楽天市場のワインショップ「CAVE de L NAOTAKA(カーブ・ド・エル・ナオタカ)」。ワイン会で店長の戸塚尚孝(@cellar_likaman)さんにお目にかかった際、いろいろと伺ったワイン業界の話が面白かったので、改めて取材を申し込んだところ、「何でもしゃべりますよ!」と快諾していただきました。
ワインの原価や利益率、ワインショップのお仕事、気になるワインくじの話など、「これ、書いていいのかな?」と、逆にこちらが心配になるお話も笑
お人柄そのまま包み隠さずお話いただいたので、できるだけ雰囲気を損なわないようインタビュー形式でまとめました。ワイン業界の話盛りだくさんのインタビュー記事、ご覧くださいませ!
目次
カーブ・ド・エル・ナオタカの店長、戸塚尚孝さんって何者?
気さくな人柄で、Twitterでもワインラバーと気軽にお話されるCAVE de L NAOTAKA(カーブ・ド・エル・ナオタカ)の戸塚尚孝さん。ワイン好きには、ワインショップ店長としての顔がよく知られていると思いますが、実は「NAOTAKA」以外にも全29店舗を経営する株式会社イズミセの代表取締役社長です。主な事業は、業務用も含めた酒類・輸入食品などの通信販売。また、ワインのインポーター都光の社長でもあります。
※本記事では親しみを込めて「尚孝さん」とお呼びします
シロ:気さくな店長キャラの尚孝さんですが、現在はイズミセや都光の社長さんなんですよね。いつごろからやってらっしゃるんですか。
尚孝さん:イズミセの社長は2年前から、都光は去年からですね。グループ全体のEC事業(ネット通販)は10年前から僕がやっています。当時は店舗のバイヤーと兼任で、5年くらい前からEC専任ですね。
シロ:楽天だけでも、商品を共通で管理しているショップが複数ありますよね?あれはどういう棲み分けですか?
尚孝さん:元々は「リカマン」とワインセラーの「セラー専科」です。セラー専科はワインセラー専門だったんですが、僕が担当してからデイリーワインも扱いだしました。安ワインに強いショップになったので、ちょっと高めのいいワインのショップとして「CAVE de L NAOTAKA」をオープン。それから「CHAMPAGNE HOUSE(シャンパンハウス)」があります。こちらは名前のとおり、シャンパーニュ専門店です。他にも業務用ワインの専門店や、ワイン以外にもウイスキー専門店、ジン・ウォッカ、日本酒専門店などもあって、現在29店舗を運営しています。
シロ:酒類の総合販売業って感じなんですね。尚孝さん自身はずっと業界の方ですか?
尚孝さん:そうですね。学生時代に心斎橋でバーテンダーをやっていて、そのままお酒の業界に。ワインの営業やバイヤーを経て現在の立場です。
シロ:じゃあワインも昔から飲んではったんですね。
尚孝さん:はい。仕事もありますが、父親や親族の影響も大きいですね。
シロ:と言いますと?
尚孝さん:ジャン=ロベール・ピットってご存じですか?フランス・ワインアカデミー(Académie du vin de France)会長で、パリ第4大学(ソルボンヌ)の元学長。地理学の権威です。彼と結婚したのが、私の伯母です。
シロ:えっ?
尚孝さん:伯母もフランス関係の本書いたりしているんですが(※戸塚真弓さん)、そんなこともあって昔からワインに触れる機会は多くありました。父親もワイン好きですし。
シロ:貴族の系譜や……サラブレッドや。
ワインセットの内容・価格の決め方
シロ:カーブ・ド・エル・ナオタカといえば、「渾身セット」と「鬼コスパセット」って感じですが、あれはどうセレクトしているんですか?
