。
色はガーネット。香りはブラックベリー、バラ、ジャム、スパイス、ミント。樽はほんのり。グラスにより強弱はありますが、だいたいこんな感じ。活躍の場がなさそうだった一番左の小ぶりのボルドーグラスから、一番好ましい香りがします。ナゼだ。
一口飲むと、あーこれは旨い。シルキーな舌触りで、エレガント系。酸味もありますが、カドが取れていて尖った感じがありません。ボルドーでいうとマルゴー。1本目のイ・マンドルリより明らかに複雑味があります。
3日に分けて飲みましたが、2日目以降はさらにまろやかになっていて、レベルの高さを感じました。濃いだけのワインではなく、酸味もあって、とにかくエレガントです。
林ソムリエはやっぱりより多くの香りを取っています。樽はコーヒー、ほかにシナモンやピーマンもあるとのこと。私がミントと思ったものは、メンソールだそうで。いやこれ、どういう時に使い分けるの……?わからんー。
香りに続いて味わいでもやっぱり1番の小ぶりのボルドーグラスがおいしい。ワインがしっかりまとまって流れ込むんですよね。こういう華やかでタンニンもあるワインは、大きめのボルドーグラスが合うと思っていたのですが、あまり大きいと口のなかで広がってワインの味がぼやけてしまいました。
いつも私は大ぶりのワイングラスで赤ワインを飲んでいます。今回、小さなグラスが一番合っていたのは良い発見でした。ほんとワインは奥が深い。
エミリア=ロマーニャ州について
エミリア=ロマーニャ州は、イタリアのくびれているところ、トスカーナ州の北に位置します。西側のエミリア地方と東側のロマーニャ地方が一緒になってエミリア=ロマーニャ州です。
州都はボローニャ。ボロネーゼパスタが有名ですね。ほかにフェラーリやランボルギーニなどの本社があるモデナ県もあり、まあ金持ちの州です。生活水準が高く、美食の州として知られていて、都市パルマの生ハムやパルミジャーノ・レッジャーノチーズなど、世界的に有名な特産物が多くあります。
世界遺産になったキリスト教建造物群などもあるので、ワイン好きでなくともぜひ観光で行ってみたいところですね。
エミリア=ロマーニャ州のワイン
ヴィーノハヤシの通信講座では、サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャのワインが選ばれましたが、エミリア=ロマーニャ州はランブルスコの産地でもあります。ランブルスコは発泡性の赤ワイン。日本でも人気化していますよね。
白ワイン葡萄品種ならトレッビアーノやアルバーナが多く生産されています。
エミリア地方の発泡性赤ワイン「ランブルスコ」
安めのランブルスコを買うと妙に甘いものだったりしますが、本当は甘口から辛口までさまざまなランブルスコがあります。
エミリア=ロマーニャ州のDOCGワイン
イタリアワイン最高ランクのDOCGは2つが認定。コッリ・ボロニェージ・クラッシコ・ピニョレットとロマーニャ・アルバーナ/アルバーナ・ディ・ロマーニャです。どちらも白ワインで、アルバーナは甘口タイプが有名です。
サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャのワイン
そしてやっぱりエミリア=ロマーニャを代表する赤ワインは、サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャです。
トスカーナのキアンティよりも酸味がまろやかで、エレガントなワインです。フランスワインでマルゴー村あたりが好きならハマるんじゃないかと。
今回のヴィーノハヤシのワイン、ニコルッチの2本なら、トレ・ロッケの方をおすすめします。4000円しますが、その価値はある味わいです。
お手軽に試したいなら、1000円台で買えるボッター・カルロでしょうか。ボロネーゼ・スパゲッティやパルマの生ハム、パルミジャーノ・レッジャーノに合わせて楽しく美味しくやっつけましょう。
ワインの醸造技術は進化している
香りがつかないステンレスタンクは新しい技術で、長い間木樽やコンクリートタンクを使ってワインは醸造されてきました。さらに昔だと木樽すらなくて土器です。新しい技術を取り入れ、選択肢が増えたのはいいことです。似たような味ばかりになるとつまらないですから。
私は樽香のするワインが好きですが、樽なしでももちろん美味しいワインは多くあります。逆に「よけいな香りを付けないでほしい」と、樽を疎んじる方もいます。好みの問題ならいいのですが、なかには「葡萄本来のものではないから」という考え方から避けている様子が感じられることも。もしそうならもったいないですね。人の手による創意工夫は大切にしたいです。
今回のヴィーノハヤシの通信講座は、あらためて醸造タンクの違いによる味の変化を飲み比べできてよかったです。やっぱり私は木樽が好きです笑 これからもいろんなワインから好みを見つけて、造り手の思想や信念ごと味わっていきたいですね。
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イタリアワイン通信講座全体の内容・ワイングラスについて
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イタリアワイン通信講座第6回(ロンバルディア州)
イタリアワイン通信講座第7回(トスカーナ州)
イタリアワイン通信講座第8回(マルケ州/ウンブリア州)
イタリアワイン通信講座第9回(アブルッツォ州/モリーゼ州)
イタリアワイン通信講座第10回(サルデーニャ州/シチリア州)
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イタリアワイン通信講座第12回(偉大なワイン/バジリカータ州/カラブリア州/プーリア州)
・ヴィーノハヤシインタビュー記事
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