万能型ワイングラスはほんとに万能なのか?比較実験でたしかめた

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Universal glass title

「完璧なワイングラスなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」

とは、ギリシャ神話の酒神デュオニソスが、酒を求めて群がる羊飼いたちにワインを振る舞ったときの言葉ですが嘘ですさっき作りました

冗談はさておき、どんなワインにも合う“完璧な”ワイングラスなんて無理。というのは、少しワインを飲んでいれば実感として、言葉でなく心で理解できていることと思います。グラスには、ワインに合わせてバリエーションが必要です。

でもですね。ワインごとに違うグラスを用意するのは、世の酒飲み全体からすると少数派なのは間違いないんですよ。みんながそうしていたら、リーデルとか時価総額がアップルを超えて、ワイングラスが市場を支配する世界になっているはずですからね。「ワイングラスは、つぎの次元へ。」「大きさは3倍、処理速度は最大200倍。」なにそれこわい。

 

というわけで、本記事のテーマは「万能型ワイングラス」です。「1脚でどんなワインでも」という願いを叶えてくれる魔法のようなグラスですが、でもそれって本当?ってことで、万能グラス比較実験をやります。

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万能型ワイングラスとは

ワイングラスの写真

万能型ワイングラス(または万能グラス)は、そのまんま「いろんなワインに合う」グラスのことです。

ワインは、飲むワイングラスによって香り・味わいが変わります。しかしワインの種類はあまりにも多く、味わいも多様。それぞれの魅力を引き出すために、器の形や素材が研究され、赤・白・泡といった分類よりもっと細分化したワイングラスが開発されてきました。たとえば特定産地のワインに合うグラス、または、葡萄品種ごとの特性に合わせたワイングラスなどですね。

ワイングラスの種類が増えたのは、「ワインを最高の状態で味わってほしい」というワイン愛ゆえの開発競争であったと思いますし、実際にワインラバーの楽しみを増やしたことは間違いないでしょう。

ですが、増えすぎたワイングラスは、「そんなに用意しないとワインって美味しく飲めないの……」と、ワインのハードルを上げてしまう一因となっていることも否定できません。

そこで新たな潮流となっているのが、「これ1脚でOK」という万能型ワイングラスなのです。

 

先に言っておきますが、私はワイングラスの細分化も、万能型ワイングラスも、どちらも肯定派です。アプローチの違いなだけで、同じワイン愛。みなでワインの楽しみを増やそうとしているのだと思っています。愛にできることはまだあるかい?

比較する万能型ワイングラスは4種類

万能グラスの検証実験は、Twitterで仲良くさせてもらっているお二方にも協力していただき、私(シロ)と合わせて3人で行いました。

オムライスさん(@CsJ5GPVrbWZwCy0
屈原(くつげん)さん(@gattinara_kof
シロ(@salewine22

比較する万能グラスは以下の4種類です。

  1. ガブリエルグラス
  2. ジャンシス・ロビンソン ワイングラス
  3. ザルト・デンクアート ユニバーサル
  4. リーデル・ヴェリタス リースリング/ジンファンデル

以後はそれぞれ、ガブリエルジャンシスザルトリーデルと呼びます。

万能型ワイングラス4種類

これらグラスのうちガブリエルとジャンシスは、まさに万能型ワイングラスであることが売り。この1脚ですべてのワイン対応可能。と、メーカーとしてこのタイプだけで勝負しています。ザルトはいくつか種類があるなかの、赤白兼用と呼ばれるタイプ。リーデルは本来、「うるせえ、ワインごとにグラスを分けろ」の最たるメーカーですが、「強いて言うなら、万能型はリースリング/ジンファンデルですかね(しぶしぶ)」というイメージ。

ざっとスペックを表にするとこうなります。

 

製法 素材 容量 1脚価格
ガブリエル マシン 無鉛クリスタル 約500ml 5500円
ジャンシス ハンド 無鉛クリスタル 500ml 7150円
ザルト ハンド カリクリスタル 530ml 8690円
リーデル マシン クリスタル 395ml 5500円

 

なるべく条件をそろえたかったのですが、ちょっと価格に差が出てしまいました。ガブリエルとリーデルがマシンメイド5500円とお安いですね。両社ハンドメイドグラスもあるんですが、ガブリエルが1万3200円、リーデル・ソムリエが2万2000円で、差がありすぎまして。と考えると、ジャンシスとザルトはハンドメイドなのにかなり安いと言えますね。あと、サイズはリーデルだけ小ぶりです。さてこの差がどうでるか。

さすがに都合よく全種類3脚ずつは持っていなかったので、お二人の手持ち分をお借りし、それでも足りないグラスは買い足しました。屈原さんもこの会のために新たに買っていただいてます。ありがとうございます。

