2019年2月1日、日本とEUの間でEPA(経済連携協定)が締結され、ワインの関税が撤廃されました。
欧州ワインに関しては、フランスワインの動向が注目されがちですが、私はEPA締結でスペインワインの盛り上がりに期待しています。
理由は後で詳しく述べますが、ワイン関税撤廃で恩恵があるのは主に低価格帯のワインで、スペイン産は低価格でも非常にしっかりしたワインが多いのです。
スペインのワインは、欧州勢の中でも抜群にコスパに優れています。さらに近年ではスター生産者が現れ、高級ワインでも存在感が出てきました。
神の雫でも、50本以上のスペインワインが登場し、1000円台ワインから、1本数万円の高級ワインまで幅広く紹介されています。
そんなスペインワインの魅力と、神の雫に登場したおすすめのワイン12本をご紹介します。2000円以内で買えるものを選びました。
1000円台のおすすめ赤ワインまとめ
1000円台のおすすめ白ワインまとめ
1000円台のおすすめスパークリングワインまとめ
2000円台のおすすめコスパワインまとめ
3000円台の高品質おすすめワインまとめ
5000円前後のおすすめシャンパンまとめ
おすすめの高級シャンパンまとめ
おすすめスペインワインまとめ
おすすめチリワインまとめ
おすすめ甘口ワインまとめ
目次
1000円前後のおすすめスペインワイン
まずは、関税撤廃で盛り上がりそうな低価格ワイン4本を先に紹介します。900〜1200円くらいで買えるワインです。
とりあえず安ワインはこれ買っとけってくらい有能です。
エヴォディア
まあいいからとにかく飲んでみてくださいよ。というのがこのエヴォディア。1,000円そこそこながら、エレガントすぎるワインです。ワインを飲み慣れた人でも納得する味わいです。
イゲルエラ
「フルーツ爆弾」イゲルエラ。ジューシーな果実味が特徴です。果実味=酸っぱいと思っているあなた!イゲルエラは大丈夫です。
ラベルのデザインがよく変わります。
エストラテゴ・レアル・ティント
ロバート・パーカーJrも絶賛。神の雫登場前から、安旨ワインとして定番のエストラテゴ・レアル・ティント。骨格のしっかりしたワインです。
ムッサ・ブリュット
スペインのカバ(CAVA)を安く試すならムッサ・ブリュット。この味わいで1000円台前半は考えられません。
おすすめスペインワイン全12本を先に見るならこちら(ページ下に飛びます)
神の雫登場のスペインワインおすすめ12本
ワインの関税撤廃で値段はどれくらい下がる?
日欧EPAで下がる予定のワイン関税は、1本あたり約94円です。(正確には、価格の15%か1リットルあたり125円の安いほうです。フルボトルは750ミリリットルなので、93.75円となります)
「なんだそれだけか」と思う向きもあるかと思いますが、先んじて関税が引き下げられているチリワインは、2015年に輸入量がフランスを抜き、1位に躍り出ました。
これは低価格帯ワインの躍進によるものです。高級ワインでは、100円下がったところで購入意欲が増すとは思えませんが、1000円以下のワインにおいて100円の差は大きく、決して無視はできない価格差です。
となると、ヨーロッパの安旨ワインの雄、スペインが強みを発揮します。
日欧EPA(経済連携協定)についてもう少し詳しく
EPAについては、関税撤廃、つまり貿易の自由化についてが大きく取り上げられますが、貿易の自由化だけの場合は、自由貿易協定(FTA)となります。EPAはFTAよりも範囲が広いものをいいます。
EPAは“Economic Partnership Agreement”を略したもので、貿易の自由化に加えて、投資や人の移動など、協定を結ぶ相手と一体となった競争ルール作りも含む、包括的なものです。
日欧EPAはいつ発効された?
日欧EPAは2019年2月に発効されました。
そしてワインは即時撤廃なので、すでに関税はゼロになっています。
ちなみに2007年から日本との間でEPAを発効しているチリはでは、徐々に関税を引き下げてきたので、2019年4月にワイン関税ゼロになりました。日欧EPAとタイミングがほぼ同じになりましたね。
ワインラバーであれば気になるチーズは、日欧EPAでは16年かけて段階的に引き下げとなり、こちらは時間がかかります。
ただ、チーズは29.8%の関税がかかっていたので、撤廃されたら3割引で手に入ることになります。これも楽しみです!
