飛行機で提供されるワイン、特にファーストクラスで提供されるワインは、ラグジュアリーな空の旅全体の印象に影響する極めて重要なもので、航空会社の評価を決めてしまいかねません。基本的に乗っている方々は地位や収入の高いセレブたちで、ワインに詳しい人も多いですし。
そのため、航空会社では毎年機内に乗せるワインリストの作成のために、膨大な時間とコストをかけています。ファーストクラスのワインは、ワイン界の権威やソムリエ資格のあるCA(客室乗務員)などが、何千本もの候補ワインのなかからテイスティングして決めた、まさに「選ばれしワイン」というわけです。
もちろん機内食とのマリアージュが大切ですし、十分な提供量を確保できるかも重要です。年ごとに流行りや「テーマ」もありますので、単純に美味しいワインワインキングというわけではないですが。
それでもやっぱり、ワインのプロたちが「ファーストクラス」の乗客向けに選んだワインとなれば、期待も高まりますし、飲んでみたいですよね。
ということで、2018年にJALファーストクラスで提供されるワインリストのご紹介です。さすが高級ワインがほどんどですが、2000円〜3000円で手が届く価格のワインもありますよ。
【ワインリスト・写真出典:JAL】
JALのファーストクラスワインリスト2018年3月〜8月
JAL(日本航空)では3月〜8月と、9月〜翌年2月にわけてワインを提供しています。前半では、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュの3大フランス勢をしっかり固めたうえで、アメリカや日本のいわゆる新世界ワインを取り入れたラインナップになっています。
ルイ・ロデレール クリスタル・ブリュット 2009
まずはシャンパーニュ。ルイ・ロデレール クリスタル「Louis Roederer CRISTAL」です。こちらは2018年12月まで提供予定です。
いわずと知れた高級シャンパンですね。かなりメジャーですが、私はまだ1度しか飲んだことがありません。2009年は評判もいいので、飲もうと思っています。2004年が神の雫にも登場していますね。
ナッツのアロマと滑らかでクリーミーな泡が印象的なワインです。市価は20000円程度。
ポル・ロジェ・サー・ウィンストン・チャーチル 2006
もう一つシャンパーニュ。ポル・ロジェ サー・ウィンストン・チャーチル「Champagne Sir Winston Churchill」です。
ポル・ロジェはイギリスの元首相、チャーチルが愛したメゾンで、こちらのワインはチャーチル元首相へのオマージュとして造られたワインです。
サロンやクリュッグとも肩を並べる、高級シャンパンです。市価は20000円程度。
シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエ・クリュ・モルジョ 2015
白ワインのシャサーニュ・モンラッシェ・プルミエ・クリュ・モルジョ「Chassagne Montrachet 1er Cru “Morgeot”」です。JALのワインリストには生産者名が書かれていないのですが、写真のエチケットをみるとアルベール・ビショーのようです。
残念ながら、日本のネットショップでは手に入るところはないようですね。「シャサーニュ・モンラッシェ」の隣村「ピュリニー・モンラッシェ」ならあるんですけどねえ、アルベール・ビショー。ちなみに「モルジョ」は畑の名前です。
イエルマン・ピノ・グリージョ 2016
イタリアの白ワイン、イエルマン・ピノ・グリージョ「Jermann Pinot Grigio」です。
イエルマンはシャルドネの方が有名ですかね。わりと手に入れやすいワインで、3000円ほどなので、価格的にもグッドです。
ピノ系葡萄らしい、華やかでふわっとした香りと味が楽しめます。
ラパウラ・スプリングス 2017
ニュージーランドの白ワイン、ラパウラ・スプリングス「Rapaura Springs Reserve」です。
こちらもネットにはないですね……。レビューなどもかなり少なく、逆に興味がわきます。
ココ・ファーム・ワイナリー・風のエチュード 2016
日本ワイン来ました。ココ・ファーム・ワイナリー・風のエチュード「COCO FARM & WINERY Kaze no Etude」です。3000円程度。
ココ・ファーム・ワイナリーは、障害者支援施設のワイナリーなんですが、そんなことより普通にワインが美味しくて有名になっているワイナリーです。
こちらへは一度見学に行きたいんですよねー。時期はいつがいいのかな。