万能グラス比較に使うワインは6種類

「万能型」ワイングラスというからには、検証するワインも様々なキャラクターを用意せねばなりません。

とはいえ、赤白ロゼ泡などのワイン種でわけるか、国と産地か、ぶどう品種にするかなど選択肢は無数。品種ブレンドだってあるし、国つっても例えばイタリアから代表ワイン選ぶってなったら、それだけでラグナロク勃発です。人類が危ない。いったいどう選べばいいんだ……と、「俺か、ロージアか。」ってくらい揺れて揺れて今心が何も信じられなくなっていたところに、オムライスさんから提案が。

 

「それなら今回は旧世界、それもフランスに絞るのはどうですか。アルザスやローヌを入れたら、かなりのバリエーションになりますし」

 

あなたが神か!すぐさま、「それでいきましょう!残りのワイン選んでもらってもいいですか?普及価格帯のやつで」と、ぶん投げお願いして以下のとおり決まりました。

  1. シャンパーニュ
  2. アルザス・白(リースリング)
  3. ブルゴーニュ・白(シャルドネ)
  4. ブルゴーニュ・赤(ピノ・ノワール)
  5. ローヌ・赤(シラー、グルナッシュ)
  6. ボルドー・赤(メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン)

「おいおいプロヴァンスのロゼはどうした」「普及価格帯なのにラングドック・ルーション入ってないとか」「は?ガメイは?(ボジョレー過激派)」「……カオール」とか思っためんどくさいワイン紳士・淑女の皆様。わかるわかるよ君の気持ち。ですが、我々はガラス職人でもワイン商でもないただのワイン好き一般人類(=ヴァン・サピエンス)なのです。これでもかなりしんどいんやって!

なんせ6種類のワインを4つの万能グラスで飲むワケです。これだけで6×4の1人24杯。テイスティングは3人で行うので×3、さらに香りと味に分けて採点です。まとまるのかこれ?やる前から「バッファローマン、おまえを上回る1200万パワーだーっ!」とジャンプして回転したくなるややこしさ。コーホー。

 

6本のフランスワイン

検証用のワインはこんな感じに決定。写真ではアルザスとブル白の順番間違えましたが……

  1. ボランジェ スペシャル・キュヴェ NV
  2. トリンバック リースリング 2018
  3. ヴァンサン ジラルダン ブルゴーニュ・ブラン・エモーション 2017
  4. フェヴレ メルキュレ・プルミエクリュ クロ・デ・ミグラン 2017
  5. サン・コム コート・デュ・ローヌ レ・ドゥー・アルビオン ルージュ2016
  6. シャトー・モンペラ ルージュ 2018

この順で飲んでいきます。ヴァンサン・ジラルダンは屈原さん、モンペラは私の持ち込みです。他はオムライスさんに用意していただきました。神の雫登場ワイン多し!お気づかいが沁みます。そう、このサイトは神の雫ワインリストなんですよ。

 

50mlのワイン

検証にあたって、ワインの量は50mlで統一しました。お店でのグラスワインは普通100ml前後だと思うので、ちょっと少ないのですが、なんせ1本を12脚に注いでいきますので。

注ぐワインの「最適な量」はグラスによって違うとのことで、量が違えば結果も違ったかもしれません。が、どこかで基準を作らないと比較ができないので、結果がどうあれ「今回はこの条件での結果ですよ」ってことで、どうかひとつ。

と、比較実験の前提確認で、すでに4000文字近いペースなわけですが、あの……、ついてきてますか?まだここから3倍の文章量がありますゆえ。いったん、ワインでも飲んでゆっくりとご覧くださいましね。

おすすめの万能型ワイングラスはこれ

それでは、いきなり万能グラス比較の結果発表です!最後まで引っ張るドラマチックな展開をどっか期待してた方はすみません。いつものとおり長文なので、延長戦サレンダーされないうちに先に結果をお知らせしておきます。YES YES!