尚孝さん:渾身セットはちょっといいワインをセットで買いやすい価格にしたもので、鬼コスパセットはいわゆる安ワイン中心のセットですね。どちらも価格以上の味わいと思ったものを選んでいて、原価率はかなり高いですよ。味と原価を見ながら選んでいますが、どうしても飲んでほしいワインはほとんど原価で入れていますね。利益ないなーとか言いながら笑。
シロ:なるほど笑。時々すごい割引率で出すセットもありますよね。先日やっていたヤケクソセールと、Twitterで「こんなセット知らん……安すぎです」って言ってたやつは笑いました。自分のショップなのに。
尚孝さん:ヤケクソセールはドイツワインですね。すごくいいワインなのにまったく動かないので、もう半額でいいから飲んでくれ!ってなって笑 1万円超えるワインは、美味しくてもやっぱりそんなにホイホイ売れるわけじゃないんですよね。僕が知らなかった3本半額8000円セットは、シャンパンハウスの店長が組んだものでした。任せているものもあるので。
シロ:ドイツワインセールのなかにあった、ペーター・ヤコブ・キューンとか、ほんとにいいワインですよね。でも難しいんですねえ。3本8000円セットも楽天セールとはいえ、これは安いと思いました。
尚孝さん:あれはグランクリュのシャンパーニュとブルゴーニュ・モンタニーのプルミエクリュ、それにドイツのシュペートブルグンダーでしたね。半額セールに出すのはやりすぎ!8000円って笑 グランクリュシャンパーニュだけでも……。原価ならわかりますけど。いや、原価でもキツイか。でも楽天だと一度購入してもらえばメルマガ登録されるので、今は当店を知っていただくきっかけになったと思っています笑
シロ:あれはほんと赤字セールだったんですね。お得なワインセットの見分け方ってありますか?
尚孝さん:お得の定義によりますが、純粋に割引きということなら、直輸入しているワインは大幅値引きが可能です。間に入るところがないですからね。30〜50%引きというのは、間違いなく直輸入ですね。原価を考えると、直じゃないとできません。
シロ:裏ラベル(インポーター)とかあまり読まない方でも、分かるようになります?
尚孝さん:うーん、どこも別に隠しているわけではないですが、完全に明らかにするわけでもないですしね。ウチに限らず、いろいろショップ見ていると慣れてきて、分かるようになると思います。あと、ある程度そのあたり慣れている方は、気になるセールワインは今のうちに買っておいてほしいですね。
シロ:どうしてですか?
尚孝さん:ウチは他のショップさんにも卸すので、扱っていただけるお店が増えると、勝手な大幅値引きはできなくなるからです。迷惑かかりますし。逆のパターンもあるので、このあたりはお互い様。ぜひうまく立ち回って、お得にワインを買ってください笑
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ワインの原価について
シロ:ところで、ここでいうワインの原価というのは、ワイナリーがインポーターに販売する価格という認識でいいですか?
尚孝さん:そうです。元の価格はワイナリーが出します。そこからかかる経費はどのワインでもあまり変わらないですね。5000円でも数万円のワインでもほぼ同じです。リーファーコンテナ(冷蔵)で運んでも、1本あたりにすると100円〜200円くらいの違いです。
シロ:えっ!思ったよりかからない。
尚孝さん:輸送費でいうとそんなもんですよ。国の場所や輸入量にもよりますし、他の経費も当然かかりますけどね。高いワインは元値からしっかり高いです。
シロ:なるほど。半額セールとかあっても、「元の価格表示が高い」って声もたまに聞きますが。
尚孝さん:それ!ちょっとそこ話していいですか。ウチのことだけではなく、ワインの価格について。
シロ:は、はい。
尚孝さん:元の価格設定が高いとか、単品だと割高とか言われるんですが、本来あの価格が適正なんです。商売を続けていくには、適正利益が必要です。別にボロ儲けしようってワケじゃないんです。無理やり値下げすると、インポーター、問屋、小売りのどこかが泣くしかないんですよ。過度な価格競争になると全部が疲弊していきます。酒屋ってほんと利幅薄くて、ウチはまだインポーターも兼ねているからいい方ですけど、小さいとことかほんとに厳しいですよ。
シロ:確かに利益がないと続けられないのはどの商売でも同じですね。消費者としてはそりゃ安いほどいいですが。
尚孝さん:もちろんそうですね。消費者が安さを求めるのは当たり前ですし、商売ですから経営努力で応えていくのは当然です。ただ、消費者を騙しているみたいな言い方をされると、それは違いますと……
シロ:ああ、原価とか経費面の苦心をスルーされて「ここは安くみせかけている」って言われるのは、確かに心をえぐられますね。一方で、たいていの人は企業など売り手側にも属しているわけで、その辺の理解はありそうな気もします。なんとなくですが、ワイン好きな方は特に。
ワインの適正利益
尚孝さん:例えば某有名シャンパーニュ。あれは小売価格6000円で売ると、関係者全員にきちんと利益が出るんです。それ以下だとどこかが赤字負担しています。競争が激しすぎて、最安値だと3700円とかで売っているところもある。絶対に利益出てないです。でも安い所で買われるから、競争して下げざるを得ない。特にネットだと価格順で並べ替えできますから。
※本文とは無関係なイメージです!
シロ:人気商品の価格を下げて、合わせ買い狙いってことではないんですか?
