「ホットドッグ好きなんですが、あんまり店ないですよね」
何の話の流れか忘れましたが、飲み会でポッとつぶやいたひと言。
「よろしい、ならばホットドッグ会だ」とばかりに、ワイン好きのみなさんでホットドッグとワインの会を開いていただきました。
メンバーは、主催者のオムライスさん、カツミさん、ワインの泉さんと私の4人。ツイッターきっかけで仲良くしてもらっている面々です。
自己紹介はこちら。
オムライスさん(@CsJ5GPVrbWZwCy0)
カツミさん(@katsumi_451)
ワインの泉さん(@akihiro19840807)
シロ(@salewine22)
今回は、それぞれが美味しいと思うホットドッグを手作りし、かつペアリングを考えたワインを持ち寄るというもの。飲食関係のプロはいない中でのお気楽開催です。
いやー、ほんとなんという俺得な企画でしょうか。ありがてえありがてえ。好きなものは好き!と言える気持ち抱きしめるだけじゃなくて、バンバン公言していこう。
というわけで、ホットドッグとワインの会レポートです。
目次
ワインに合うホットドッグを作ろう
さてホットドッグとワインの相性を考えるにあたって、まずどんなホットドッグを作るかを考えました。
・ソーセージ
・パン
・トッピング
・ソース
これらのどこに注目し、ワインとのペアリング考えるか。
私はまずホットドッグを決めてしまうことにしました。ワインから寄せていってもいいんですが、もともと「ホットドッグ食べたい!」で始まった企画ですし。
私が作ると決めたホットドッグはコレ。
こういう感じのやつ。
これ、わかるー!って方いらっしゃいますか?その昔、オーストラリアにいたころに食べていた、食パンに雑に挟むホットドッグ。バーベキューやイベント時によく売っていました。
パンはちゃんとホットドッグ用のを使うこともありますが、焼いたソーセージと玉ねぎをパンに挟んで、バーベキューソースをかけて食べます。ケチャップでもいい。マスタードやピクルス、フライドオニオンはご自由に。まあ基本おおざっぱ、テキトーです笑
でも、このシンプルで雑な感じがファストフードとして抜群にいい。旨いんです。
記事書くにあたって、「シカゴドッグ」みたいに「オージードッグ」とか名前あるんかな?と思って調べたら、「ソーセージシズル」というらしいです。まったく知らなかった。いや、そう言えば呼んでたかも?
とにかくソーセージがメインで、パンは「焼きたてソーセージ熱くて持てないじゃん!」程度の意味しかない感じ。もともとホットドッグ自体がそうやって生まれたと言われていますが。
さて、このホットドッグはソーセージ自体を“お肉”として楽しむボリューム感と、バーベキューソースの味が基本です。ちょっと甘酸っぱくてスパイシーでスモーキー。
ならばワインは、グルナッシュ/シラー、シラーズ、ピノ・ノワールあたりかなと、とりあえず発想。せっかくオーストラリアを思い出して作るし、ワインも合わせていくかと、オーストラリアワインに絞って考えていきました。
と、前置きが長くなりましたが、当日持ち寄ったホットドッグとワインご紹介です!
ホットドッグとワインの会 みんなのマリアージュ
さあ始まりますホットドッグとワインの会。ペアリングに対する4人の考え方は、それぞれ異なっていました。
当日の発表順にいくと、
オムライスさん:理詰め派(ワインが先)
シロ:なんちゃって理詰め派(ホットドッグが先)
カツミさん:どっちも好きなん持ってきた派
と、なります。それぞれの詳細は後ほど。カツミさんがオチみたいになっていますが(笑)、実際に食べて飲んでみると、どうなるでしょう。
まずはオムライスさんから、ウェルカムドリンクのコスタ・ブリッコ アスティ・スプマンテ。
爽やかでやや甘口。香りがすごく立つワインで、食前酒として楽しめました。オムライスさんには、いつもワイン追加で出してもらっていて。ありがとうございます。
ヴァイスヴルストホットドッグと南アフリカ・シャルドネのマリアージュ
さて調理開始です。トップバッターはワインの泉さん。場所が事務所なので、カセットコンロ持ち込みでボイル。(※調理は衛生面めっちゃ気をつけてやっています)
そういえばチーズドッグが1品もなかったんですが、皆さん調理器具の少なさを考慮したんでしょうか。私はチーズを使うつもりなかったですが。
ソーセージはヴァイスヴルスト。今回、私以外は全員トアロード・デリカテッセンのソーセージでした。みんな神戸愛がすごいよ!