評価は「香り|味」にわけ、5段階で点数をつけます。グラスごとに、とれる香りの種類や強弱、味わいの引き出し方などをみて採点しました。ワインが6種類あるので、1人あたりの満点は「30|30」ということになりますね。で、さらに3人分を合計するとこうなります。

 

万能グラス比較 総得点(香り|味)
ガブリエル 78|70
ジャンシス 73|70
ザルト 60|60
リーデル 60|63

 

ガブリエルグラスつっよ!次いでジャンシス・ロビンソン。さすが完全に「万能グラス」と謳っているってとこでしょうか。(細かい採点表は後ほど)

比較実験をやる前は、「ほんとに差がでるのかな?」と心配なところもあったんですが、しっかり出ました。また、3人とも感じ方に細かな違いはあれど、全体的な傾向としてはお互いに「うん、わかる」という感想でした。

ザルトリーデルは今回残念な結果でしたね。ただ、このあと詳しくお話しますが、ワイン種によってはいきなり饒舌に語り出すオタクのように光り輝くものがあり、ダメダメなんてことはまったくないです。

先ほども言ったとおり、フランスワインかつ今回の比較条件としては、こんな結果だったってことで。健全なグラス狂信者の皆さまにおかれましては、振り上げたこぶしはそのまま友愛の「乾杯!」の合図としていただきたく。フランスだけに。

 

万能型ワイングラス4種類
ワイン種ごとの評価結果に行く前に、グラス写真を再掲。形を覚えておいてくださいませ。

シャンパーニュに合う万能グラス

ボランジェ・スペシャル・キュヴェ

それでは、ワイン種ごとに万能グラスの評価をみていきます。

まずはシャンパーニュ、ワインはボランジェ スペシャル・キュヴェ NVです。

5点満点(香り|味)

シャンパーニュ オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 3|4 4|4 5|5 12|13
ジャンシス 4|4 3|3 5|4 12|11
ザルト 3|3 3|2 3|4 9|9
リーデル 4|4 5|5 4|4 13|13

※採点は、まず無言で紙に書いてから他の人のコメントを聞くので、お互い影響は受けていません。

 

13|13でリーデルが1位。ガブリエルと僅差ですが。いやー、ガブリエルはまあわかるとして、リーデルすごくないっすか?これがリーデル・ヴェリタス・シャンパーニュグラスだったらわかるんですが、本来リースリング/ジンファンデル用ですからね。

特に気に入って、香り・味ともリーデルに5点をつけたのが屈原さん。


屈原さん:味も香りも凝縮感があり、口のなかでよく反響します。骨格・輪郭はっきりで、リーデルが一番いいです。

シロ:私はガブリエルが一番だけど、リーデルも香り強く出ますね。ガブリエルとリーデルがよく香り、果実味も強い。ジャンシスとザルトは、最初あまり差がないと思いましたが、しばらくしてジャンシスが味・香りともに変化してきました。

オムさん:だいたい同じ感想になるものですね。果実味しっかりはガブリエルとリーデルです。香りはリーデルの方が濃度があり、強いと感じました。小さめのボウルサイズと、液面との距離が近いのがいい方向に出ましたかね。ザルトは口に含んだときのアルコール感が強めですね。

屈原さん:ザルト、ボリュームありますよね。アルコールの揮発する感じと、ねっとり感が一番あります。ジャンシスとガブリエルは似ていますが、柑橘の苦みがジャンシスの方に出ています。

シロ:柑橘の苦みわかる。それにしてもボランジェはうまいっすなあ。

オムさん:美味しいですよね。今回のワインで最高値ですから味わって飲みましょう。と言いながら、早くもサクッと飲み干しているシロさん。

シロ:もう結構酔うてきましたw。後半まとめられるかな?

オムさん:いつものことじゃないですかー、やだー。

屈原さん:ここからあと5本ですよね?

全員:……(真顔)


いや、ほんま調子に乗って飲んでる場合じゃなかった笑。このまま200mlずつ飲み続けたら、6本で1.2Lいってしまう。ということで。

スピッティング・ボウルの代わり

吐き出しはしないのですが、ワイングラスに残った分をコップに移します。サヨナラごめんなさい。ボランジェをau revoir(オ・ルヴォワール)するなんてこの先二度とない気がする。あなたを抱きしめ眠りたい。

ちなみにコップで少し飲んでみたのですが、

オムさん:味が平坦になる。

屈原さん:葡萄水。

シロ:安ノンアルワインの味。

なんかいろいろ消えるんですよね。ワイングラスはやはり偉大だ。

アルザス・リースリングに合う万能グラス

トリンバック・リースリング

2番目はアルザスの白、リースリングです。ワインはトリンバック・リースリング2018

ペトロール香ありでフローラル。酸が一本とおっていて果実味も。これぞまさにアルザスのリースリングといった味わい。うまい。

 

アルザス白 オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 5|4 4|3 5|5 14|12
ジャンシス 4|5 3|4 4|4 11|13
ザルト 4|3 3|3 3|4 10|10
リーデル 3|3 2|2 4|3 9|8

 

