長年ワインを飲んでいると、品種や国ごとの特徴がある程度わかってくるもので、好みもはっきりしてきます。ただ、だからといって好みのワインだけ買っていると、家のセラーが似たワインばかりになるんですよね。好きなワインがそろっているので嬉しいことのはずなんですが、なんとなくあまり楽しくないのです。性格ですかね。
そんなわけで、ワインを選ぶ時は国や品種がバラけるようにしたり、あえて知らないワインを選んでみたりしています。そういうときに便利なのは、大手モールよりも小規模の専門ショップ。いい意味で品揃えが尖っているので、SNSなどでもまったく見ないワインがごろごろと出てきます。
今回、そんな小規模で頑張っておられるショップさんのなかで、スロベニアワインを中心に取り扱う「EAST TO EAST」さんとのご縁があり、ワインをご提供いただきました。ありがとうございます。
スロベニアの魅力を日本中に発信する「EAST TO EAST」
これがなかなか上質で味わい深いワインでしたので、ショップと合わせてレビューしていきます。いつものごとく、文章や内容に関しての指示などはまったくありません。そのまま私の感想を書いています。では、さっそくどうぞ。
EAST TO EASTはこんなワインショップ
今回レビューするショップのEAST TO EASTは、スロベニアの商品を扱うインポーターです。小規模ながら、スロベニアやスロベニアワインについて、また生産者の情報などが充実したサイトを運営してらっしゃいます。
公式サイトによると、生産量が少なく日本であまり出回ることがないスロベニアワインを、独自のコネクションを活かして輸入されているそうです。
ワイン定期便やギフトセットも用意されていて、これからスロベニアワインを知っていきたい方や、スロベニアにゆかりのある方への贈り物を探すサイトとしても便利そうですね。
これからレビューしていきますが、もちろんワインの品質もいいものでしたよ。
公式サイト | 「EAST TO EAST」![]() |
支払い方法 | クレジットカード、ShopPay、GooglePay |
送料(税込み) | 住所によって異なる |
特長 | スロベニアワインを中心に取り扱う |
運営会社 | Sein unique株式会社 |
白ワイン「プルス ソーヴィニヨン」をテイスティング
今回テイスティングしていくワインはこちらのプトゥイスカ・クレット プルス ソーヴィニヨンです。
プトゥイスカ クレット(Ptujska klet)は生産者名、プルス(Pullus)が銘柄名でソーヴィニヨン・ブラン種から造られたワインですね。(生産者によりますがソーヴィニヨン・ブランはソーヴィニヨンと略して表記されることがあります)
さっそく飲んでみると、おお、これは酸とミネラルがしっかりしたいいワイン。
柑橘とハーブの香り。酸が高く、フレッシュでスッキリしたワインだが、じわじわと豊かな果実味が広がってくる。余韻もそこそこ長い。ソーヴィニヨン・ブランらしい草原のイメージ。キャッチーでありながら、質の高さを感じるワイン。
3000円台としては大いにアリ!ですね。人気商品なのもうなずけます。アタック(飲み始め)と中盤、余韻それぞれに違う表情があるワインで美味しいですね。
初日は香りをしっかり取るために少し高めの温度(12℃くらい)で飲んだのですが、ちょっとピリピリした酸と雑味を感じました。2日目以降、冷蔵庫から出して温度を徐々に上げながら飲んだところ、上記のようなバランスが取れたワインになりました。温度を上げるよりも、キリッとした酸と果実味を感じる冷蔵庫温度のままでいい気がしますね。温度低めがおすすめです。
造り手のプトゥイスカ・クレットは、スロベニアで最も古いワイナリーだそうで、創業はなんと西暦1239年。800年近く前からあるんですね。この「プルス」は、そんなワイナリーの主力銘柄のひとつで、数々の国際的な賞も獲得しているワイン。シリーズにはほかにレンスキ・リースリングなどもあります。こちらも飲んでみたいですね。
スロベニアワインの特徴
なんとなくスロベニアワインにニューワールドのイメージを持たれてる方もいるかもしれませんが、実は紀元前からワイン造りが行われてきた地です。日本でいうと弥生時代初期からだそうで、すごい歴史ですね。
スロベニアはイタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアと国境を接しており、国土は日本の四国くらいの大きさ。人口は約200万人です。なのにワイナリーは2万8000軒以上あります。いや、おかしいやろ(日本は約500軒)。なんでも、スロベニアはアルコール度数45%以下であれば自由に酒を造っていいそうで、小規模な畑を持つガレージワイナリーが多いと。なるほど。とはいえ大手生産者はちゃんと存在しており、今回飲んだプトゥイスカ・クレットもそのひとつです。
地形はアドリア海とアルプス山脈、ハンガリー平原など多様で、それが気候の変化を生み出しています。主要なワイン産地は大きく3つ(ポドラウイエ・ポサウイエ・プリモルスカ)で、それぞれの産地ごとに特徴の異なるワインを生産します。
・ポドラウイエ・・・主に白ブドウを栽培。オーストリアと隣接しており、ソーヴィニヨン・ブランなどの上質な白ワイン、レイトハーベストやアイスワインなどの甘口、スパークリングワインなどが生産されている。
・ポサウイエ・・・軽めの赤ワインや白ワインが造られている。単一品種主体のスロベニアでは珍しく、ブレンドしたワインが多い。黒ブドウのモドラ・フランキーニャやツァメトフカに白ブドウをブレンドして造るロゼ、ツヴィチェックが有名。
・プリモルスカ・・・アドリア海に面した温暖なエリアで、赤ワインも多く造られている。固有品種レフォシュクから造られるフルボディの赤ワインが有名。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどの国際品種の栽培も盛ん。
基本的には冷涼な産地で、スロベニア全体で白ワインの生産が7割近くを占めますが、ロゼワインやオレンジワインも有名です。自然派ワインが多いのも特徴といえますね。オーガニック農業が広く浸透していて、ワイン用ブドウ以外もオーガニック作物の比率が高くなっています。
スロベニアワインおすすめです
今回レビューしたソーヴィニヨン・ブランもそうですが、スロベニアは白ワインの生産が7割近くを占める白ワイン大国です。ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネのほか、レンスキ・リースリングなど、多くの白ブドウ品種でワインが造られているので、ほかのも飲んでみたいですね。
ただ、スロベニアは世界第4位のワイン消費国で、生産したワインは国内で9割以上が消費されるとのこと。輸出に向けられる分は少なく、日本ではいつでもどんなワインでも買えるというわけではないんですよね。そんななかで、現地で上質なワインを探して日本に輸入してくれるインポーターや専門のショップさんには頭が下がります。
まだまだ日本では稀少なスロベニアワイン、ぜひ一度お試しください。おすすめです。