近年飛躍的に質をあげてきている九州のワイン。国際的なコンクールで賞をとるワインも続出し、まさに成長まっさかりといったところです。
そんな九州ワインを造るワイナリーが集まるイベントがあると聞いて、北九州の小倉まで行って来ました。イベント名は「九州ワインフェスタ」。場所を変えながら、定期的にやっているみたいですね。
もともと九州は台風の影響が大きく、収穫期の雨を嫌うワイン用ぶどうの栽培が難しい土地です。さらに火山灰質の土壌も多く、栽培には土壌改良が必要だったため、本格的なワイン用ぶどうの生産は近年になってからのことです。
それでも地元産にこだわる造り手の熱意はものすごく、いろいろなスタイルで秀逸なワインが生まれています。
九州ワインフェスタでは、本気でおすすめしたい九州ワインが多くありました。ワイナリーごとにご紹介します!
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九州ワインフェスタに参加
九州ワインフェスタは、3000円で参加ワイナリーのワインすべて飲み放題の素晴らしいイベント。出入りも自由なので、夕方から夜遅くまで飲みまくれます。
もちろん、ほぼ全種類飲みました(最後はベロベロで記憶がありません……)。
こういうイベントは野外で行うことも多いのですが、今回は屋内で、テーブルと椅子も用意されているのが最高でした。やっぱりワイングラス片手だと、フード買うのも不便ですし。
出展は以下9つのワイナリー。
- 熊本ワイン
- 安心院葡萄酒工房
- 久住ワイナリー
- 都農ワイン
- 都城ワイナリー
- 五ヶ瀬ワイナリー
- 巨峰ワイナリー
- 五島ワイナリー
- 福田農場
ほかにフードブースがあって、チーズや唐揚げなどがありました。こちらは別途購入料金が必要。基本的にワインに合う食べ物ばかりで、これもテンションあがる。
さて、それではフェスタに参加していた九州ワイナリーと、おすすめワインの紹介です。
熊本ワイン(熊本県)
熊本市にある熊本ワイン。数々の賞を受賞した「菊鹿シャルドネ」がなかなか手に入らない幻のワインとして有名になりました。神の雫にも登場しています。
そんな良いワインをなみなみと注いでいただきました。そしてこれは綺麗なシャルドネ!花やグレープフルーツの香りと、サラッとした舌触りが心地良いです。酸味と甘味のバランスがよく、どちらかが主張してくる感じではありません。とにかく綺麗にまとまっています。
これで2000円台なら人気化するのもわかるなあ。すぐに売り切れてしまうみたいなので、見つけたら即買いですね。
他にはフレッシュフルーティで親しみやすい「肥後六花」シリーズがあります。マスカットベーリーAを飲みました。いちごキャンディのようなかわいいワイン。
値段みたら1500円とのこと。アリですねー。
ワイナリーにも直接行きました。
熊本ワインは、あらたに「菊鹿ワイナリー」を開業しています。醸造所のほか、ワインショップやカフェレストラン併設の綺麗な施設。人気の「菊鹿」シリーズをブランドとして独立させた形ですかね。
菊鹿ワイナリーにも行きたいのですが、車がないとまず無理なんですよねえ。。家族は私しか運転できないので、車で行くとワインが飲めないし。申し訳ないけど誰かに運転手をお願いして、複数人で一度行きたいところです。
サイト:熊本ワイン
住所:熊本市北区和泉町字三ツ塚168-17 フードパル熊本
電話:096-275-2277
休み:水曜
時間:10:00〜17:00
サイト:菊鹿ワイナリー
住所:熊本県山鹿市菊鹿町相良559-2
電話:0968-41-8585
休み:第1、第3火曜
時間:10:00〜17:00
安心院葡萄酒工房(大分県)
大分県の安心院葡萄酒工房は、麦焼酎の「いいちこ」で有名な三和酒類が運営するワイナリーです。でも実はいいちこの販売よりワイン造りの方が先とのこと。1974年からと、九州のワイナリーではかなりの古株です。
アルバリーニョやシャルドネのスパークリングに定評があり、神の雫原作者が「マツコの知らない世界」に登場したとき、シャルドネ・リザーブが紹介されました。日本を代表する7本のうち1本とのこと。
そんな安心院葡萄酒工房のワイン、白ワイン系はさすがの旨さです。
ですが、私がいちばん驚愕したのはこちら。
テンプラニーリョ100%の「安心院ワイン 諸矢 テンプラニーリョ」です。
日本でこんなテンプラニーリョが造れるのか!と思うほど、豊かな果実味と優しいタンニン。苺やチェリーの香りもしっかりです。いやこれは本当に驚きました。
販売数が少ない限定品だそうで、もう売ってない。これから毎年出回る時期にはチェックするようにします。
サイト:安心院葡萄酒工房
住所:大分県宇佐市安心院町下毛798
電話:0978-34-2210
休み:火曜(祝日は営業)、年末年始
時間:9:00〜16:00(園内見学17時まで可)
久住ワイナリー(大分県)
大分のくじゅう連山のふもとに畑がある久住ワイナリー。地図をみると、ドライブがてらぜひ寄りたいワイナリーですね。