日欧EPAの規模
日欧EPAは、世界貿易の4割近くを占める、メガFTAともいえる協定です。2013年から交渉がされていましたが、やはり規模がかなり大きいので調整が難航し、なかなか進展しませんでした。
ここに来て一気に合意に動いたのは、アメリカのTPP(環太平洋経済連携協定)離脱の影響でしょう。トランプ政権の意向でアメリカが離脱したのは残念でしたが、実は貿易の規模はTPPよりも日欧EPAの方が大きいのです。(参考:日本経済新聞)
EPA比較 | 人口 | 貿易規模 |
---|---|---|
日欧EPA | 6億3700万人 | 11兆9011億ドル |
TPP12(米国含む) | 8億1770万人 | 8兆5016億ドル |
TPP11(米国除く) | 4億9440万人 | 4兆8587億ドル |
アメリカを含んでも、貿易規模は日欧EPAの方が大きいですね。「EU」と一言でいいますが、28カ国もありますしね。
いかに今回の合意がインパクトのあるものかがわかります。
スペインワインに注目する理由
スペインは、南欧の気候がぶどう栽培、特に赤ワイン用ぶどう生産に適しています。さらに白ワインでも、スペイン版シャンパンともいえる「カバ(CAVA)」ブランドが強くなっています。
そして、実はスペインはぶどうの作付け面積が、フランスやイタリアより多く、世界1位なんですね。低価格の大量生産ワイン造りには有利です。チリと同じように、日本への輸入量が拡大する可能性があります。
以下、スペインワインを選ぶときに、覚えておくと便利なぶどう品種と産地です。
スペインで栽培されるぶどう品種
スペインでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった国際ぶどう品種の栽培もさかんですが、なんといっても魅力は地ぶどうです。
特にテンプラニーリョとガルナッチャ。
モナストレルとメンシアもいいですね。
テンプラニーリョ<Tempranillo>
テンプラニーリョといえばスペイン、スペインといえばテンプラニーリョです。
スペインの安旨ワインから、高級ワインまで、なんでもこなせる万能型。私はもうこのテンプラニーリョが大好きでして。だいたいワインセラーにストックがあります。
しっかりしたタンニンも酸味もあるのですが、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べて、力強さよりも繊細さに定評があります。もちろん長熟型。
スペイン内でも地域によって呼び名が変わります。「ティンタ・フィノ」「ティンタ・デ・トロ」「センシベル」「ウル・デ・リュブレ」など。すべてテンプラニーリョです。
「バルで失敗しないワインの頼み方」の記事でも書きましたが、カジュアルなワインバーで赤ワインを頼むならテンプラニーリョをぜひ。大ハズレってことはないと思います。
ガルナッチャ<Garnacha>
ガルナッチャは、フランスではグルナッシュといいます。実は世界で一番多く栽培されているぶどう品種だったりします。
糖度が高めのため、アルコールは強くなります。果実味とほのかな甘味が特徴で、シラーとブレンドすることで、適度な渋みとスパイシーさが加わったバランスのいいワインになります。もちろんガルナッチャ単独でもいけますが。
モナストレル<Monastrell>
モナストレルはフランスではムールヴェードルと呼ばれます。ムールヴェドルは、主体よりもアクセントにブレンドされることが多いですが、スペインではモナストレル単体のワインもあります。
濃厚で果実味のあるワインになります。ロゼワインにもよく使われます。
メンシア<Mencia>
メンシアは濃厚パワフル系ではなく、エレガント系の赤ワインを造ります。
鴨肉にブルゴーニュを合わせるように、メンシアはハモン・セラーノなど、生ハムと合わせるようなイメージです。
意外とメンシアあたりが、今後人気化しそうな気もします。
マカベオ<Macabeo>
マカベオは白ぶどうで、スパークリングワイン「カバ(CAVA)」の主要品種です。ビウラとも呼ばれます。
早飲みにも長熟にも耐えられる品種で、シャルドネのような万能さのぶどうです。
この「マカベオ」と「チャレッロ」「パレリャーダ」が、スペインのカバ3大主要品種です。
スペインワインの主な産地
スペインワインの産地はリオハが有名ですが、ラウル・ペレスやテルモ・ロドリゲスなど、高品質ワインを造るスター生産者の存在が、他の地域の知名度も一気に押し上げました。
リオハ<Rioja>
スペイン第一の銘醸地といえば、リオハです。
北部地方に位置し、ボルドーからの移民によって、樽で熟成させる技術などが伝えられた地域です。そのため、主に赤ワインにおいて、骨格のしっかりした高品質のものが造られます。
スペインワインを代表するぶどう品種、テンプラニーリョのワインがおすすめです。