そして泉さんが合わせたワインは、今回唯一の白ワイン。
グレネリー エステート・リザーブ・シャルドネ2019です。先日ワインサーチャーで「世界で最もお買い得なシャルドネ」1位になったという、タイムリーな南アフリカワイン。
はぁー、しっかり樽がきいていて、ムルソーみたい。パイナップルの香り。酸味もあって、柔らかな味わいのワイン。旨いっすねえ。これで2000円台前半っつーんだから、南アフリカワインはイカれてる(褒。
泉さんが言うには、事前情報で他の3人が「赤」ということが分かって、白にするならシャルドネかなとアタリをつけ、前日に別のワインを試したとのこと。
で、ホットドッグに合ったので、このワインを選んだそうです。合わせて作ったホットドッグはこちら。
オブジェか!シンプルに白ソーセージをコッペパンに挟んでマスタードをかけたもの。
1本丸ごとでは、のちのちキツくなるので半分に。それぞれのお皿に取り分けて実食です。
感想言う前にいいですか。とワインの泉さん。
「このメンツだと優しいコメントばかりになるので、あえて辛口の感想出していきましょう!」
おお、確かに。みんな紳士淑女でございますからね。ワイン会で人やワインを貶めたりすることは言わない。でも、気心が知れていて、こうして事前にあえて毒舌で!と言われると楽しめそうです。
カツミさん「私も思った。パン美味しい」
シロ「確かにこのパンすごい旨い」
全員「ワインもさすが南ア。めっちゃ美味しい」
か・ら・のー!
カツミさん「ソーセージ、パン、それぞれが美味しいね」
シロ「ワインもそのままの味」
泉さん「辛辣ゥ!」
いや、さっきそういうルールにしましたからw
美味しいんですけど、「おいしいパンとおいしいソーセージとおいしいワイン」という評価に。
ただこれ、ほんとパンがめっちゃ美味しくて。実は最近お気に入りだという「ぶたぶたベーカリー」さんに、特別に作ってもらったやつだそうです。ガチやんけ。Youtuberワインの泉さん、さすがのコミュ力です。
ニュルンベルガーホットドッグとブルゴーニュ・ピノ・ノワールのマリアージュ
2番手はオムライスさん。自身のアイデンティティを大切に、ということでブルゴーニュで参戦です。ワインはこちら。
ドメーヌ・レシュノー ブルゴーニュ・ピノ・ノワール2018です。果実も酸もしっかりしていておいしーい。オムライスさんは、まずワインを決めて、ホットドッグの方を寄せていくスタイル。
さて調理。
んん?ホットドッグを作っているとは思えない調理工程。クランベリーソースのいい香りが部屋中に広がります。
マスタードを投入。煮詰めてソース完成。白ソーセージを挟んで。
おっしゃれー!ブルピノに合わせに来たことが速攻でわかるクランベリーマスタードソース・ホットドッグ。ソーセージはデリカテッセンの白ハーブ、パンはポール・ボキューズのブリオッシュでございますよ。絶対うまいやん。
カツミさん「パンも美味しい。ソースとの相性抜群やわあ」
シロ「旨いです。ワインとのペアリングも最高」
まさに「マリアージュ」を見せてくれたオムライスさんのホットドッグとワイン。これ完璧ちゃうかと思いました。
理詰め派のオムライスさんによると、「ワインには乳脂肪分を合わせると美味しい。だからパンはブリオッシュ。そしてレシュノー・ブルゴーニュの要素から、クランベリーソースとマスタードを選択しました」と計算ずくのホットドッグ。さすが。
なんです、が!
私のなかの遠峰一青が「果たしてこれを食べた人は、“ホットドッグ”を食べたという満足感を得られるのでしょうか」とイキりだす。でも言うていいもんやろか……
……
……
……
バッサリいったー!辛辣辛辣ゥ!w
シロ「ワイン意識しすぎて、ソースが主役になってますね」
オムさん「おのれ、貴公ら」
そうなのです。ソーセージにちょっとよそ者感が出てしまっていて。いや、ほんとにほんとに美味しいパンとソースなんですが、期待する「ホットドッグ」としてはズレがあるかなと。
でもほんとソース旨い。これ自分でも作ってみたいです。あと、クランベリーソースとグラン・ヴァン山盛りのワインセラーが事務所にある貴族に生まれたかった。
サルシッチャホットドッグとタスマニア・ピノ・ノワールのマリアージュ
3番手は私です。前述したように、テーマはバーベキュー。ホットドッグっぽくないと減点されそうなので、食パンはやめて、ちゃんとコッペパンタイプのパンにしました。オムライスさんので、この判断は正解だったと証明されたw
さて、オージースタイルのイメージで合わせにいきます。ワインは、ステファノ・ルビアナ プリマヴェーラ・ピノ・ノワール2018。オーストラリア・タスマニアのワインでございます。
ラズベリーにちょっとスモーク。余韻にスパイシーさもあり、めっちゃ好きなワイン。たぶんホットドッグに合うと思って何日か前に合わせてみたら、思った通りで嬉しかった。
メンバーの中で一番巨大だったソーセージ(右下)。これは熱を入れていない生ソーセージです。日本ではあまり見ないですね。ネットのバーベキュー肉専門店で購入。