標高が高い高原地帯で、ピノ・ノワールやシャルドネなどの国際品種を自社栽培しています。垣根仕立てで収量制限もしていて、本気のワイン造りがうかがえます。
こちらではメルロー樽熟成が美味しかった。ヨーロッパのワインと比べると優しい味わいですが、薄いだけではない繊細さがあります。飲み疲れしないワインですね。鶏ササミのチーズ焼きに合わせていただきました。
それにしても、久住ワイナリーのサイトをみていると、背景が雄大すぎてすごく行きたくなります。高原ドライブと石窯ピザとワインとか最高ですねえ。
サイト:久住ワイナリー
住所:大分県竹田市久住町大字久住字平木3990-1
電話:0974-76-1002
休み:なし
時間:(売店)10:00〜18:00 ※冬季は10:00〜17:00、(レストラン)10:00〜16:00
都農ワイン(宮崎県)
宮崎県都農町産ぶどう100%にこだわる都農ワイン。ワイン造りは、平成元年に始まった町おこしの一環だったそうです。それが今や秀逸なワインを生産する優良ワイナリーに。元々ワイン用ぶどう造りに適した土地ではなかったっていうから、すごいですよね。
そんな都農ワインはキャンベルアーリーが人気。キャンベルアーリーってかわいい味わいになりますよね。いちごあめを食べている赤ずきんちゃんみたいなイメージ。
都農ワインのキャンベルアーリーもそんな感じで美味しく、1500円以下という値段とは思えない味わいです。
ほか、ソーヴィニヨン・ブランやビジュノワールなどをいただきましたが、どれもこれもレベルが高いです。価格も1000円〜2000円台なので買いやすい。かなり実力のあるワイナリーだと思いました。
なかでもぶっちぎりで旨かったワインが、シャルドネ・アンフィルタード。
なんやこれ!と思わず声が出てしまいました(ひとりで来ています)。
オーク樽由来の高級感あふれる香り、リンゴや桃のフルーツ感もたっぷり。綺麗な酸味と複雑さ、重厚感がマッチして、ほんと高級ワイン飲んでる感じがします。これを飲み放題で出してくれるなんて、感謝しかありません。
約3800円と安ワインではありませんが、この味わいなら安いと断言できます。絶対また飲みたいと思わせてくれるワインでした。
サイト:都農ワイン
住所:宮崎県児湯郡都農町大字川北14609-20
電話:0983-25-5501
休み:年末年始
時間:9:30〜17:00、(カフェ)11:00〜16:00 ※カフェは火曜定休日
都城ワイナリー(宮崎県)
都城ワイナリーは宮崎県のワイナリー。シンモエやアメノコヤネ、タジカラオなど、神様の名前をつけたワインたちがそろっています。
たくさん飲ませていただいたのですが、もうこの頃にはヘロヘロになっていて記憶が曖昧です……。飲み放題なのに、どこも皆さんなみなみと注いでくれるので。
デザートワインの甘口アメノウズメがボトルのスタイルどおりの上品な甘さで美味しかったです。
ほかカベルネ系のオモイカネが印象的でした。シルキーな舌触りで、少し土の匂いや野性味があります。ヤマブドウ交配種が入っているんですね。これはお肉がほしくなりますねー。
写真撮ったのですが、酔っ払っていてブレブレでした笑
都城ワイナリーは霧島山近くで、周辺にはリゾート施設や観光地もあるそう。一度行きたいのですが、ここでも車の問題が。。日本のワイナリーさんには観光でも稼いでもらいたいのですが、基本的に駅から遠い丘の上になりますし、なかなか難しいところ。
サイト:都城ワイナリー
住所:宮崎県都城市吉之元町5265番地214
電話:0986-22-1546
休み:水木(祝日営業)
時間:10:00〜16:00
五ヶ瀬ワイナリー(宮崎県)
美しい夕日の里として知られる宮崎県五ヶ瀬町にある五ヶ瀬ワイナリー。ナイアガラやキャンベルアーリーなど、フレッシュでフルーティなワインがあります。
飲んだ中で気になったのは「夕陽」。メルローだと思うのですが、すごく軽やかです。ライトボディといっていいくらい。でもただの薄っぺらいワインではなくて、しっかりまとまっています。これはなかなか面白いですね。
そして五ヶ瀬って「ごかせ」なんですね。ずっと「いつがせ」と読んでました……。変換出なくて初めて気がついた。イベント当日、連呼してなかっただろうか。。恥ずかしい。
サイト:五ヶ瀬ワイナリー
住所:宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町桑野内4847-1
電話:0982-73-5477
休み:年末年始
時間:(ワイン館)9:00〜17:00、(レストラン)11:00〜15:00
巨峰ワイナリー(福岡県)
福岡県久留米市の田主丸(たぬしまる)にある巨峰ワイナリー。福岡の友人に聞くと、「ぶどう狩りといえば田主丸」という感じで、巨峰葡萄の大生産地だそうですね。
巨峰ワイナリーも、サイトをみると巨峰に対する並々ならぬ想いが伝わってきます。
巨峰なので基本は甘口ワインなのですが、ドライタイプもあります。といっても、普段ワインをよく飲むなら、やっぱり甘く感じますけどね。でも上品な甘さで美味しいです。
ほかにもあまおうワインやキウイワインなど、フルーツワインも造っています。