尚孝さん:それが有名銘柄の場合、ほとんど指名買いでそれしか買われないんですよ。100人に1〜2人は他のワインも買う方いますが、たいていは隣に知らないワインがあっても手は出さない。五大シャトーなども同じです。価格競争については、5万円のワインが、100円の差で1本も選ばれないなんてこともザラにあります。
シロ:えええ……。なんか自分の知ってるワインラバーのイメージと違う。指名買いのワインがあっても、送料薄めるために同梱パンパンまで注文しようとか思いますけど。ワインセット買うときも、1個口12本まで隙間埋めようとしてしまいます。
尚孝さん:いいお客さんです!笑 そういう方は2割いないくらいですね。たいていは目当てのワインだけ、またはワインセットのみの注文です。セットは送料負担なので、本数が少ないと地味に乗っかってきます。こちらも同梱で埋めてもらうのは助かるんですよ。
シロ:価格競争も驚きです。数万円のワインとかだと、あまり最安値に拘らない方が多そうですけどねえ。
尚孝さん:よほど変な信頼できないショップは避けると思いますが、やはり安くすると買われますよ。もともとバラ売りに強いショップなどもあるんですけどね。たいていはワインセットが売上の大部分を占めるはずです。そして、これまたウチはワインセットの利幅が薄い笑
シロ:渾身セットと鬼コスパセットのことかー!w
尚孝さん:ですね笑 それ以外のセットも、見る人がみたら分かってもらえると思います。同じ価格帯のセットでも、原価めちゃくちゃ安いワイン使って、その分広告費につぎ込んでいるショップもありますからね。ウチは広告費よりも原価率を上げる方にリソースを割くので、企業文化がかなり違うんですよ。
ワインくじにはホントに当たり入っているの?
シロ:超高級ワインが当たる「ワインくじ」も凄く盛り上がる雰囲気ありますよね。やっぱり結構売れているんですか?
尚孝さん:よく出てますよ。というか、あれは数売ってナンボの商品なので、量が出てくれないと困りますね。
シロ:特賞のワインは、五大シャトーなど豪華なものが多いですが、「ほんとに入ってるの?」という声もよく聞きます。私も実はちょっとだけ疑っている一人ですw ナオタカさんとこホンマに入ってます?5000円で特賞サロンのシャンパンくじとか。
※特賞サロンは1万円の極シャンパンくじになりました。でも5000円のもどちらも魅力的!
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尚孝さん:入ってます入ってます笑 今どきそんな不正したら、内部告発とかで広まっちゃいますよ。サロンはあのワインくじのために、海外からきっちり量を輸入してます。
シロ:その割に、あまり当たり報告聞かないみたいな声もありますが。
尚孝さん:ウチのは各ショップ共同企画なので、楽天市場のカーブ・ド・エル・ナオタカやシャンパンハウス、セラー専科などのほか、ペイペイモールなどもすべて共通なんです(※ちゃんと販売ページに書いてある)。倉庫は全部同じところで、ピッキング順に出荷していくので、当たりはバラけていると思います。どこのモールで当たるのかは分からないですね。
シロ:なるほど。お客さんの属性もバラけますね。当たり報告については、まあ皆がSNSやっているわけじゃないですしね。
尚孝さん:そうですね。ウチとしては、絶対不正はないと言い切れます。くじの在庫管理表ちょっと見ます?