香りはガブリエル、味はジャンシスがトップとなりました。というかリーデルどうした。リースリング/ジンファンデル担当やであなた。

3人とも「ガブリエルが一番香る。リースリングの特徴がよく出ている」という評価は同じ。ただ、ちょっと注釈つけたい感じのお二方。


オムさん:ガブリエルは単純に香りが強いが、個人的にはジャンシスの酸がある感じの香りが好き。でも、この直球リースリングにはやはりガブリエルだろうということで香り5点。味わいに関しては、香りから期待される味になっていない感じがする。その点、ジャンシスは香りこそガブリエルより弱いものの、味わいとバランスしてますね。

屈原さん:同じです。ガブリエルは香りと味わいのちぐはぐさがある。ジャンシスは鋭角的で締まっていて、香りから連想されるとおりのリースリングの味わい。

シロ:ふむふむ。私は「有機物と無機物の間」っぽいリースリングの特徴がよく出ていると思ったので、香りも味もガブリエルを満点にしました。ザルトとリーデルはどうですか?

オムさん:ザルトはアルコール感が強い。ボランジェのときも同じでした。何飲んでもそうなのかな?僕にとって、これはマイナス。リーデルは普通でコメントが難しい。

屈原さん:香りに関しては、ザルトはジャンシスとあまり差はないです。リーデルは湿布っぽい薬品的な香りがちょっと。味わいは直線的で硬質。香りとのバランスがとっちらかっている印象で、点数が低くなりました。

オムさん:僕も実はリーデルは少し下がります。でも2点ってことはないなと思って3点に。


と、2人とも手厳しいこと笑。まあ私も点数こそ高めですが、ジャンシスは少し水っぽい、ザルトとリーデルはアルコールのツンとくる感じがきつい。とは思いました。

そしてこのあと、オムライスさんが「試しに」と、白ワイン・リースリング向けに作られた別のグラスを出してくれたんですけども。

オムさん:あ、ダメですねこれ。

屈原さん:弱い。

シロ:専用グラスの方があかんやんw

リーデル・リースリング/ジンファンデルと同じく、専用グラスの方がイケてないという結果に。これはワインが特殊だったか?でもめっちゃ王道だと思ったんやけどなあ、トリンバック。

ブルゴーニュ・シャルドネに合う万能グラス

ヴァンサン・ジラルダン ブルゴーニュ・ブラン エモーション

さて3本めはブルゴーニュのシャルドネです。ワインは、ヴァンサン・ジラルダン ブルゴーニュ・ブラン・エモーション2017

ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェ、ムルソー、3つの村のシャルドネをブレンドしたワインで、村名は名乗れないものの、ハイクオリティな1本。

この万能グラス会を楽しみにしていたという屈原さんが、かなり考えて選んでくれたワイン。めっちゃ美味いですこれ。2000円台だし、とりあえず買うといいです。

 

ブルゴーニュ白 オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 4|4 4|4 4|3 12|11
ジャンシス 4|4 4|5 4|4 12|13
ザルト 3|4 4|4 4|3 11|11
リーデル 3|5 3|3 3|3 9|11

 

ジャンシスが12|13でトップです。香りはガブリエルも同点1位。


オムさん:これは甲乙つけがたい。香りはザルトとリーデルが少し弱いかな、程度。ガブリエルは果実、ジャンシスは酸が強い。輪郭その他、あまり差はないが、リーデルのバランスがいい。

屈原さん:飲んでいるうちに微妙に変わりますね。パッと決めないと迷ってしまう。

オムさん:何度もやるとわからなくなりますよ。ひとくちで決めるのがコツ。一度でわからないときは「私には理解が難しい」と言っておけばいいらしいです笑

屈原さん:なるほど笑

シロ:あとこれ注ぐ量によってもやっぱり違いますね。(ワイン足しながら)ザルトは、液面高くすると美味しくなります。やっぱりズンっと深めのデザインだから、しっかり注がないと厳しいのかも。

オムさん:グラスごとに適正量は違うから、こればっかりはね。それにしても、複雑さがあっていいワインですね。リーデルで飲むと、果実味の柔らかさが特に心地いい。

シロ:飲み続けたいワインですねえ。持ってきてもらった屈原さん、コメントをどうぞ。

屈原さん:村名クラスというにはぼやけたところもありますが、ニュアンスはありますね。ガブリエルはコク・果実味ありで、バランスよくまとまっています。あえて3村のどれに似ているかというとシャサーニュっぽい。ジャンシスは酸が鋭角的に感じるのでピュリニー。ザルトのもったりバニラ感はムルソー寄りですね。それぞれ「近い」ってだけですが。

