ワイン初心者におすすめ!ざっくり覚えるテイスティングコメント
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ワイン初心者におすすめ!ざっくり覚えるテイスティングコメント

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ワインを飲んで美味しいと感じても「おいしい」「飲みやすい」しか言えないのは、ちょっとさみしいですよね。上司や取引先に高級ワインを飲ませてもらったり、友人との集まりで誰かが良いワインを持ってきていたときなどは、何も言えないと申し訳ない気持ちになりますし。

相手はそんなこと思っていないと分かっていても、いいワインをごちそうになる側としては、気の利いた感想の一つくらい言いたいものです。本格的なテイスティングコメントとまではいかなくても。

そこで今回は、ワインの知識がなくてもそれっぽい感じに聞こえるテイスティングコメントをご紹介します。取引先の社長からワイン会に招待されて慌てる会社員の設定でどうぞ〜。



ワインのテイスティングコメントの意味

shinjin新人:大学院を卒業し昨年入社した27歳。ちょっと遅咲きまだまだ新人くん。元気いっぱい社内外を駆け回る日々。酒はなんでも飲むが、ワインは適当に出されたヤツを飲むだけ。
senpai先輩:入社10年目。仕事はそつなくこなす32歳。自宅ワインセラーには常に数十本のワインストック。週2回以上ワインバーに通っているが、そこでは一人で飲みたいので誰にも内緒。
新人)先輩!取引先の社長に、今日何人かでワイン飲みにいくから一緒にどう?って誘われちゃいました。

先輩)ああ、あそこの社長ワイン好きで有名だからな。いいもの飲ませてもらえるぞ。気に入られてよかったじゃないか。

新人)そうですけど、僕ワインあんまり飲まないので、善し悪しとかまったくわからないんですよ。他の取引先からも人は来るので気軽に参加していいよと言われてますが、ワインの話なんてできません。

先輩)社長はいかにも元気だけの若造(27)って感じのお前とワイン談義なんかできると思ってないだろ。素直にうまいと思ったものをうまいと言えばそれでいいんだよ。

新人)元気だけの若造(27)……。そうですけど、高いワイン飲ませてもらっといて、「うまい!」だけしか言えないんじゃカッコつかないっすよ。

先輩)ワインにさほど興味がなければ、「美味しい」と「飲みやすい」しか言えないのは普通だと思うが、まあカッコつかないって思う気持ちはわかる。

新人)でしょう?先輩はワイン通ですよね?なんかすぐに使えるワインのうんちく教えてくださいよ。素人でも恥かかないやつ。

先輩)俺はワイン通じゃなくてただワインが好きなだけだ。それよりお前、この時点で決定的に間違ってるぞ。

新人)え?何がですか?

先輩)ワイン好きが、それほどワイン飲まないやつにいいワインを飲ませるのは、本当にうまいワインを味わってほしいだけだよ。飲ませた相手からワインのうんちくなんか聞きたいわけないだろう。

新人)そ、それはそうかも……

 

ワインの感想に間違いなんてない

ワインはやたらとかしこまったイメージが先行してしまい、知識がなければ飲んではいけない雰囲気すらあります。味の感想ですらも「間違っているんじゃないか」と恐れている人もいるほど。

たとえばラーメンなら、同じものを食べて濃いと感じる人も薄いと感じる人もいるでしょうし、お互いそれを責めたり気後れしたりすることはないでしょう。味覚なんて人それぞれなんですから、本来どう言おうとかまいません。

ワインも基本はそれでいいし、ほんとは「このワインおいしい!」と言うだけでもいいんです。プロは人によって程度や解釈が変わる表現を避けますが、普通に飲む分には関係ありません。誰かに手料理を振る舞ったときに、「この香りはカツオ出汁ですね。醤油のアクセントもあります」とか言われても嬉しくないですよね……。素直に「おいしい」って言ってほしい。

本当のワイン好きの中でも、やたらうんちくを語ったり他の人の感想にケチをつけたりする人は敬遠されます。

感想をテイスティングコメントに置き換えてみる

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Photo by:Sharing Flavored, Colored Ice / clappstar

新人)うんちくはいらないってことは分かりました。でも何を飲んでもうまいって言うだけじゃあ、そこで話終わっちゃいますよ。つまんないやつって思われたら、次から誘ってもらえないかも。

先輩)まあ確かにな。お前が少しはワインがわかるやつと思われたら、今後のつきあいに有利だ。しかし、ワインのうんちくを語ってはいけないことは変わらない。大事なのは味の感想だ。聞きかじった知識で産地や造り手のことを話すのはやめとけ。そんなのはもっとワイン飲み慣れて気心が知れている者同士でやるもんだ。

新人)なるほど。でもワインの感想って、絵画とかクラシックに例えたり、森の蝶を追いかけて恋人たちを覗きに行ったり、さらにワインの中に宇宙に浮かぶ仏像を見て「お・・、おぉ・・・」とか言いながら、ペガサスに乗ってヒャッハーしないといけないんですよね?

