ワインセラーブランド「ルフィエール」が2種類の新たなサービスを始めたとのことで、販売元の株式会社イズミセにインタビューしてきました。
お話を伺ったのは、Xでもおなじみ代表取締役社長の戸塚尚孝(なおたか)さん(@cellar_likaman)と、セラー事業の担当部長、市村尚倫(なおみち)さんです。
今回の新サービスは、ワイン好きばかりが集まっているというルフィエールチームが、「自分たちがお客さんの立場になったときに本当に嬉しいサービス」を議論して、企画をまとめあげたとのこと。
結構攻めた内容になっていて、正直ここまでやって大丈夫なのかな?と思う部分もありましたが、ルフィエールを長く愛されるワインセラーにしていくブランディングの一環なのでOK!とのことでした。気になるところも突っ込んで聞いてきましたので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
ルフィエール(セラー専科)についての詳しい話は以前インタビューしたこちらの記事で。
目次
なんと20年のワインセラー長期保証!「20-Years Edition」とは
シロ:ワインセラーブランド「ルフィエール」で新たなサービスを始められるとのことで。
尚孝さん:そうなんです。「20年間の伴奏者」と銘打って、ワインセラーの超長期保証をやります。購入後に故障しても、20年間は無料で新品に交換できるサービスです。
シロ:20年保証はすごいですね!このサービスのコンセプトというか、企画はどんな話から立ち上がってきたんですか?
尚孝さん:ワイン好きの人って、一時保管のデイリーワインのほかに、長期熟成させるワインもセラーで保管されてますよね。それに、お子さんが生まれると、生まれ年のワインを買って成人するまで保管とかもやるじゃないですか。
シロ:はい、皆さんやってはりますね。
尚孝さん:だけど、ワインセラーってどこの製品でも基本的に20年は持たないんですよ。
市村さん:平均して7〜8年で冷媒関係の故障が発生しやすくなりますね。
尚孝さん:そう、冷蔵庫と同じでどうしてもそれくらいで故障率が上がって、買い換えが必要になります。もちろん、もっと長持ちする場合もあるんですが。
シロ:まあ、セラーに限らず家電である以上は避けられない問題ですよね。使用環境によっての差もありそうですけど。
尚孝さん:はい。でも中のワインは、入れ替わるものもありますがずっとあるわけなんで、ワインセラーもそこに寄り添っていきたいと思ったんですね。
シロ:なるほどなるほど。でも家電としてセラーの耐久性には限界があるわけで。だから途中で新品に交換すること前提の20年保証サービスなんですね。
尚孝さん:そうです。ワインセラーが故障したときって、急いで新しい製品探さないといけないし、元のセラーの廃棄もあるしで、けっこう面倒じゃないですか。リサイクル料(※)もかかりますし。そういった手間を全部なくして、安心して20年まかせられますというのが、サービスのコア部分ですね。
※ワインセラーは家電リサイクル法の対象で廃棄の際に5000円前後のリサイクル料がかかる
20年保証の仕組みと価格
シロ:20年も長期で保証するとなると、価格はけっこう上乗せされますよね。どれくらいになるんですか?
市村さん:該当のワインセラー約2台分の価格設定です。それで2回まで交換OKなので、20年の間に最大3台のワインセラーが保証されているということですね。これまでのルフィエール耐用年数の実績から、これで20年間は十分対応できると考えています。
シロ:交換のときに送料はかかります?
市村さん:交換時に送料やリサイクル料はかかりません。また、万が一ですが、連続して3台以上個体の調子が悪かった場合も、一度ご相談いただきたいです。内容によっては保証対象になる可能性がありますので。
シロ:なるほどすごい。それ聞くと交換が多いほうが得と錯覚してしまいそうですが、それだけ故障したってことですから嬉しくはないですね。
市村さん:そうですね、移し替える手間もありますし。安定してワインを保管・熟成させることが何より大切ですから、交換が多いと、体験として得をしたとはいえないですね。ユーザーさん側としては、セラーの耐久期間に波があっても20年間の費用を固定できる保険というイメージでしょうか。でも、たまに20年間一度も故障しないケースもあります。そんなときは、新品のワインセラーを1台プレゼントします。
シロ:おおー、それはいいですね。
尚孝さん:最初に2台分の料金いただいてるんで、故障しなかったら売ったもん勝ちみたいになるじゃないですか。そういうのが目的ではないので。
市村さん:プレゼントとしてお送りする際は、新しいワインセラーを追加でもいいですし、2台目の設置場所がなければ、使用中のセラーとの引き取り交換でもOKです。
尚孝さん:せっかく20年耐久できたんだから、完走特典としてね。いや、伴奏者なんで「伴走」特典か笑。
シロ:うまいこと言うた笑。この仕組みだと、ユーザー側に「損」はないってことですね。それどころか20年保証が終わったあと、そのまま最後のセラーが長く耐えてくれたら30年近くいける可能性もあって、かなり有利に思えます。でもこれ平均して7〜8年で故障が増えるんなら、20年保証の間に2回交換、つまり最初の1台を含めて3台必要になることが多いってことですよね。御社にとってはキツイんじゃないですか?