シロ:おおおー、すごい。そこまで差を感じ取れんかった。リーデルはどうです?私も柔らかいなとは思ったんですが、それが逆に弱さに思えてしまって。

屈原さん:僕もリーデルは柔らかいと思いました。酸も穏やか。でも平均的なACブルゴーニュにありそうな感じだなと。だから3点です。


似た感じにとらえていても、「それをどう思うか?」に差がでた比較でした。

ブルゴーニュ・ピノ・ノワールに合う万能グラス

フェヴレ メルキュレ・プルミエクリュ クロ・デ・ミグラン

4本目。もうかなり酔っています。頑張っていきましょう。ここからは赤ワイン、まずはブルゴーニュのピノ・ノワールからです。ワインは、フェヴレ メルキュレ・プルミエクリュ クロ・デ・ミグラン 2017

 

ブルゴーニュ赤 オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 5|4 5|4 5|5 15|13
ジャンシス 4|3 4|3 4|4 12|10
ザルト 3|3 3|2 4|5 10|10
リーデル 3|3 3|3 3|3 9|9

 

はい。圧倒的な強さを見せたのはガブリエルグラス。香り・味ともに1位。特に香りは全員が満点です。ブルゴーニュ赤において、これはかなり重要ですね。

ここはひとつミスターバーガンディ・オムライスさんのグラス評価まとめを。


オムさん:ガブリエルがよく香り、味わいとともに他よりスケールが1ランク上。2017なのにしっかり香るのはとても幸せ。ジャンシスも悪くないが、強さ・華やかさともにやはりガブリエル。果実味と酸、渋みのバランスも素晴らしい。ザルトとジャンシスは酸が勝っている。リーデルは酸より果実味。だけどシャバシャバに感じて、バランスが悪い。ガブリエルは、飲み口が唯一そり返っているのもポイントでは?酸味を抑えやすい形状がうまくハマったのかも。


ガブリエルが頭一つ抜けた理由の考察ですね。外観からして、ブルゴーニュに一番向いているのはガブリエルやろなあ、と思いますが、確かにこのワインにうまくハマったという感じはあります。みんな普段からガブリエルを使っていても、ブルゴーニュは専用グラスで飲むので新鮮な驚き。

味わいも全員ガブリエルが1番。2位に関しては3人ともバラバラでした。オムライスさんはジャンシス、屈原さんはリーデル、私はザルトです。特にザルトは屈原さん(2)と私(5)で真逆の評価。その理由は屈原さんのコメントにヒントがありました。

 


屈原さん:ザルトはブラインドで飲んだら「メルロー」と答えそうに思いました。飲み口がブルゴーニュではなかった。もっと南の方のイメージ。香りにもカシスやピーマンがありましたし。

オムさん:ピーマンは僕も思いました。

シロ:わからへんー。

屈原さん:あと生肉。

シロ:あ、それはわかる。

オムさん:オムはわかんなーい。

屈原さん:他に茶葉、コーヒー、というか焙煎した豆。

オムさん:

シロ:???


まずザルトで取っている要素がだいぶ違う。私はメルロー的なものはまったくわからず。んで、さらにこの後いろいろ話したのですが、どうも「ブルゴーニュに求めるもの」が違うのではないかと。お二人は「本来どういう味か」をイメージしている。私はワインの中で特別ブルゴーニュが好みというわけではなく、「らしさ」に対しての期待が違う。のかなーと思いました。

ま、もう3人ともだいぶ酔ってるんですけどね笑。

ローヌの赤ワインに合う万能グラス

サン・コム コート・デュ・ローヌ レ・ドゥー・アルビオン ルージュ

さあ、5本目。そろそろラストスパートです。お題はローヌの赤、ワインはサン・コム コート・デュ・ローヌ レ・ドゥー・アルビオン ルージュ2016です。

神の雫初期に登場したサンコム。作中でも、ガチガチで開くのに時間がかかるとの描写でしたが、さて。

 

ローヌ赤 オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 4|4 4|3 4|4 12|11
ジャンシス 5|4 5|4 5|5 15|13
ザルト 3|4 3|3 4|3 10|10
リーデル 3|3 4|4 3|4 10|11

 

ローヌ赤はジャンシスが強い。みんなベストグラスに選びました。明確に他との差がつき、香りは3人とも満点。私はだいぶ酔っ払っていたのですが、一応おかしな採点にはなっていないみたいですね笑。

ここでは私が「どれもベーコンぽい香りがする」と言ったところから会話スタート。


オムさん:ベーコンではないかな。脂分は感じますね。燻製ぽさがないんですよね。

屈原さん:近しいものはありますね。ザルトで鶏肉ローストを感じましたが、これじゃないですかね?スパイスの香ばしさとともに。

シロ:たぶんそれです!確かにいぶした感じはない。みんなジャンシス高評価ですね。

オムさん:香りの強さだけならガブリエルもいいけど、ジャンシスの方が5点です。ガブリエルは果実主体、ジャンシスは果実のなかに酸も感じ、より複雑でした。ザルト、リーデルは香り弱いですね。香りには差がありますが、味はあまり変わらないです。リーデルだけ味が細いかな。

屈原さん:僕は地味にリーデル好きですね笑。酸味、甘み、渋みがこなれていて、いい感じです。醤油を感じるのも面白い。

シロ:え?醤油あった?