先輩)なんでそんなこと知っとんねん。ワインまったく知らんのとちゃうんかい。設定がおかしくなるやんけ。

新人)なぜに関西弁。

先輩)あー、ところでお前は味覚オンチじゃなかったよな?

新人)あ、はい。それは大丈夫です。ワインをあまり飲まないだけで、食べ物には結構うるさいですよ僕。鼻もききますし。

先輩)なら大丈夫だな。今までに飲んだワインで印象に残っている味はあるか?

新人)うーん、たいていは渋いと思うことが多いですね。あとはやたら甘いとか酸っぱいですかね。あ、でも一度白ワインで南国系のフルーツみたいな香りがしたことがありました。

先輩)おー、上等上等。あとはその感じた味をワイン用の表現、つまりテイスティングコメントに置き換えてやればOKだ。よし、もう時間がないからとりあえず今日を乗り切れる表現だけいくぞ。

新人)やった!ありがとうございます!

 

味覚を共有するために表現する

ワインには正解などなく、味わったとおりに感想を言えばいいのは確かです。自分の言葉で表現することは大事です。

ただ、好きなように表現しろと言われても、なんの情報もなければ難しいですよね。私は小学校のときの作文を思い出します(あれはツラかった…)。

ワインはその歴史の中で、色や味わいを共有するためにほんとうに様々な表現を生み出してきました。「このワインの美味しさ、素晴らしさをなんとか伝えたい」と先人たちが知恵をしぼって考えてきたものがテイスティングコメントで、いわばワインの共通言語です。

ワインを飲むときは、そんな先人たちやワイン文化に敬意を払うという意味でも、「美味しい」「飲みやすい」よりもう少し踏み込んだ感想として、テイスティングコメントがわかるともっとワインが好きになると思います。

シャンパーニュのテイスティングコメント

senpaiまずはシャンパーニュからだ。ちなみにシャンパンでもいいが、シャンパーニュって言った方がちょっとそれっぽい。
shinjinうちの部長はシャンペンって言いますよね。
senpaiそれはバブルの名残だ。そっとしておいてやれ。
先輩)さて、今日飲みにいってまず間違いなく最初に出てくるのはシャンパーニュだ。他のスパークリングワインの可能性もあるが、あの社長ならまあシャンパーニュだろう。

新人)シャンパーニュとスパークリングワインは違うんですか?

先輩)フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインがシャンパーニュだな。

新人)スパークリングワイン部シャンパーニュ課みたいな感じっすね。

先輩)ま、まあ合ってる。ちなみにシャンパーニュ地方で造られていても、製法が違えばシャンパーニュと名乗れない。それで、さっき味の感想が大事と言ったが、シャンパーニュの場合はまず泡を褒める

新人)泡ですか。

先輩)そう。シャンパーニュは通常フルートグラスという細長いグラスに注がれる。グラスに細長い泡がいつまでも立ち昇っているのが美しいとされる。味の感想ではないが、誰でも見ればわかるから便利だ。

新人)泡が立ってますね〜と言えばいいですか?

先輩)いくつかあるが、「泡が細い」「泡が元気」「ゆっくり出ている」あたりがいいかな。しばらく経ってからまだ泡が出ていたら「いつまでも泡が出ている」と言えば、最高の褒め言葉になる。

新人)なるほどなるほど。泡が立ち昇ってなかったらどうします?

先輩)あの社長ならしっかりした良いシャンパーニュだろうし、今回はそんなことはないと思うが、もし泡がなかったら無理にコメントせずそのまま飲んでいいよ。

 

シャンパーニュは泡もポイント

ロブマイヤー・バレリーナ・シャンパンチューリップAとB

ワイングラスから立ち昇るシャンパーニュの泡は、とても美しく、ワインテイスティングにおいて大切な要素です。

リーデル社のフルートグラスではグラスの底にわざと小さな傷をつけ、そこから泡が立ち昇るようにしてあります。
リーデル・ヴィノム・シャンパーニュ

Riedel(リーデル)社はワイングラスによってワインの味が変化することに気付き、世界で初めてブドウ品種ごとのワイングラスをリリース...
最高峰のワイングラスとして有名なロブマイヤー・バレリーナワイングラス。もちろんシャンパーニュ用もあり、シャンパングラスはロブマイヤー...

