最高峰のワイングラスとして有名なロブマイヤー・バレリーナワイングラス。もちろんシャンパーニュ用もあり、シャンパングラスはロブマイヤー・バレリーナ・チューリップとして展開しています。
さすが貴族やセレブからも絶賛のグラスだけあって、芸術品のようなうっとりするシルエット。シャンパーニュが持つ雰囲気との相性も最高のシャンパングラスです。
でも「ほんとにその値段に見合う価値はあるの?」「気分の問題では?」という声もよく聞きます。
まあ気分の問題でも“美味しく感じている”ならそれでいいと思いますが、実際ちゃんと飲み比べて違いはあるのか?気になりますよね。なので試してみました。
目次
ロブマイヤー・バレリーナ・チューリップで飲み比べ
今回のワイングラス比較で使うロブマイヤーシャンパングラスは、バレリーナ・チューリップAとバレリーナ・チューリップBです。
比較用として他社の普及型ワイングラスも用意しました。
バレリーナ・チューリップAとBの違い
チューリップAの方がボウルが大きくふっくらとしています。チューリップBはボウルが小さく、背も低い。どちらもシャンパングラスなのですが、Bはブランデーやマール、カルバドスなどのアルコール度数の高いリキュール用に寄せてある感じです。
ロブマイヤーの他は、私が使い続けてきたリーデル・ヴェリタス・シャンパーニュ、そして昔買った1500円くらいのフルートグラスを比較のため引っ張り出しました。
- ロブマイヤー・バレリーナ チューリップA(定価2万1600円)
- ロブマイヤー・バレリーナ チューリップB(定価2万520円)
- リーデル・ヴェリタス・シャンパーニュ(定価4860円)
- フルートグラス(1500円程度)
飲み比べるワインは、世界で最も有名なシャンパーニュ、ドン・ペリニヨン(Dom Perignon)です。
ヴィンテージは2009。普段からドンペリをガブガブ飲んでいるわけではありませんが、ロブマイヤーの実力をみるならこのあたりのシャンパンが適しているでしょう。
グラスに注いで、まずは香りを取ります。
香りの比較
シャンパーニュは泡が弾けるので、少し待ってから香りをかぎます。
・チューリップA
ナッツ、トースト、果実の香りがきます。果実は桃か洋なしあたりのイメージ。4つのグラス中最も香る。
・チューリップB
ナッツ、トースト、果実の香り。チューリップAよりナッツが少なめ。あとはAと同じ。
・リーデル・ヴェリタス・シャンパーニュ
ナッツ、トースト、果実の香り。でもすべての香りがチューリップAより少ない。洋なしを少しだけ強めに感じます。バランスはいいです。
・フルートグラス
あかん!香りが弱い。誰でもはっきりと分かるレベル。ほんとにドンペリか?と思うほど弱いです……。
続いて味わいの違いです。
味わいの比較
ワインをテイスティングするときに行う「口に含んで味わう」というやり方をすれば、どれもほぼ同じになります。
でも、シャンパーニュのようなスパークリングワインの場合、炭酸の感じ方やのど越しも重要な要素です。普通、炭酸飲む時は、口の中に溜めてぐにゅぐにゅしませんよね……。
ということで、スパークリングを飲む時の「スッと飲む」感じで比較。
・チューリップA
柔らかい炭酸。一瞬で飲み込んでも、ワインの輪郭がしっかり感じられる。適度な酸味と後を引かない爽やかな甘味。
・チューリップB
Aより少し強い炭酸。舌の真ん中だけで炭酸を感じる。ワインの輪郭がしっかり感じられる。甘味より酸味が勝つ。
・リーデル・ヴェリタス・シャンパーニュ
炭酸は弱い。スティルワインの飲み口に近い。甘味が少し残る。
・フルートグラス
ビリビリとして1番強い炭酸。味わいは総じて薄い。後味なし。
明かな傾向として、ワイングラスが細くなるほど炭酸を強く感じます。そしてグラスが小さくなるほど酸味を強く感じます。
泡の立ち方を比べる
泡の立ち方も比べてみました。
スパークリングワインの中でも、シャンパーニュは特に泡の立ち方が美しいと言われるワインです。
細く長く、ゆっくりと立ちのぼる泡が良いとされています。
「長い泡」というところに着目すれば、少量のワインでも液面までの高さがかせげる4番のフルートグラス(1500円)が一番です。が、このフルートグラスはほとんど泡が立ちません。
これはグラスの中がつるんとした曲面だからだと思います。凹凸や傷がないと、細く立ちのぼる泡は出ないです。
リーデルはフルートグラスにレーザーで小さな傷をつけるのが有名ですね。ただ、こちらのヴェリタス・シャンパーニュはボウルが大きいからか、泡が多少ばらけました。
そして、ロブマイヤー・チューリップAとBの比較がこちら。
なんかチューリップBの泡がめちゃくちゃ強い……
泡の立ち方からみて、ロブマイヤーも底に傷をつけているんじゃないかと思うのですが、Bは激しすぎる気がします……。ハンドメイドの個体差なのか、もしくはこのときグラスの底に何かついていたのかも。。ちゃんと洗ってるつもりなんですけどね。
ドン・ペリニヨンに合うシャンパングラス
ドンペリを飲み比べた結果はこうなりました。
香り | 炭酸 | 酸味 | 甘み | ボディ | |
チューリップA | ◎+ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎+ |
チューリップB | ◎ | ◎ | ◎+ | ◎ | ◎ |
リーデル・ヴェリタス | ◎ | ○ | ○ | ◎+ | ○ |
フルートグラス | △ | ◎+ | ○ | △ | △ |
「+(プラス)」は他のグラスより若干強く感じたもの。ボディは厚みよりも、骨格とか輪郭の意味で使っています。
ということで、ドン・ペリニヨンに一番合うシャンパングラスは「ロブマイヤー・バレリーナ・チューリップA」です。それにしてもドンペリ美味しい!