尚孝さん:そうなんですが、そこはワインファンの方と今よりもっと長期的に関係を作っていくことのほうを優先しています。売ったら終わりじゃなくてね。ルフィエールに「ずっとワインに寄り添っていくセラー」という印象を持ってもらうための戦略として決めました。
シロ:まさに伴奏者。いいブランディングですね!
尚孝さん:それにウチはワインを取り扱っているので、セラーの中をどんどんワインで埋めてもらえるならまあOKでもあるんですよね笑。
オーナー特典として卸価格でワインが買える
市村さん:20年保証の「20-Years Edition」にはオーナー特典もいくつか用意していて、まず業務用ワインの仕入専門店WINE PRO(ワインプロ)のVIP会員になれます。
シロ:えっ、ワインプロのサイト使えるんですか!一般人でも業務店用の卸値でワインが買えるってことですよね?それはデカい。いいんですかこれ。
尚孝さん:はい、長くお付き合いさせてもらうワインセラーオーナーさんですからね。
シロ:御社(※インポーターの株式会社都光)直輸入以外のワインも買えます?
尚孝さん:はい、ウチで取り扱っているワインは業務店用価格でいけます。有名ブランドで価格競争が激しすぎる一部の銘柄以外は、一般の方からすれば圧倒的に安いと思いますよ。
シロ:うわー、かなり魅力的ですね。
市村さん:あとは試飲会などのイベント優先案内と、ワインのコンシェルジュサービスも付きます。ゴールドカードやブラックカードに付いているような、スタッフがいろいろな相談に乗るサービスです。
シロ:それは確かにオーナー制度って感じしますね。ワインファンからすると、長い目でみてめちゃくちゃお得じゃないですか。
市村さん:そうだと思います。
シロ:こういうサービスってほかにやってるとこありましたっけ?
尚孝さん:現時点ではないですね。ワインセラーの製造から販売まで直でやってるのと、ワインもインポーター(卸)と小売りの両方やってるからできますけど、そうでなければ今後も難しいんじゃないでしょうか。ウチならではのサービスだと思っています。
ワインセラーのサブスク「はじめてワインセラーと過ごす1年間」プラン
シロ:もうひとつの新サービスはワインセラーのサブスクリプションとのことですが。
市村さん:はい、こちらは月々2,530円(税込み・15本収納タイプの場合)からのお支払いで、ご自宅にワインセラーを置いていただけるプランです。
シロ:レンタルとは違うんですか?
市村さん:レンタルではないですね。12ヶ月契約なのですが、契約満了時には返却か、すでにお支払いいただいた料金を割り引いた残価で購入するかを選べます。車の残価設定ローンに近い形ですね。
シロ:機種はどれでもいけるんですか?
市村さん:ペルチェ式を除くルフィエールワインセラーが対象ですね。
シロ:コンプレッサー式であれば小型から大型の高級機種まで全部OKってことですか?
市村さん:そうです。ちなみに、一番小さい15本収納のセラーであれば、1年後は残価ゼロなのでそのまま自分のものにしていただけます。もちろん、無料で返送もできるのですが笑。
シロ:それは返す人いないですね笑。なるほど、低額で始められるようにして、最初のハードルを下げてる感じですか。
市村さん:そうですね。20年保証のほうはワイン玄人向けのサービスですが、私たちも「ワインセラー1日目」を思い出すと、やっぱり簡単な買い物ではなかったと思うんですよね。サイズ感はどうか、生活に馴染むか、家族の理解は得られるかとか。だから、まず1年置いてみてくださいと。まあそのまま続けて使っていただけると期待してるんですけどね笑。
シロ:ワインセラー持ちとしては、絶対そうなると言い切れますね笑。でも、月々支払う仕組みなのであれば、一括購入よりいくらか価格に上乗せされますよね?