シャンパーニュの香りと味わい

Dom-Perignon

先輩)次に、シャンパーニュのテイスティングコメントだが、香りはナッツや柑橘系、味にも酸味やコクと、表現にはいろいろある。だが微細な違いはプロでもあまりわからない。

新人)そうなんですか?よかった。僕はキリッとしてるくらいしか言えないですよ。

先輩)ああ、それも大事な要素だよ。「酸味」「ミネラル」で表現したりする。加えるなら、香りがいいと思ったら「花」「青リンゴ」「柑橘系」のような香りと覚えておけば、だいたい合ってる。ドン・ペリニヨンのような高級シャンパーニュなら焦げたような香りがするから、それは「トースト」。感じたままだから、それくらいはかぎ分けられるな?

新人)大丈夫です!フルーツかトーストの香りという感じですね。

先輩)あくまで今日だけ乗り切るための簡単分類だけどな。次に味だが、甘味があるなら素直に「優しい甘味ですね」。辛口だと思ったら「キレのいい酸味」とか「ミネラルを感じる」でいい。とんがった特徴がなかったら「バランスがいい」と言っておけ。

新人)わかりました!

 

甘口辛口によるシャンパーニュの分類

シャンパーニュの分類として、甘口のドゥから、補糖しない辛口のエクストラ・ブリュットまで、6段階の呼び方があります。

  • ドゥー(doux)
  • ドゥミ・セック(demi sec)
  • セック(sec)
  • エクストラ・セック(extra sec)
  • ブリュット(brut)
  • エクストラ・ブリュット(extra brut)

最も甘口のドゥはあまり飲む機会がないと思いますので、甘口と言えばセックの方がよく聞きます。

とりあえずブリュット=辛口、セック=甘口の2つだけ覚えておけば、味わいの予想ができて便利です。ブリュットの方が生産量も人気も高いですが、私は味の特徴がよくでるセックも好きです。

白ワインのテイスティングコメント

whitewine-glass

shinjinそういえば白ワインって、誰でもわかる高級ワインってないですよね。ドンペリとかロマコンみたいな。
senpaiドン・ペリニヨンとロマネ・コンティ。ちゃんと言え。高級白ワインで有名なのは、モンラッシェとかシャトー・ディケムかな。でも確かにそこまで一般に浸透しているのはないな。
shinjinやっぱり聞いてもピンときませんねえ。今日モンラッシェが出てきたらあとで言いますね!
senpaiくっ……。(うらやましい)
先輩)次に白ワインだ。白ワインは大きくわけて「酸味のあるスッキリ系」「コクのあるこってり系」がある。

新人)天一のこってりとあっさりみたいですね。こっさりはないんですか?

先輩)ねえよ。と言いたいところだが、酸味があってこってりというのもあるにはある。他に甘味も重要な分類の要素だが、とりあえず今は酸味かコクかだけで分ける。

新人)わかりました。コクってどんなんですか?白ワインにコクなんて感じたことないですけど。

先輩)安い白ワインだとコクがあるものはまずないからな。コクのある白ワインは、色がイエローとか黄金色になる。つまり色が濃い。バターとかナッツとかそんな感じの香りがある。飲んでみてコクが分からないってことはまずないだろう。

新人)じゃあ飲んでみてスッキリ系かコク系かをまず見極めると。それぞれのコメントはどうなりますか?

先輩)スッキリ系なら「引き締まった酸味ですね」とかでいい。「酸っぱい」はネガティブなイメージがあるから避けろ。「酸味がある」になおす。コク系はそのまま「コクがありますね」でいい。

新人)はい、「酸っぱい」禁止令出しておきます。

先輩)香りはどちらも同じで「花」「リンゴ」「レモン」「バニラ」あたりがよくある香りだ。バニラ以外はシャンパーニュと同じだな。

新人)へえ、バニラですか。入っているわけじゃないですよね?

先輩)ああ。バニラはオーク樽で熟成するときにつく香りだ。「樽がきいている」や「樽香(たるこう)」と表現してもいい。シャンパーニュにもあるんだが、白ワインの方が感じやすいと思う。嗅ぎとったら使ってみな。

新人)わかりました。「バニラの香りがする」ですね。「ヴァニラ」って言わなくていいですか?