ペネデス<Penedes>
赤ワインがリオハなら、白ワインはペネデス。特にスペインを代表するスパークリングワイン「カバ(CAVA)」の生産は、ペネデスを中心としたカタルーニャ地方で90%を生産しています。
ぶどう品種は、国際品種シャルドネのほか、マカベオ、チャレッロなどの地ぶどうの生産もさかんです。
カヴァを選ぶと幸せになれますが、赤ワインもテンプラニーリョやカベルネ・ソーヴィニヨンで高品質のものがあります。
プリオラート<Priorato>
プリオラートは、バルセロナのある地中海地方に属します。
地ぶどうであるガルナッチャやカリニェナのほか、1980年代からはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シラーの栽培も積極的に行われ、高品質な赤ワイン産地として、一気に知名度を高めました。
リベラ・デル・ドゥエロ<Ribera del Duero>
リベラ・デル・ドゥエロは、スペイン内陸部にあり、乾燥した夏と日照時間が非常に長いことで有名です。ワイン用ぶどうの栽培には適していますね。
ティント・フィノという地ぶどうで有名ですが、これはテンプラニーリョのことです。私はもうこのテンプラニーリョが大好きで。これがあるからスペイン推しといってもいいくらいです。
アレハンドロ・フェルナンデスのペスケラが有名なのですが、骨格のしっかりしたワインで、スペインの高品質ワインを試したいときは、まずペスケラを飲んでみると合うか合わないかがわかると思います。
神の雫登場のスペインワインおすすめ12本
それでは、神の雫で紹介されたスペインワインから、おすすめを12本ご紹介します。
赤ワイン、白ワイン、スパークリングワイン(CAVA)まで、安くてもしっかり美味しいものが多いです。スペインワインは味のバリエーションが豊富なので、買うときに全部スペイン産でそろえても楽しめますよ。
イゲルエラ
神の雫では極彩色のトーテムポールと評されたイゲルエラです。
デイリーワインとしてのコスパは最高クラス。1,000円を切る価格帯でありながら、ジューシーな果実味に驚かされます。使用葡萄はガルナッチャ・ティントレラ。ベリー系でスパイシーさもある、とても整ったワインです。
現在600円〜700円ほどで売られている低価格ワインを買うなら、200円ほど足してイゲルエラを買う方が幸せになります。
エストラテゴ・レアル・ティント
ドミニオ・デ・エグレンのエストラテゴ・レアルは、スペインの安旨ワインとしてはかなり有名です。
高級スペインワインの「ヌマンシア」「テルマンシア」を造っているエグレン家のワインです。ロバート・パーカーJrが「ケース買いすべき!」と評したことでも有名で、楽天でもワイン部門でずっと1位を取っていました。
テンプラニーリョ100%で、バランスのいいワインです。1000円を切る値段なのに、知らない人が飲めば「このワイン美味しい!いいやつ?」となるので、おすすめです(笑
エヴォディア
1000円台前半の大衆ワインでありながら、信じられないほどエレガントなワイン、それがエヴォディア。
使用葡萄はガルナッチャ(グルナッシュ)で、しっかりした骨格にシルキーな舌触り。ほんのりと酸味と甘味。バランスが非常にいいワインです。繊細な和食にもあいます。
最高樹齢100年以上のぶどうの樹(ヴィエイユ・ヴィーニュ)から造られているそうで、安定した味わいです。
1000円台のおすすめワインの記事でも紹介しています。
カ・ネストラック・レキリブリスタ・ティント
シラーとガルナッチャのブレンドで造る、カ・ネストラック・レキリブリスタ・ティントです。
カシスの香りがあってしっかり濃い目の赤ワインです。グルナッシュ・シラーといえばフランスのローヌが有名ですが、レキリブリスタも負けていません。
「レキリブリスタ(綱渡り師)」の名前のとおり、バランスがとれたワインです。
ラベルがいい感じなので、贈り物にも良さげですね。
2000円台のおすすめワインでも紹介しました。
セクロ・ゴデーリョ・ドーニャ・ブランカ
セクロ・ゴデーリョ・ドーニャ・ブランカは、2000年代に入ってから注目されだしたビエルソという地域のワイン。
ゴデーリョはスペインの白ぶどう品種です。
あまり馴染みがないかもしれませんが、複雑でアロマ豊かな白ワインを造ります。
神の雫では、主人公の雫が「この2本にぶっ飛んだ」と言ったワインのひとつ。
青リンゴのようなフルーツ香が素晴らしいワインです。1000円そこそこで買えるワインとしては大当たりの部類です。
おすすめの白ワイン記事でも紹介しました。
シエテ・シエテ・77ルエダ
上のセクロ・ゴデーリョ・ドーニャ・ブランカと同じく、漫画で雫が「ぶっ飛んだ」ワイン、シエテ・シエテ・77ルエダです。