屈原さん:はい。しょっぱくて発酵した感じ。味わいはジャンシスが一番ですが、リーデルもまとまっている印象。ひっかかりなく口の中に落ちていきますね。ザルトはタバコっぽい苦みがあって、これは得意じゃないです。


と、味わいはそれぞれとらえ方が違う様子。そして、ここでいつものアレが登場。

ワインエアレーター

エアレーター通したワインもみておきましょう。


オムさん:香りの黒みが強くなりましたね。黒果実、これはブラックベリーかな。いいですね。紅茶のニュアンスも。味は輪郭の柔らかさが変わり、とてもよくなりました。


サンコムはねー、開くとほんと美味しいんですよね。

ボルドーの赤ワインに合う万能グラス

シャトー・モンペラ
いよいよ6本目。ラストはボルドーの赤。ワインはシャトー・モンペラ・ルージュ 2018でございます。

言わずと知れた神の雫銘柄。メルローが80%で、あとはカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランです。

 

ボルドー赤 オム 屈原 シロ 合計
ガブリエル 5|3 5|4 3|3 13|10
ジャンシス 4|4 4|3 3|3 11|10
ザルト 3|3 3|4 4|3 10|10
リーデル 3|3 4|4 3|4 10|11

 

香りはガブリエルグラスがトップ。味はリーデル。なんですが、細かくみると3人で差が出ています。


オムさん:今までのワインとも共通しているんですが、ジャンシスは酸味を大事にしているのかなと思います。香りにも味わいにも酸がスッと通る。僕は酸味族ですからね。これは高評価です。モンペラの味に関しては、正直ジャンシス以外のグラスであまり違いを感じないですね。

屈原さん:オムライスさんと味の点数が逆なんですけど、感想は同じです。ジャンシスだけ酸が強調されます。僕にはそれがマイナスなんです。このワインには、果実味が強い方がバランスが取れているんじゃないかと思って。でも、やっぱりすべてのグラスでそれほど差があるわけではないです。

オムさん:赤はワイン自体の味が強くて、差が出にくいのかもしれませんね。


好みの問題で逆になったものの、味にあまり差はないというのが共通していました。私も第一声が「ぜんぶ一緒」でした。かろうじて味わいはリーデルを選びましたが、なんとなく飲んだ順番に左右されている気がします。

あと、やたら「渋い、渋い」って連呼していたんですが、この時の記憶に残る味を思い出しても、そんな渋くないんですよね笑。酔っ払って、なんか変なスイッチ入ってたのかな。期待していたモンペラの味と違っていて、「ちゃうねん。モンペラはこんなもんじゃないねん!」とかやたら騒いでいましたし。ウゼェ……すんません。

 


オムさん:うーん、渋くはないですね。柔らかいと思いますよ。まあ僕が飲むボルドーは格付けが基本なので(フッ)。若いヴィンテージが開く前の、もっとカッチカチで渋いやつ基準だからかもしれないですけど。

シロ:貴族ネタもらっとこw。……屈原さんも同じ?

屈原さん:渋すぎるってことはないですね。逆に甘いと思うくらい。シロさんは、過去のモンペラに対して思い入れが強いんじゃないですかね?笑。僕は飲んだの初めてですし。

シロ:それはありそう笑。

オムさん:僕もモンペラ初めてですね。キャッチーだし、今風っぽいイメージのいいワインですよね。


と、最後は酔っ払いの介護みたいになって慰めてもらいましたが、なんとか最後までたどり着きました。モンペラに関しては、確かに思い出補正で辛めに点数つけている気がします。

さて、こんな感じで、5時間弱かけた万能グラス比較会はおひらき。企画に快く付き合ってもらったお二人に感謝です。会のあと、グラス総評を聞いてまとめたので、記事はまだもうちょっとだけ続きます。

【万能グラス評価】ガブリエルグラス

ガブリエルグラス

万能型ワイングラス比較で総合1位はガブリエルグラスでした。メーカーとしても、はっきりと「万能グラス」であることを謳っているワイングラス。どのワインでも安定した強さを見せてくれました。今回の比較に使用したマシンメイドと、より軽さ薄さを追求したハンドメイドの2種があります。


オムさん:今回の比較ではジャンシス・ロビンソンと並んでツートップだと思う。高いレベルで汎用性を備えているワイングラス。ただ、外観に関しては、ステムの太さとつなぎ目(ボウル・台座の接続部分)が気になる。ハンドメイドはこの辺りも美しいので、何脚もそろえる必要がなければハンドメイドをおすすめしたい。(※注 1万3200円だけどな!)