鍋ギリギリ。ボイルしてから焼いていきます。
ズッシリと「お・に・くー!」って感じで、旨そう。この時点でめちゃくちゃいい香りがして、みなさんもざわざわ。コンロを取り囲んでバーベキュー気分です。
もう遙か昔ですが、オーストラリアにいた頃は、公園でバーベキューをするというのが休日の定番でした。あちらは、普通の公園にデカいバーベキューグリルが設置してあって、自由に使っていいんですよね。コールスで20本くらいセットになっている生ソーセージを買って気軽に。
肉が安いので、牛や羊のステーキも焼きますが、どちらかってーとメインはソーセージ。ビクトリアビターやエミュービターを片手にジュージュー。そんなバーベキューパーティを懐かしく思い出しつつ焼きました。
玉ねぎは炒めるのに時間がかかるのと、ソースがはねて汚してしまうので、自宅で作ってきました。バーベキューソースはこれ。
ヨシダソースです。あとはレタスを適当な大きさに切って、パンに添えて完成。
おおおー!と歓声をいただきました。Yeah!めっちゃホットドッグ!じゃないですか?これ。
オムさん「ソースの燻製風味とワインがぴったり」
カツミさん「スパイス・ハーブきいててソーセージ美味しい」
ホットドッグとワイン共に高評価!相性もOKです。わはは狙い通り!
……
……
……
カツミさん「私も思った。ソーセージについてきていない」
泉さん「パン、ダメっすね」
パンパンパァァン!千ノナイフガ胸ヲ刺ァーッス!
いや、そうパンね。これ、ソーセージと一緒にネットで買ったので、冷凍パンなんです。わかっちゃいたんですが、ホットドッグ用のパンって、ベーカリーにあんまり売ってなかったもので。。すでに何か挟んであるやつばかり。ファストフードの格に合わせて、これくらいのパンの方がバランスいいんじゃないか?とか自分では納得させていたんですが笑
皆さんはそれでも美味しいパンを探してきたので(それもかなりこだわって)、痛いところを突かれてしまいました。
でも、「それだけこのソーセージが格上だったということですよ」とフォローいただきました。ありがとうございます。そうです、めちゃ美味しいんですよ、このソーセージ。お肉の専門店ミートガイさんのソーセージです。
あ、辛辣コメント取り上げていますが、殺伐とはしてないですよ!皆さんとても優しい紳士淑女です。仕方なく辛辣コメントさせられているだけなんだ。怖くないヨ。
粗挽きウインナーホットドッグとカリフォルニア・カベルネ・ソーヴィニヨンのマリアージュ
いよいよ最後、4人目はカツミさんです。
「やっぱアメリカでしょ!ワインもホットドッグも、私が好きなやつ持ってきたよ(ドンッ!)」と、豪快に宣言。
そういえば神の雫でも、オーストラリアとカリフォルニアで勝負した使徒があったな。などと考えていたら、ホットドッグの方の愛情がすごかった。
神戸ワインマスタードですよ。これ美味しかった。んで、ル・ディマンシュのオリーブパン、トアロード・デリカテッセンの粗挽きウインナー、神戸産ピクルス。ケチャップ以外ぜんぶ神戸!愛が深い。
ワインはカリフォルニアから、スターレーン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン ハッピーキャニオン・オブ・サンタバーバラ2016です。
今日の「オム会〜ホットドックを作ってワインと合わせてみよう」は、やっぱアメリカでしょ???ということで
『スター・レーン ハッピー・キャニオン・オブ・サンタ・バーバラ カベルネ・ソーヴィニョン 2016』
ほんまに目が1.2倍になるくらいの果実味がある美味しいワイン?
師範も84点付けてたもん? pic.twitter.com/zWE9aT5Ywn— カツミ (@katsumi_451) September 27, 2020
果実味がすごくて、目が1.2倍になるらしい。ワイン界の良心、大ベテランの安ワイン道場師範(@yasushihan)お墨付きです。
開けるとちょっと硬かったんで、オムライスさんの秘密兵器が登場。
エアレーターでバシャバシャー。結構ひらきました。
飲んでみると、豊かなバニラとカシス。ど真ん中のカリカベって感じです。美味しい。すでに酔っ払って、お腹もふくれつつあっても、きちんと分かるいいワイン。
時間をちょっと戻してホットドッグ調理。そういやここまで皮パキのウインナーなかったね?ってことで、ボイルのみで。
ピクルスを刻みます。雑な男どもとは違って、きちんとエプロンしているのが高ポイントですね。
ちょいちょいと盛り付けて。
ドドン!ケチャップとマスタード、ピクルスの王道。ホットドッグや!これはまさにホットドッグですわ。
スターレーンと合わせていただきます。
オムさん「パンのオリーブがいい仕事しています。ワインに寄りそっている」
シロ「粗挽きウインナーにケチャップ最高。食べたかったホットドッグ」
ピクルスのみじん切りもしっかりアクセントになって、最高に旨いホットドッグでした。
そしてこのあたりで、すでに酔っ払っている4人。辛辣コメントがさっと出てこない(みんな元々紳士ですからね!)