セック(甘口)シャンパーニュに合うワイングラス
王道のドライタイプのシャンパーニュには、ロブマイヤー・チューリップAがいいことはわかりました。
では、セックと呼ばれる甘口タイプのシャンパンではどうだろう?と思い、こちらも試してみました。
比較に使ったワインは、神の雫にも登場したワイン、テタンジェ・ノクターン・セックです。
で、結果は、ドンペリとほぼ変わらずでした。セックであっても、やはりチューリップAが最もワインの香りを引き出し、骨格をとらえています。
チューリップBもいいのですが、小さいのでシャンパンを頻繁に注がなければなりません。日本酒のおちょこで飲む感じがお好きならOKです。
リーデル・ヴェリタス・シャンパーニュは、香りは少し弱くなるものの、甘味を強めに感じました。セックを選ぶ人は、甘味が好きだと思うので、これはアリだと思います。ただ、炭酸の抜けが早い。まあこれはグラスがほぼ白ワイン用に近い形なので、仕方ない部分ですが。
あ、シャンパン飲むのにフルートグラスはもう考えなくていいです。今回のはグラスのグレードがあまりに違うということもあるのですが、そもそも形状がワインに向いていません。
じゃあなんでみんなフルートグラス使うの?という理由については、こちらに書きました。一言でいうなら「昔の名残と、飲食店の求め」です。
まとめると、甘口のセックでもおすすめシャンパングラスは、やっぱりロブマイヤー・バレリーナ・チューリップAです!
ロブマイヤーは誰でも美味しいと感じるのか
前述のとおり、私のおすすめシャンパングラスはロブマイヤー・バレリーナ・チューリップAです。
ですが、本当に何も知らないワイン初心者が飲むとどう思うのか?
ということで妻に飲んでもらいました。妻はビールを多少飲む程度で、ワインだけでなくお酒自体をあまり飲みません。ドンペリも飲んだことありません。
ワイングラスのブランドも価格も知らせず、4つのグラスでドンペリを飲んでもらった結果。
「チューリップAが1番美味しい。ワインの輪郭がはっきりわかる」
とのことで、やはり同じ結果になりました。初心者にしては、なんかコメントがそれっぽいですね笑
ロブマイヤーのシャンパングラス1番人気は?
実際のショップで売れ筋はどうでしょうか。問い合わせてみたところ、ロブマイヤーのシャンパングラスで一番人気があるのはやはりバレリーナ・チューリップA。デスヨネー。
「泡モノ」としてのシャンパーニュの特徴と、「ワイン」としての味わいを両立させる形。それがこのボウルなんだと思います。極めてバランスの取れた姿です。
はー、美しい。
で、もう一つ利点としてチューリップAは白ワインもそこそこ兼用できるんですよね。モンラッシェとかの芳醇白ワインになると専用グラス使った方がいいですが、樽をきかせないタイプとかならOK。タンニンがある赤ワインはダメですよー。
赤ワイン用グラスでシャンパンを飲むとどうなるか
ふと思いついて、赤ワイン用のワイングラスでシャンパーニュを飲むとどうなるか試してみました。使ったのはロブマイヤーで最も人気のあるワイングラス、バレリーナ3とバレリーナ4です。
なんとかワイングラスを万能型1脚で済ませられないか。というのは、みんな一度は持つ願いですよね。
……はい。願いは叶いませんでした。
赤ワインではあんなに素晴らしかったバレリーナ3が!偉大なシャンパーニュ、ドン・ペリニヨンが!
ペラい。
なんでしょうねえ。泡の感じもワインの味もぼやけます。泡がまばらにしか立ちのぼらないので、見た目にもしーんとしちゃってますし。
やっぱり「シャンパングラス」というカテゴリーでワイングラスが造られているのは意味があることなんですね。
赤ワイン、白ワインにおすすめのロブマイヤー・ワイングラスはこちらの記事にまとめてあります。
シャンパーニュを美味しく飲むならまずワイングラス
ドンペリに限らず、美味しいワインを飲みたいなら、まずは良いワイングラスを用意しましょう。ちゃんとワインの味を引き出すグラスで飲まないともったいないし、ワインがかわいそうです。
実験してみて、「ドンペリって言うほどおいしくないよ」とか言ってる人は、安物のフルートグラスで飲んでるんじゃない?と思いました。美味しいですよドンペリ。ぜひロブマイヤー・チューリップAで飲んでください。
ロブマイヤーはほいほい買える価格じゃないですが、頑張って1脚でも持っておくと、安いワインもずっと美味しく飲めます。高いワインを飲むのもいい経験ですが、ワイングラスへの投資は、幸せの総量が大きくなるのでおすすめです。