屈原さん:どのワインでも安定感があって、最も汎用性が高いのでは?と感じた。特にブルゴーニュ赤で香りの華やかさが強かったのが印象的。デザインも整っていて、今回の4種グラスでは一番好み。ステムが太いのは気になるが、その分持ったときの安心感があり、日常使いには重宝すると思う。

シロ:今回の結果では、迷いなくガブリエルグラスを推す。「どのワインもOKだが平均点」という評価ではなく、すべてが高め安定。やはりブルゴーニュ赤が衝撃だった。ブル赤こそ万能グラスではダメだろうと思っていたので。キュッと上がったおしりのようなボウル形状はとても好み。飲み口の薄さも満足できる代物。


屈原さんと私はガブリエルグラスが1番でした。たしかに脚は太いんですよね。もうちょい細ければ完璧なんですが、個人的にはハンドメイドは細すぎだと思っています(上の写真右みてね)。

あと、ハンドは台座もめっちゃ薄いので、グラス置くたびに「カチリ」と乾いた音が鳴って、とても不安になるんです……。台座を薄くしないとスペック上軽くならないので、そうしているのかな?とも思いますが、台座にしっかり重さがある方が使いやすいです。持ったときの安定感もしかり。

オムライスさんが言うようにハンドメイドはとても美しいのですが(彼は惚れ込んで3脚所持)、日常使いはマシンメイドがおすすめですね。価格も5500円で、「1脚で済むのならアリかな」の範囲に思えますし。見た目・香り・味にとことんこだわるならハンドメイドですが、私は許容できないほど違うと思ったことはないです。ハンドの方が気分はアガりますけどね笑。

【万能グラス評価】ジャンシス・ロビンソン ワイングラス

ジャンシス・ロビンソン ワイングラス

世界的に有名なワイン評論家/ジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソンさんが企画・開発に深く携わったグラス。ハンドメイドのこれ1種類(※ステムなしもある)ですべてのワインを楽しめると謳い、2019年に発売されました。日本での販売はモトックス。


オムさん:本企画のベストグラスに選んだ。外観は、下ぶくれでコロンとしていて可愛らしい。ステムの細さやボウルの薄さも満足。スパークリングワインを注いでもそれなりに様になる。ブルゴーニュ赤との相性がいまひとつな点は残念だが、ブルゴーニュ専用グラスを別に買い、他はジャンシスにして使い分ければ磐石だ。あれ?これ何のための企画でしたっけ。

屈原さん:今回のワインではローヌ赤との相性が一番。香り立ちが上品で、フローラルかつ澄んだ印象が好みだった。繊細で、酸や苦味がやや強調されるので、大味なワインにはあまり向かない印象。ステムは細く、ボウルは4種中で最も薄張り。特別なワインを飲む際に使いたいワイングラス。

シロ:弱点がない。今回のワインすべてにピタリと合わせる対応力はさすが。外観はぷっくりと丸みを帯びたデザインで、見ていると優しい気持ちになる。ボウルサイズ、リムの薄さ、ステムの太さ、台座の大きさ・重さまで、計算された美しさを感じる。実際取り回ししやすい。


オムライスさんはジャンシスをベストグラスに選びました。実際、かなりいい万能グラスで、コンセプトをしっかり体現しています。あと、洗っていると気付くのですが、ジャンシスだけ吸い付くような感じがあるんですよね。素材が微妙に違うのか、正確なところはわかりませんが、これも飲み口に影響しているような気がします。

ネックは2脚セットしかないことでしょうか。1脚あたり7150円と、ハンドメイドとしてはお安い方なんですが、購入は1万4300円からとなります。沼にハマったあとならぜんぜんへーき(ほんとはいけません)なんですが、「とりあえず万能グラスで最初の1脚がほしい」という場合、躊躇する金額だと思うんですよね。

万能ワイングラスは買って損なし

今回は残念でしたが、ザルトもリーデルもとてもいいワイングラスです。この2種は、そもそも「これ1脚でOK」と言っているわけではないので、コンセプトが違いますし。

今回初めてリーデル・リースリング/ジンファンデルを使ったという屈原さんは、たいそうお気に召したようで、2位に選びました。オムライスさんも、「マシンメイドの技術革新ここに極まる」といった評価。好みもあると思いますが、ヴェリタスシリーズはほんと立ち姿キレイなんですよね。