オムさん「ペアリングが成立しているかと言われたら」
シロ「双方に変化がない気がします」
こんな感じの会話を皆でしていたと思います笑。カツミさんも「そうやな〜」とご納得された様子で。お互いの味に負けないってのは大事だと思うんですけどね。
いやーしかし、ホットドッグもワインも上質なものでした。
ホットドッグとワインのマリアージュ対決!結果は
それぞれ美味しかったですけど、一応マリアージュ対決です。無慈悲にトップを決めていきます。
まずホットドッグ部門1位は!
……
……
……
カツミさんの、オリーブパンと粗挽きウインナーのホットドッグ。
オリーブ入りのパンがほんといい仕事していて、ウインナー、ピクルス、マスタード、ケチャップともに絶妙。アンバランスな要素がなかったです。美味しかった。神戸愛も感じられましたしね。
そしてちょっと無粋ですが、この際かまわん。ワイン部門1位は!
……
……
……
私の持っていったステファノ・ルビアナ プリマヴェーラ・ピノ・ノワールです。飲むなり「これ好きです」と言ってもらった泉さん。カツミさんも同じく。そしてブルピノ好きのオムライスさんからもこの評価。
シロさんが持ってきてくれたタスマニアのピノが個人的に良かった。開けたては酸味が暴れており、ふっ。ACブルにも劣るわ。と思ったのだけど、開けて少し時間が経つと、人懐っこい赤果実が前面に出てきてバランスが劇的に改善され、良質なピノノワールを堪能できた。
— オムライス (@CsJ5GPVrbWZwCy0) September 28, 2020
いやー、嬉しいです。ピノ・ノワール好きは、3500円あったらブルゴーニュ選ぶだろうなー。でもこのワイン飲んでどう思うか、ブルピノ好きにこそ聞いてみたい。と思っていたので、なんかまさに欲しかった言葉をくれました。オムさんイケメン。
このワインは神の雫マリアージュ8巻に登場しています。コック・オー・ヴァン(雄鶏と赤ワイン煮込み)と合わせていました。
マリアージュ〜神の雫最終章〜 第8巻ワインリスト
では、本命のマリアージュ部門1位です!
……
……
……
オムさん「シロさんのやつ」
カツミさん&シロ「私の」
www利己主義バンザイ!
カツミさんと私が、同点1位です。オメデトウゴザイマス!
このあとは、酔っ払いながらもあまった食材でスープを作り。
思ったよりソーセージからダシがでなくて、塩入れすぎると辛くなるしなーと悩んでいたら、カツミさんがちょいと醤油垂らして、見事に整えてくれました。さすが。
あとは、私から差し入れの追加ワイン、トラピチェ・イスカイ2015を開け。
オムライスさんから、さらにおかわり。シャトー・ド・ムルソー ブルゴーニュ・ブラン クロ・デュ・シャトー2015。4人でワイン7本を開け、ヘロヘロです笑
カツミさんからデザートにゼリー、泉さんからはマカロンも。
いつの間にか、泉さんは席を外してコーヒーも買ってきてくれました。気遣いできすぎて、モテ男の空気が漂いまくり笑
と、こんな感じで7時間ほど過ごしました。
いやー、楽しかったです。ホットドッグとワインのマリアージュ。プロはいないけれど、真剣に考えましたし、選んだ理由とか考えていたことを発表するの、めっちゃワクワクしました。他の人の考え聞くのも楽しい、大人の遊び。まさに「仕事じゃねえんだ!真面目にやれ!」でしたね。またやりたいです。最後まで読んでいただいた貴方もぜひ!
コメント
どのワインも飲んでみたいと思いました。
個人的にはスターレーン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン ハッピーキャニオン・オブ・サンタバーバラ2016が、飲んでみたいと感じました。
まだ、ワインの固いや開くがよくわからないので、数日に分けるなどして、確かめてみたいです。
次の餃子・日本ワインの記事も楽しみにしております。
コメントありがとうございます。
スターレーンは美味しいワインでした。
ワインの状態についてはおっしゃるとおりで、何日かに分けて飲むようにすると、私もだんだん閉じている状態が分かるようになっていきましたね。
記事読んでいただいてありがとうございます。また書いていきます。