シャトー・ブラネール・デュクリュ 2014
フランスボルドーのサン・ジュリアン4級、シャトー・ブラネール・デュクリュ「CHÂTEAU BRANAIRE DUCRU」です。
神の雫にも登場しています。先に挙げたルイロデレールのクリスタルと、同じ話の中に出てきました。偶然ですね。
チョコレートの風味が特徴の赤ワインです。何度か飲んでいますが、ヴィンテージごとの味わいがけっこう違う印象です。6000円程度。
ポマール・クロ・デ・ユルスリーヌ「モノポール」 2013
フランスブルゴーニュの赤ワイン、ポマール・クロ・デ・ユルスリーヌ「Pommard Clos des Ursulines Monopole Domaine du Pavillon」です。造り手はドメーヌ・デュ・パヴィヨン。
クロ・デ・ユルスリーヌは、「モノポール」つまり単一畑で造られるワインで、村名ワインよりも格上になります。数が少ないようで、ネットでは取り寄せが多いみたいですね。6000円程度。
シャトー・イガイタカハ「園」ピノ・ノワール 2015 (2016)
アメリカカリフォルニアの赤ワイン、シャトー・イガイタカハ「園」ピノ・ノワール「Ch.igai Takaha“SONO”Pinot Noir」です。10000円程度。
日本人がアメリカで経営するワイナリーで、神の雫にもダイアトムシリーズ「波紋」「花偲」「風音」「鼓動」「美夜」が登場しました。ダイアトムはもう生産されていないようですが、同じ漢字シリーズの「園(その)」がファーストクラスワインに選ばれました。
楽天に公式ショップがあります。
クスダ・マーティンボロ・シラー 2015
もう1本、日本人が海外で造るワイン、クスダ・マーティンボロ・シラー「KUSUDA Martinborough Syrah」です。10000円程度のニュージーランドワイン。
ニュージーランド航空でも採用される、品質が評価されているワインです。手に入らないワインとして有名になってしまいました。。販売したら即売り切れるそうです。私も飲んだことがありません。
JALのファーストクラスワインリスト2018年9月〜2019年2月
2018年9月〜翌年2月に提供される後半のワインでは、ニュージーランドで高評価の日本人醸造家が造るワインや、人気が出てきている「オレンジワイン」も入っていて、面白いラインナップです。
なお、以下のワインは通年採用なので省略します。
- ルイロデレール・クリスタル
- イエルマン・ピノ・グリージョ
- シャトー・イガイタカハ「園」ピノ・ノワール
前半部分をご覧ください。
ボランジェ・ラ・グランダネ 2007
神の雫にも登場したワイン、ボランジェ・ラ・グランダネ「Bollinger La Grande Année」です。
英国王室御用達のメゾン、ボランジェが威信をかけて造る最高のシャンパン。007のジェームス・ボンドが好んで飲むことで有名です。
まさに「本物」のシャンパーニュといった風格なんですが、市価は15000円ほどで、高級ワインのなかでは買いやすいです。
ボランジェ・ロゼ・リミテッド・エディション 2006
同じくボランジェから、ボランジェ・ロゼ・リミテッド・エディション「Bollinger Rosé 2006 -limited edition」です。市価は15000円程度。
2006年はラ・グランダネが造られなかったかわりに、この限定版のロゼが登場しました。ピノ・ノワール100%の赤ワインを少し混ぜるという方法で造られています。
JALのファーストクラスでは、2018年12月〜2019年1月の2ヶ月間だけ提供されます。
デュモル・シャルドネ・ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2014
白ワインは、アメリカ・カリフォルニアからデュモル・シャルドネ・ロシアン・リヴァー・ヴァレー「DuMOL Chardonnay Russian River Valley」です。
デュモルは1996年設立のワイナリーながら、ワインの評価が高く、今では「カルトワイン」化しています。
そのわりには比較的買いやすい価格でワインを提供しており、こちらのシャルドネも10000円を切ります。
ドッグ・ポイント・ソーヴィニヨン・ブラン 2016
ニュージーランドからドッグ・ポイント・ソーヴィニヨン・ブラン「DOG POINT VINYARD SAUVIGNON BLANC」です。
これは2500円ほどで買えるワインで、キリッとした酸味が味わえます。グレープフルーツのような苦みもあり、とても爽やかなワインです。夏向きかな?