サイト:巨峰ワイナリー
住所:長福岡県久留米市田主丸町益生田246-1
電話:0943−72−2382
休み:火曜、年末年始
時間:(ショップ)9:00〜17:00、(レストラン)11:00〜16:00、ディナータイムは要予約
五島ワイナリー(長崎県)
五島ワイナリーは、長崎の五島にある「五島コンカナ王国」というリゾートにあるワイナリー。島で造られた葡萄を100%使用してワインを造っています。
マスカット・ベリーAと、巨峰ロゼスパークリングをいただきました。
ほか、ナイアガラもあります。
全体的に甘味を残して造られている印象で、歯がギシギシいうような強めの渋みはまったくないです。ワインを飲み慣れない方でもスイスイ入るタイプのワインですね。
「毎年ぶどうの出来をみながら造りますが、五島産ぶどうの確保が大変です」と話されていました。特にワイン用ぶどうが少ないので、巨峰などの生食用ぶどうもしっかり醸造して、生産量を確保しているとのこと。
日本全体でもワイン用ぶどうが足りていないので、もっと生産者が増えてほしいですね。私の実家は農家で土地があるので、調べてみようかな。
サイト:五島ワイナリー
住所:長崎県五島市上大津町2413 五島コンカナ王国ワイナリー&リゾート内
電話:0959-74-5277
休み:不定休
時間:9:00〜19:00
福田農場(熊本県)
福田農場は、元々は観光農場を経営する会社で、甘夏みかんなど果実を栽培・加工しています。九州果実シロップやピューレなどのドリンクが主力なのですが、サングリアを造っているので、今回のワインフェスタに参加されていました。
「いやー、本格ワイナリーさんたちのなかで恐縮です。本来私らはフードブースにいるべきなんですけどね!」と、ブースで自虐ネタをかましてらっしゃいました笑
で、そのサングリアを飲ませてもらったのですが、いやいやこれ美味しいです!やっぱり甘夏みかんが良いヤツだからかな?甘味は強めなんですけど、しつこくなくてすっきりした飲み口。デザートにいつまでも飲んでいたいワインでした。
福田農場では、甘夏以外にもデコポンや日向夏など、無香料・無着色・保存料なしでいろんな果汁シロップを販売しています。飲食店向けにサワーやカクテルの割り材を卸しているそうなので、検討される方はぜひー。品質いいですよ。
サイト:福田農場
住所:熊本県水俣市陳内2525
電話:0966-63-3900
休み:なし
時間:8:00〜17:00
会場ではリーデルがワイングラスを貸し出し
九州ワインフェスタにはワイングラスのリーデルも出展していました。
なんと、ワインに合わせてリーデルのワイングラスを貸してくれるんですよ!これはすごい。
イベントでもらえるワイングラスは小さくてガラスが分厚いですからね。ワイングラスをくれるだけありがたいのですが、やっぱりワインの味を引き出しきれるかというと、それは難しい。
リーデルが貸し出していたのはヴェリタスシリーズ。マシンメイドでは最高品質といっていいワイングラスです。
【リーデル公式】ヴェリタスシリーズ一覧
リーデル・ヴェリタス・オークド・シャルドネをお借りして、熊本ワイナリーの菊鹿シャルドネや都農ワインのシャルドネ・アンフィルタードを飲みました。んもー香りも味わいも全然違う。特に高級感のある樽香が強調されます。
ほか、赤ワイン用にヴェリタス・ニューワールド・ピノ・ノワールもお借りしました。こちらは家でも愛用中です。やっぱりいいですね。
リーデルのワイングラスはいろいろ持ってるのですが、白ワイン用は手薄でした。オークド・シャルドネすごく良かったので、買おうと思います。(→買いました!家で大活躍です)
ちなみにリーデルブースの人、関西で行きつけだったワインバーの元店長さんでした笑 なんという偶然の再会。
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九州のワインについて
九州の各地では、国際品種のシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの栽培に積極的に取り組み、日本固有品種のマスカットベーリーA、生食用ぶどうの巨峰やデラウエア、キャンベルアーリーなど、多くの品種でワインが造られています。
日本ワインの規定ができる前から、地元産のぶどうにこだわったワイナリーが多いのも特徴。九州ワインフェスタでも、出展ワイナリーさんとお話するなかで、地元愛を強く感じました。
なかには甘いだけのワインや、昔の“お土産ワイン”的なものもあるのですが、どのワイナリーにもキラリと光る1本があり、レベルの高さを感じました。
とあるワイナリーさんでお聞きしたのですが、「もっとワインを造りたいが、地元産にこだわっているので、ワイン用ぶどうが足りない。酒税法の関係で一定量のワインを生産する必要があり、生食用を転用するなどの工夫がどうしても必要になる」とおっしゃっていました。
日本ワインの盛り上がりがしぼんでしまわないよう、醸造家だけではなく、葡萄を栽培する農家も増えていってほしいですね。