市村さん:それが、わずかに諸経費分が乗るだけで、通常価格に限りなく近いんです。基本的には普通のローン契約やクレジットカードの分割払いより低コストになるはずです。
尚孝さん:今ってクレジットカードで買うと、一括で切ってもあとから分割できるじゃないですか。あれワインセラー買うときも使ってる人いると思うんですけど、金利が高いですよね。ならこういうサービスがあれば、もっと気軽にワインセラーを始めやすいんじゃないかと思って。ウチは分割手数料とかで儲けたいわけじゃないので。
シロ:とにかく気軽にワインセラーを家に置けるようにってことですね。さっきの20年保証のほうは高機能セラーが対象でしたが、こちらはペルチェ以外すべてのセラーから選べるし、ワインファンの裾野をもっと広げるためのサービスって感じですね。
尚孝さん:そうですね。今までの通常販売に加えて、さらに入口のハードルを下げるものができたので、初めてのワインセラー購入を躊躇されている方に届いてほしいと思っています。
「ルフィエール」を長く愛されるワインセラーブランドに
取材ではサービスの概要だけではなく、会社内部の話や企画会議中のこと、ぶっちゃけ思ってることなど、さまざまなお話を伺います。もう少し突っ込んで聞いてみました。
シロ:しかしこの20年保証サービスはけっこう攻めてますよね。大丈夫ですか?
尚孝さん:いやー、僕も最初は正直20年てほんまに大丈夫か?と思いましたね。もう50歳超えてるんで、終わるころには会社にいないわけですし。それくらいの年数ですよ。
シロ:そうなりますよね。
尚孝さん:でも考えてみたら、今は70歳や80歳の方もワイン飲んでますしね。自分に当てはめてみたら、20年なんてあっという間だなあと思って。たぶんずっと飲み続けますよね。若い方からしたら、もっと長い期間ワインと付き合っていくし、そこにはワインセラーが必要なわけで。
シロ:そうですねえ。
尚孝さん:しっかりニーズがあるなら、自分がいなくなっても会社としてちゃんと続けていくだろうと。企画・コンセプト自体は、ワイン好きの立場になれば、セラーとして本来あるべきものですし。
シロ:ほんまにそう思います。ただ、今聞いて思ったんですけど、会社がこのサービスやめちゃったらどうなるんです?ちょっと嫌な質問ですが。
市村さん:こちらの都合による事業停止の場合は、残りの保証期間年数に応じて返金します。もちろんそうしたことがないように努力し続けますが。超長期のことですし、万が一に備えて、契約時の規約にも詳細に対応を定めています。
シロ:規約としてしっかり返金対応が決められているんですね。万が一とはいえ契約では想定しておかないとダメな部分ですよね。
市村さん:はい。やめるつもりはないですが、このような契約には必要な記載ですね。
シロ:そうですよね。特に長期だと何が起こるか予測不能ですし。でも、これから物価高が続くと想定するなら、長期保証付きで早く支払っておいたほうが有利なのかなとは思いました。すでにいろんなモノの値段上がってますよね。
尚孝さん:それはありますね。製造工場とか、材料費も人件費もめっちゃ上がってて、値上げ要請がすごいですから。
市村さん:それでいくと、自動車みたいにモデルチェンジが頻繁にある製品じゃないので、同じ型を長期間使っても不利にならないのもいいところかと思います。
シロ:あー、そうですね。加温もありますけど基本は「冷えればいい」なので、そんなに革新的な機能が必要な製品じゃないですよね。冷蔵庫よりもさらに機能が限定的だし。とはいえ、もしモデルチェンジがあって廃盤になる機種が出た場合、故障交換時には後継機種が送られてくるって理解でいいですか?
市村さん:はい、後継機種もしくはそれに相応する機種をお送りします。
シロ:リスクとしてはそれくらいですかねえ。ほかなにかあります?
尚孝さん:よそも含めて今までにないサービスなので、なにかしら想定外のことが起こる可能性はありますし、そのときに会社としてできることできないことは当然あります。でも、極力ユーザーさんのワイン生活を損ねないようにと考えて、今回のサービスを設計しました。今後もそのつもりです。大ヒットや大儲けを狙うようなものではなく、「ルフィエール」を長く愛されるワインセラーとして育てていくためのブランディングなので。
シロ:それはサービス内容とかオーナー制度の特典をみてもめっちゃ伝わってきますね。まさに「20年の伴奏者」というコピーどおり。ところで、今までと同じ普通の販売方式も続けていくんですよね?
尚孝さん:もちろんです。この20年長期保証サービスを選んでもらえたらそれは嬉しいですが、やはり普通に買っていただくお客さんのほうが多いですから。このサービスがメインになるとまでは考えてないです。ワインセラーの購入を考えたときに、こんなサービスもやっているブランドとしてルフィエールを思い出して選択肢に加えてもらえたら。それが一番ですね。
シロ:自分に合ったものを選べるのが大事ですよね。個人も社会も、「豊かさとは選択肢が多いこと」だといいますし。私も多くのユーザーさんに届くことを願っています。今日はお話ありがとうございました!
新しくなったルフィエールブランドサイトはこちら
ルフィエールワインセラー公式サイト
※記事で紹介したサービスが申し込めるのは公式サイトからのみです