シロ:いいんですか?じゃあ問題ないところだけ。
…………
……なるほど、システマティックですね。
尚孝さん:はい。たとえば400セットと決めたら、最初に在庫管理ソフトに入れて表を作ってしまうんです。それ以降は私でも触れません。機械的にピックして発送されていく。在庫管理システムとも連動するので、不正なことすると数字が狂うし、正直そんな細かいとこいじっているヒマないです。
シロ:確かに。経営管理めちゃくちゃになる方がめんどうですね。
尚孝さん:たまに、ほんとに入ってるのかとか、親族や知り合いに当選させてるんじゃないかとか、クレームみたいなのいただくんですよ。でも、ウチの滋賀県にある倉庫では1日4〜5000個発送(※ワイン以外も含む)しているので、そんな細かい忖度してられません。毎日戦争ですよ。
シロ:ごっ……!それはもう、完全にシステム化して、逆に人の介入を極力減らさないと無理ですよね。
尚孝さん:そうです。ちゃんとレビュー見たら、当たり報告書いてくれている方もいるんですけどね。
シロ:疑心暗鬼になっちゃうと、それもサクラだろうって思ってしまいそう。
尚孝さん:それはやらないし、今はやろうとしても絶対できないです。特に楽天は厳しく監視している。過去にあったやらせ投稿業者による問題以降、めっちゃ厳しく取り締まるようになっているんです。発覚したら退店処分もあり得るので、普通の感覚ならリスク高すぎてできないですね。ペイペイモール(Yahoo)も確か一発アウトだったと思います。
シロ:そうなんですね。でもレビューはそれくらい厳しくやってもらわないと困りますね、消費者としては。では、とにかくナオタカさんとこでは、ワインくじの不正は絶対にないということで。
尚孝さん:はい、10000%不正はありません。確実に特賞も1等も入っています。まあ他店での黒いウワサは聞いたことありますけどね(ニッコリ)。
シロ:ちょっと待ってw せっかくいい感じで締めようと思ったのに。
尚孝さん:それこそ業界の内部情報みたいなのは出回りますよ。社員が良心の呵責に耐えきれずとかね。
シロ:ええー、それもう見分けるのどうしたらいいんですか。というか、このまま書いちゃったら、自分とこだけは安心って思わせてるように見えるかも。
尚孝さん:そういうことではないんです。ほとんどのショップは誠実にやっていますよ。というかね、めっちゃ怒っているんですよ。先ほど言ったとおり、ワインくじは数売ってなんとかする仕組みなんです。薄利ですからね。でもお客さんに楽しんでもらうためにやっている。
ところが、1社でも不正なことやると、全部怪しいってことになって売れなくなってしまう。特賞や1等は実は入ってなくて、下の等のワインばっかり入れるとかね。そんなことしたら、だんだんレビューも荒れてくるんですけど、その都度販売ページ変えて、前回のやつレビューごと消しちゃったりするとこあるんですよ。あとは、300セット限定(特賞300分の1)といいながら倍の600セット売っているとか。そんなのシステムで調べたら分かることで、モールにももっときちんと取り締まってほしいんです。
シロ:なるほど。それは業界全体で浄化していかなあかんところですね。とりあえず、ワインくじ買うなら過去のレビューが残っているところがよさそうですね。
尚孝さん:たまにTwitterで「そこ当たり入ってないよ」とかポロッと言いそうになるんですよね。
シロ:やめてw なんか色々大騒ぎになるやつ!昔はあった。そう、昔はそういうところもあったかもってことで。
ワインインポーターの仕事について
シロ:尚孝さんは、カーブ・ド・エル・ナオタカの店長ですが、ワインインポーター都光の社長でもあるんですよね。インポーターの仕事についても伺いたいです。
尚孝さん:ご存じだと思いますが、海外からワインを輸入して、ショップやレストランに販売するのがインポーターの基本的な仕事です。卸が入ることもあります。ウチはショップや卸まで全部あるので、ワインによって直販だったり流通に乗せたりと、扱いは変わりますが。
シロ:取り扱うワインはどうやって探しているんですか?
尚孝さん:ワイナリーから直接コンタクトがあったり、各国の仲介業者からの紹介だったり。あとは、海外の展示会に行きます。コロナでだいぶ状況が変わっていますが、3月にドイツのデュッセルドルフで行われるProWein(プロワイン)、ここは世界最大のワイン・アルコール展示会ですね。4月にはイタリアのVinitaly(ヴィニタリー)、ボルドーでは5月にVINEXPO(ヴィネクスポ)など、大きな展示会に行ってワインを探します。気になったワイナリーには、そこから現地訪問もします。
シロ:海外へはバイヤーの方みんなで行くんですか?
尚孝さん:いえ、展示会には会長と僕、あとは通訳くらいですね。今はNAOTAKAで高めのワインを扱っているので、安ワインの方はもう一人にも買い付けをまかせていますが。
シロ:なるほど。大きく動くときは、トップ自らの選定でやるんですね。今はコロナ禍で海外には行けないですよね?
尚孝さん:そうですね。今はワイナリーや仲介から紹介されるワインのなかで選んでいます。それだけでもすさまじい数なので。とにかく試飲して、OKなら即話を進めていきます。裏においてありますが、サンプルだけでも売るほどありますよ笑
シロ:いやー、うらやましい(ほしい)。バイヤー以外の方はどんな仕事してらっしゃるんですか?
尚孝さん:ネット通販なのでサイト管理、顧客対応。あとは普通に経理や総務などですね。発送作業はここ(京都)ではやりません。滋賀の倉庫でグループまとめてやっていますので。
ワインショップやインポーターで働くには?
シロ:ワイン関係の仕事したいなーと思っている方も多いと思うんですが、どんな人がいいとかあります?