ビウラとヴェルデホというぶどう品種が使われています。ビウラはマカベオのことで、カヴァの主要品種ですね。ヴェルデホはスペインを代表する高品質白ワイン用ぶどうです。
こちらも1000円程度で買えるワインで、先のセクロ・ゴデーリョよりも、爽やかな印象。酸味が綺麗で、喉に「えぐっ」とくる感じがありません。和食にも合わせやすい白ワインです。
ムッサ・ブリュット NV
ヴァルフォルモサのムッサ・ブリュットは、カバの名産地ペネデスで造られるワインです。
シャンパーニュと同じ製法で造るカバは、味がよく価格が安くて本当にいいですね。
ムッサは1000円そこそこで買えるスパークリングですが、コクもあり、フルーティな飲み口と合わさって、1000円台とは思えない味わいに仕上がっています。
夏には何本か買いだめしておいてもよいかと。
1000円台のおすすめスパークリングワインまとめでも紹介しています。
カンポス・デ・エストレリャス・ブリュット NV
カンポス・デ・エクトレリャス・ブリュットは、ソムリエールなど、女性のみが審査する日本のアワード「サクラワインアワード」でゴールド賞を受賞しました。楽天ランキングでも売上1位を取っています。
神の雫では「気の合う仲間とオープンカーでドライブしながら聴く、聞き飽きないJポップス。サザンオールスターズみたいなワイン」と表現。確かにウキウキするようなワインです。
シャンパン製法で14ヶ月熟成。ぶどうはオーガニック栽培という、手間暇のかかったカバです。
なのに価格は1000円台(後半ですけどね)。飲み口は軽めで、ドライなワインなので、食事にも合わせやすいです。
ディグニタット・ブリュット・ナチュレ
ディグニタット・ブリュット・ナチュレは、カバの3大主要品種マカベオ、チャレッロ、パレリャーダを使ったワインです。
果実味も酸味もバランスよくまとまっていて、不安なところがない安定した味わい。シャンパンのような細かい泡も綺麗です。
神の雫では「清里高原の朝」と表現。このワインが1000円台で手に入るのはスペインならではです。
ナヴェラン・ダーマ・エクストラ・ブリュット
ナヴェラン・ダーマ・エクストラ・ブリュットはロバート・パーカーJrが「傑出したお値打ち品」と評したワイン。
グレープフルーツのような柑橘系の香りが特徴で、コクのあるカヴァです。
爽やかに飲むというよりは、単体でじっくり味わいたい感じ。レベルはかなり高く、複雑さもあります。シャンパン好きなら間違いなくハマる一本です。
ボトルの形状とラベルの貴婦人がおしゃれですね。ギリ1000円台です。
セグラ・ヴューダス・ラヴィット・ロサード
セグラヴューダスは生産者名です。白のカヴァが有名ですが、神の雫ではこちらのロゼが登場。
ベリー系の味わいで、炭酸はそれほど強くありません。
神の雫によると「ピンクのリボンを付けた女の子が、ママに怒られるかなあ〜と思って上目使いにしている表情のようなワイン」だそうです。少し感じる苦みをこう表現していますね。
色合いが美しく、可愛いワインなので、プレゼントにもいいかもしれません。
リバリス・ロゼ
リバリス・ロゼです。なんとなくラベルでスパークリングワインを想像しますが、発泡ワインではありません。
普段ロゼをあまり飲まない私が、ハマって買いだめしたロゼ・ワインで、南国フルーツのような香りと、ほのかな甘味が素晴らしいワインです。
神の雫では、テクラ・バダジェフスカのピアノ曲「乙女の祈り」のようなワインと表現。
ロゼの色も、かなり薄い桜色で、儚げで綺麗です。冷やして飲むのがおすすめです。
1000円台スペインワインの評価はあがるか
実際のところ、日欧EPA発効で一番盛り上がるのは500円〜700円くらいのワインだと思います。大手がキャンペーンを張って、大々的に売り込んでいくと思いますし。
私は何度もこの500円クラスの低価格帯ワインにチャレンジしたのですが、やっぱりいいなと思うものがないんですよねえ……。盛り上がっているチリ産のワインでもダメでした。
もちろん好みなので、私には合わないだけで良いワインもあると思います。
関税が下がって、まだ見ぬコスパワインを発掘できることを期待しています。
最後に、神の雫には登場しなかったけど、私が美味しいと思った1000円台スペインワインを置いておきますね。
コイツと好みが合うか、みてやろうと思っていただけたら(笑)ぜひお試しください。
ディエゴ・ディ・アルマグロ・グラン・レゼルバです。テンプラニーリョ100%のワイン。スペインワインは熟成期間に応じて「クリアンサ→レゼルバ→グラン・レゼルバ」と名前が変わります。もちろん熟成が長いほど高価です。アルマグロはグラン・レゼルバでも1000円台という驚異的な安さのワインです。
カスターニョ・ヘクラです。モナストレル100%。ブルーベリーのような香りと色。単体で飲んでも耐えうるパワフルさ。樽香もそこそこあって、力強いワインです。モナストレル種の味を試すのにもいいと思います。