先輩)どっちでもいいわ!

 

高級白ワインはシャルドネ率が高い

chardonnay-grape

先輩)あと、高級白ワインだとたいがい葡萄はシャルドネだな。まあ品種を当てに行く必要はないが。

新人)シャルドネですか。

先輩)ああ。シャルドネは世界中で生産可能な品種で、高級白ワインでは突出してこの品種が使われている。それにシャルドネは実に変幻自在で、産地や造り手によって、同じぶどう品種から造ったワインと思えないほど多様な味のバリエーションがある。

新人)なるほど。

先輩)だから、シャルドネという葡萄品種の特徴より、国や生産者の話になっていくことが多い。適当なタイミングで、「おすすめの造り手を教えてください」と言えば、みんな嬉々として名前を挙げて、場が盛り上がるはずだ。

新人)おおー!初心者でも話を振れるわけですね。そこでメモ取っておけば、御礼メールのときに「さっそくおすすめのワイン買いました」とか言えますね。

先輩)さすが営業マンだな。ワイン好きには何よりも嬉しい言葉だ。ただ、「私にも買えるやつで」と言っておかないと破産するぞ。

新人)うっ、……気をつけます。

シャルドネはいろんな味に化ける

高級白ワインによく使われるシャルドネは、それ自体はあまり個性がないと言われている葡萄です。テロワール(産地の土壌や天候、風土)によって変わったり、樽などの仕込み方や熟成具合によってさまざまに変化します。

私はバニラアイスのような香りがするコク系白ワインが好きなのですが、これはシャルドネの特性ではなく、木樽を使って発酵・熟成したためついた味だと初めて知ったときは驚きました。ステンレス樽だと違う味わいになります。

赤ワインのテイスティングコメント

Bordeaux-Bourgogne

shinjinそういえば居酒屋ではよく冷えた赤ワインが出てくるんですけど、冷やしちゃダメですよね。赤は常温が常識ですよねえ。(ドヤッ)
senpaiいやそうとは限らん。日本の室温はヨーロッパの16度前後よりも高いから、「常温」の概念が違う。それに居酒屋の安ワインは、渋みが少なくてやたら甘いワインが多いから、むしろ冷えている方が甘味が締まっていい。俺は飲まんけどな。
shinjinまさかの居酒屋擁護。からの全否定。
先輩)さて問題は赤ワインだ。

新人)ワインと言えば赤ワインですよね。やっぱりテイスティングコメントも難しいんですか?

先輩)そうだな。多種多様すぎて「これだけ覚えたらいい」というのが絞り込めない。

新人)えー、どうしましょう。

先輩)ヤマをはる。かなり強引だが赤ワインをバッサリ2パターンにわける。ボルドー系ブルゴーニュ系だけ今日は覚えろ。

新人)ボルドーとブルゴーニュ。フランスワインですよね?

先輩)そうだ。ざっくり言うとボルドーは濃くて重くて力強い。ブルゴーニュは繊細でエレガント。この2系統は世界中で造られていて、味わいをフランスのボルドーワインとブルゴーニュワインとの対比で語ることも多い。

新人)赤ワインの原点かつ頂点って感じですね。

先輩)そうだな。ボルドー系とブルゴーニュ系の見分け方はボトルの形状だ。ボルドーはいかり肩、ブルゴーニュはなで肩の形(※上の写真参照)をしている。フランス以外のワインでもこの形式にならっているから見分けはつく。注いだあとの色でも簡単にわかる。ボルドーは色が濃くて、ブルゴーニュは薄く透き通った感じ。

新人)わかりました。どちらもよく見かけるボトルですし簡単ですね。色も見てみます。

 

赤ワインはメジャーな葡萄品種が多い

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赤ワインはボルドーとブルゴーニュ、つまり葡萄品種でいうとカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、ピノ・ノワールの他に、グルナッシュ、シラー、サンジョヴェーゼなど、甘かったりスパイシーだったり酸味が強かったりと、味の傾向が違うものが多くあります。しかもそれぞれがメジャー級です。

ブドウ品種の傾向と自分の好みをつかむには、単一品種で造られた赤ワインを飲んでみるのが一番。

ただボルドーはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを中心にブレンドされているため、ブドウ品種ごとの味を覚えるには適さない。ブルゴーニュの赤ワインはピノ・ノワールだけで造られていますが、値段が結構高いです。

そこでおすすめなのがチリワイン。コノスルがヴァラエタルシリーズという1本800円程度のワインを造っており、メジャーなブドウ品種はそろっています。

安くておいしいワインが飲みたい!ワイン好き共通の願いですね。 とはいえ、1000円以下のいわゆる“ワンコインワイン”などは、ハ...