尚孝さん:今ちょうど人ほしいんですよ。ワインの知識があるオタク。
シロ:おおっ、やっぱり知識ある方がいいんですね。
尚孝さん:全員がそうである必要はないんですけどね。販促物を作ってくれる人間がほしいんです。ワイン関連って、既存の制作会社に依頼してもあまり満足のいくものがあがってこない。やっぱりどこかズレがあるんですよね。
シロ:ふむふむ。それはデザインが?ライティングですか?
尚孝さん:両方ですね。ウチ(NAOTAKA)はワイン雑誌イメージでキレイめを目指して作っているんですが、完全には思い通りにならなくて。
シロ:確かに、金赤ふちどり立体感出して「激安特価!(どーん)」みたいな、楽天でよくあるデザインではないですね。
尚孝さん:はい。綺麗だから売れるってわけでもないんですけど、「NAOTAKA」は扱うワインがちょっといいものなので。ライティングでは、キャッチコピーを考えられる人がいいです。キャッチ大事ですね。ワインだけじゃなく日本酒やウイスキーも、まずは人目を引いて他との違いを出さないと見てすらもらえない。
シロ:大事ですよね。ワインの紹介文なども書くんですよね?たまにワイナリーからもらった説明文そのままみたいなショップも見かけますけど。
尚孝さん:紹介文の中身も、もちろん大事です。ネタがなければ、説明文そのままにせざるを得ないことはありますが、ウチは基本的にストーリーのあるワインをメインに扱うので。
ワインの紹介は、「赤い果実の香りが〜」とかじゃないですよ。テイスティングコメントも大事ですけど、それはソムリエの仕事。ワイナリーの歴史や、そのワインがどう造られたのか。造り手の魅力。そんなワインのストーリーをしっかり書ける人がいいですね。
シロ:やっぱりワインエキスパートとか?
尚孝さん:いや、関係ないですね。資格なくてもかまわないです。ただ、ワインオタクとは言いましたが、ワインに惚れ込んでいるだけなのも困ります。想いが強くて「美味しい、美味しい」ばっかり言ってるショップとかもあるんですよ。でも、ただ旨いだけのワインはそこらじゅうにあります。美味しいのは当たり前です。というかね、ワインは全部旨いんですよ。旨いワインの中から、ストーリーのあるものを見つけて、「売れるようにしていく」んですよ。
シロ:(うおお熱い。めっちゃ早口で語るやん)
尚孝さん:本当に旨くてストーリーもある、でも無名。ってワインがごろごろしているんですよ。何かきっかけ、惹きつけるものがないと手にとってもらえない。繰り返しますが、美味しいワインなのは当たり前です。売れるものを仕入れないと。売れるように伝えていかないと。そこはシビアですよ。ある意味ワインは商売道具としっかり認識できていないといけません。
シロ:おっしゃること凄くよく分かります。というかライター領域ですね、それ。
尚孝さん:そうですね。ネット通販ですから、文章は大事です。まだまだ事業拡大中なので、わりと本気で人材ほしいです。少なくとも5人くらい。ウチ新商品多くて月に50〜100アイテムくらいあるんで、みんなテンパり中です。
シロ:うわ新商品めちゃ多い。ワイン好きでデザインできる人、文章書ける人、チャンスですよ! 尚孝さんアカウント→NAOTAKA.TOTSUKA(@cellar_likaman)
今後の展望・やりたいこと
シロ:今後の展開で考えていることはありますか?
尚孝さん:Youtubeやりたいんですよ。凝ったものじゃなく、ワインショップ店長が、飲んで語るみたいな気軽な感じで。それで、飲むワインはブラインドでやりたい。
シロ:純粋に味わいを評価していく過程を見せる感じですね。
尚孝さん:そうです。価格帯をそろえて、有名どころと無名のワインを比較したい。なんだかんだ言って、皆ラベルでワインを飲んでいるんですよ。それは別に悪いことではないですが、無名のワインにも美味しいのはいっぱいある。しかも、まだ知られていないから安いんです。特にシャンパーニュとブルゴーニュでやりたいですね。
シロ:どちらもブランド化して価格高騰してますもんね。
尚孝さん:家で同時抜栓して比較って、かなりワイン好きな人じゃないとやらないですよね。手間かかりますし。でも僕らは当たり前にそれができる。それで忖度なしでコメント言ってから目隠しを取る。
シロ:面白そうですね。というか、無名ワインを発掘して売れるワインに育てていくという、尚孝さんの使命と完全にマッチする内容ですね。
尚孝さん:もちろん、有名ワインはやはり凄かった。ということもあるでしょうけど、それはそれでいい。ワインはみんな美味しいですからね笑
シロ:そうですね笑 綺麗にまとまったところで、今日はお話ほんとにありがとうございました!
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