ワインは値段じゃないとはいえ、この価格帯でファーストクラスに採用されるのはすごいです。機内食とのマリアージュもあるのかもしれませんが、それだけ味の評価が高いワインということですね。
ココ・ファーム・ワイナリー・甲州・F.O.S 2015
人気上昇中のオレンジワイン、ココ・ファーム・ワイナリー・甲州・F.O.S「COCO FARM & WINERY Koshu F.O.S」です。
オレンジワインは「みかん」から造るワインではなく、葡萄の皮ごと発酵させた白ワインです。
普通、白ワイン用の葡萄は中の実だけを発酵させますが、オレンジワインは赤ワインのように丸ごとやるので、皮や種の色がほんのりとつきます。これがオレンジワインと呼ばれています。
渋みや苦みが出ますので、味に深みを与えてくれます。色も琥珀色でとても綺麗です。3000円程度で買えますので、一度お試しを。
ロック・ド・カンブ コート・ド・ブール 2012
フランス、ボルドーからロック・ド・カンブ コート・ド・ブール「Roc de Cambes Côtes de Bourg」です。
ロック・ド・カンブはあまりネットショップではみかけないワインですが、神の雫には登場しました。遠峰一青がクオリティーを褒めてます。
作中では、「仔羊のロースト マデラソース」に合わせていたので、機内食とのマリアージュで選ばれたのかもしれません。10000円。
パリンガ・エステート エステート・ピノ・ノワール 2011
オーストラリアワインの、パリンガ・エステート エステート・ピノ・ノワール「PARINGA ESTATE Estate Pinot Noir」です。5500円程度。
パリンガ・エステートは、メルボルン近くのモーニントン・ペニンシュラというワイン産地のワイナリーです。同エリアはシャルドネやピノ・ノワールなどの評価が高く、フランスのブルゴーニュのような感じです。
オーストラリアのピノ・ノワールはブルゴーニュより力強く、スパイシーさが感じられます。なんともオーストラリアらしいですね。
クスダ・マーティンボロ・ピノ・ノワール 2016
日本人醸造家、楠田浩之氏がニュージーランドで造るワイン、クスダ・マーティンボロ・ピノ・ノワール「KUSUDA Martinborough Pinot Noir」です。13000円程。
前半に登場したクスダ・シラーと同じく、手に入らないワインとして有名です。見つけたら即買いしないと、すぐになくなるそうです。
ファーストクラス採用ワインが買えるショップ
さすがファーストクラスのワインは、日本のショップでは手に入らなかったり、入手困難な限定ワインも揃えていますね。
上にあげた、今は在庫があるワインもファーストクラス採用ということで人気化して、売り切れが多くなるかもしれません。飲みたいワインがあればぜひお早めに。
ファーストクラスで提供されるワインは、今回ご紹介したJALだけでなく、ANAや他の航空会社のもありますし、毎年銘柄が変わります。
エノテカオンラインさんでは、過去にファーストクラスとビジネスクラスに採用されたワインを特集しています。
手頃な価格のものをセレクトされていますので、こちらもぜひ。
ファーストクラス・ビジネスクラス搭載ワイン特集【 ENOTECA Online】