赤ワインの香りと味の特徴

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先輩)赤ワインの味の特徴や香りの表現だが、たくさんありすぎて一度には覚えられない。だが、逆に感じたとおりに何を言ってもわりと大丈夫ということでもある。カシス、チョコレート、バラ、すみれ、バニラ、ジャムといった良い感じの香りや味の表現のほか、なめし革、獣、硫黄、えんぴつ、腐葉土、濡れた犬の毛、猫のおしっことか、それギャグで言ってんの?みたいなテイスティング用語もある。

新人)猫のおしっこ。あんまり味わいたくない感じですね……。

先輩)うむ。これは白ワインのだけどな。……ちょっとうんちくっぽくなってきたから元に戻す。さっきのは忘れてくれ。どうせこんなニュアンスなんていきなり感じ取れないし。とりあえず今日覚えられそうな表現だけいくぞ。

新人)はいお願いします。

先輩)まずはボルドー系。香りは「果実」「スパイス」「チョコ」のどれかは感じると思う。果実でもたとえばカシスは黒い果実、ラズベリーは赤い果実と呼ばれるが、よく分からなければ果実でいい。

新人)はい。果実で統一しておきます。

先輩)チョコレートあたりは分かりやすいと思う。コーヒーやタバコの方が近いこともある。スパイスはそのままコショウっぽい香り。味わいは、渋いと感じたら「力強いタンニン」、濃いと思ったら「凝縮感がある」だ。逆にちょっと薄く感じたら「エレガント」。これらを組み合わせて使えばたいがいいける。

新人)なるほど。渋みはタンニンなんですね。濃くてうまいなら「凝縮感があっておいしい」と言えばいいのか。

先輩)そうだ。言いかえるだけでそれっぽくなる。あと「複雑」というのはワインにとって最高の褒め言葉だと思っていい。逆に「シンプルな美味しさ」は、今回はやめておけ。安ワインだと言っているに等しい。

新人)うわあ聞いといてよかった。「シンプルにうまいです!」って言ってしまいそう。

先輩)では次にブルゴーニュ系。ブルゴーニュは香りが強く感じられるはずだから、嗅ぎとったとおりに言っても大丈夫。イチゴやチェリー、ジャムなどはなじみがあって分かりやすいな。「葡萄の香り」とは普通言わない。葡萄酒なんだけどな。飲んでみてフルーティだと思ったら「果実味がある」、まろやかだったり舌触りがなめらかなら「シルキー」だ。最強なのは「華やかでエレガント」。高級なブルゴーニュで、これに当てはまらないものはほとんどない。ボルドーと同じように「複雑」も使える。

新人)わかりました。「華やかでエレガント」覚えておきます。「果実味」と「シルキー」も語感がいいですね。「複雑」は便利ですねえ。

先輩)ワインを飲んでみて、美味しいが表現の仕方がわからなかったら、「何と言えばいいんだろう、すごく複雑ですね」とでも言っておけ。そうすれば、詳しい人が後を引き取って、味を分解して説明してくれるだろう。

新人)もう「複雑ですね」だけでいいような気がしてきた。

先輩)乱用すると「コイツほんとにわかってるのかな」と思われるから注意な。

新人)わかりました!切り札にとっておきます。あっ、そろそろ時間だ。行かないと。

先輩)あくまでとりあえず乗り切るためのものだから、今日のワイン会が終わってワインに興味が出てきたら、ワイン本を1冊買って読むといい。知識があるとワインがもっと美味くなる。

新人)はい!ありがとうございます。早くワインが飲みたくなってきました!

 

ワイン好きの優しい世界

heart-book

ワインは好きなものを気軽に飲めばいいのですが、知識を得るとさらに美味しく飲めます。一緒にワインを飲む仲間ともさらに楽しめるようになります。

ただ、テイスティングコメントに代表されるワイン文化そのものが、ある程度の知識を要求されるため、ワインの敷居を高くしていることも事実です。

ソムリエやワインエキスパートの方々は、そのあたり心得たもので、むやみにワインの敷居をあげないよう、それとなく優しく教えフォローしてくれます。

ワインを少し覚えたときに、初心者に否定的な言葉を投げたり、マニアの世界を作って排他的になるのではなく、「ワインの世界へようこそ」という気持ちで一緒に楽しめる環が次々に生まれたらいいなと思います。



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