リーデル・ヴェリタスと日本ワイン

こんな感じで。そういえば日本ワインに合いそうな気もしますね。

ザルトは、今回のワインにはあまりハマりませんでしたが、3人とも「意外だ」「なんでかわからない」という感想。私は普段ボルドーやイタリアの赤(おおざっぱ)なんかに使っていますが、特に違和感なくいいグラスなんですよね。まあ、同時に比べないとわからないんですが。

ザルト・デンクアート ユニバーサル

オムライスさんは、シュナン・ブランシャブリあたりに合うのではないかと予想。屈原さんは南アのシュナン・ブランカオールラングドックなど。お二人でシュナン・ブランのイメージ共通しています。また試したいですね。

さて、というわけで「万能型ワイングラス」比較、ガブリエルグラスジャンシス・ロビンソンは、本当にいろんなタイプのワインで使えるとわかりました。初めてのワイングラスにもいいと思います。ちなみにどちらも食洗機対応です。

また、すでに専用グラスを数多く持っているという方でも、味の見当がつかない初見のワインに使えます。私はその場合、ガブリエルをあてることが多いですね。

今回のためにグラスもそろえたので、また何かやりたいと思います。比較会自体もテーマが決まっているので、最初から最後まで思う存分ワインの話ができて楽しい。ざっくばらんな飲み会もいいですが、こういうのもやはりいいですね。

 

ではこれでほんとに最後!ここまで読んでくださった方、こんな長い記事に最後まで付き合っていただいて、ありがとうございました。記事書いたときはちょこちょこTwitterでつぶやくので、またよろしくお願いいたします。(→シロ@ワイン飲み

 

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コメント

  1. FRED より:

    万能グラスの記事ありがとうございました。勉強になりました!
    私がワインに興味を持って、グラスまで買うようになったきっかけを作って下さったサイトで、記事の影響で俄然リーデル押しでした。ワインを日常的に飲むようになり、グラスにも気にかけていた中での、リーデル以外のメーカーの多さにあぜん。。
    リーデルしか持っていませんが10種類集めたと思った矢先、他のメーカーにも目を奪われてしまいました。
    ワインの知識も乏しくミーハーですが、名前的にザルトがいい。ガブリエルなんて、天使の名を持つグラスは私には似合わない(けど、欲しい。。)
    と、色々前振りをしたのですが、一度、有名やオススメなど関係なく、グラスのメーカーの記事を書いて頂けると嬉しいです。このブログでリーデルやショット・ツヴィーゼル、ロブマイヤーは覚えれました。ザルトはたまたま、Twitterで知ったような覚えがあります。
    中々、グラスにフォーカスをあてて(リアルな声も添えて)あるのも、探したけど見つからなかったので、そういうのがあると私のような初心者でも、また新しい世界が見えて楽しめそうな気がしました。
    いつも、楽しい記事ありがとうございます。

    • Shiro Shiro より:

      FREDさん、記事のご感想ありがとうございます。私もリーデル推しは変わらないですが笑、ガブリエルグラスも相当いいワイングラスでした。

      ワインと同じく、ワイングラスもどんどん新しいものが登場しますよね。ハマっていくと際限なくお金と保管場所が吸い取られていきますのでご注意を笑。でも、そこがまたいいんですよね。いろいろなグラスでワインを楽しんでいきましょう。

  2. シェル より:

    いつも楽しく読ませて頂いております。

    1点質問がございます。

    神の雫がきっかけでワインにハマったのですが、作中に出てきたロブマイヤーのトラベラーは、位置付け的には何用グラスなのでしょうか?

    自分で調べてはみたのですが、この記事のような実践的な記事は見つけられませんでした。

    一人暮らしの部屋にはリーデルのヴェリタスが4種類あるのですが、帰省する際は実家にあまり良いグラスがなく、せっかく良いワインを飲んでも、もっとポテンシャルを引き出せたのかな〜などと悶々としてしまいます。

    お教え頂けると幸いです。

    • Shiro Shiro より:

      こんにちは。コメントありがとうございます。

      ロブマイヤーのトラベラーいいですよね。公式としては「万能グラス」とは定義づけていないですが、用途を考えると、想定はされていると思います。以前はたしか「シャンパン チューリップD トラベラーII」と呼ばれていたこともあったと思うので、シャンパンもOKです。

      ショップでは、KATSUDAさんが「シャンパーニュ、赤ワイン、白ワイン」に推奨してらっしゃいます。

      【正規品】ロブマイヤー バレリーナ トラベラーII 【バーガンディ】