高級ワイングラスとして有名なロブマイヤー。中でもシルエットが抜群に美しいのが「バレリーナ ワイングラス」シリーズです。熟練職人のハンドメイドによる、プリマドンナがティップ・トゥ(つま先)で立つ姿をイメージしたデザインは、もはや芸術品の域です。
そんな世界中のワインファンが憧れるロブマイヤーのバレリーナですが、いざ買おうとすると種類が多く迷ってしまいます。
そこで、実際に使ってみた感想をもとに、ロブマイヤー・バレリーナワイングラスの種類と特徴をまとめました。
初めてロブマイヤーを買うときにおすすめしたいバレリーナ・ワイングラスもご紹介します。
目次
ロブマイヤー(LOBMEYR)とは
ロブマイヤーはオーストリアのガラスメーカーです。1823年から続く老舗で、最高峰のワイングラスメーカーとして有名です。シャンデリアなども造っています。
かつては王族や貴族が主な顧客で、王侯貴族のラスボス「ハプスブルク家」が統治していた時代には、皇室御用達の称号も得ています。
今でも製品は熟練工が一つひとつ手造りするこだわりで、美麗なデザインと合わさってもはや工芸品の域に。世界のロイヤルファミリーからの信頼も厚く、支持され続けている職人工房です。
ロブマイヤーのバレリーナシリーズ
そんなロブマイヤーが、1992年に英国のプリマドンナ「マーゴ・フォンティーン」のティップ・トゥ(つま先)で立つ姿をイメージしてデザインしたのがバレリーナシリーズ。
シルエットの美しさはもちろん、鉛を使わないカリクリスタルがもたらす透明度と輝きは、ワインファンならずとも魅了されてしまいます。
初めて買うロブマイヤーにおすすめのグラスは
バレリーナの種類と特徴については後ほど詳しくご説明しますが、まずは初めてのロブマイヤーにおすすめのワイングラスを。
最初に買うロブマイヤーなら、私はバレリーナ・ワイングラスⅢをおすすめします。赤ワインメインで扱いやすく、ワインの複雑な香りをしっかり引き出してくれます。プレゼントにも最適。
すらっと立つ綺麗な脚にふっくらとしたボウル。そこからリムに向けてちょっとくびれているシルエットがたまりません。
食卓にこのバレリーナワイングラスがあるだけで、まるで貴族のディナーのような雰囲気に。
基本は熟成した香りのたつ高級赤ワイン向けで、エレガントなブルゴーニュも力強いボルドータイプもいけます。さらに、デイリーワインでも香りが取りやすく美味しくなる。白ワインも、樽熟成タイプならバッチリです。
なので赤ワインを中心に考えるならバレリーナ・ワイングラスⅢですが、スッキリ系白ワインとビールが多めなら、バレリーナ・ワイングラスⅣも候補に入ります。
それぞれ説明します。
赤ワインメインならバレリーナⅢ
ロブマイヤー・バレリーナワイングラス3は、大きなボウルがワインの香りを確実に開かせてくれるので、デイリーワインでも美味しくなります。
シルエットも、毎日眺めていたいほどホレボレするデザインですし、手に持った瞬間の軽やかさと口につける部分の薄さは感動ものです。グラスに安定感があるのでスワリング(くるくる回す)しやすいのもポイント。
ショップでの売れ行きもトップだそうで、よく在庫切れになっています。ハンドメイドの少量生産なので、ここは仕方ありません。
一番人気のシリーズをおすすめするのは、なんとなく悔しくもあるのですが、実際使ってみてやはり良いものは良いと実感しています。
ワイン全般飲むけど、基本は赤ワイン。という方におすすめです。
白ワインやビールが多めならバレリーナⅣ
赤ワイン用のおすすめはバレリーナ3ですが、白ワインとビールもよく飲むならロブマイヤー・バレリーナワイングラス4がおすすめです。この4も赤ワイン用のグラスなんですけどね。
バレリーナ3だと、スッキリ系の白ワインの爽快感が多少減る感じがします。酸味が丸くなるというか。人によっては「勢いがなくなる」ように感じられるかもしれません。コクのある樽熟成タイプの白ワインならいいんですが。
逆にバレリーナ4は、ブルゴーニュのような香り高い赤ワインだと、3より香りが弱く感じます。
まあいずれも同時に飲み比べないと、それほど気にならないですけどね。
ビールは圧倒的にバレリーナ4の方が美味しく飲めます。たぶん飲む時にグラスを傾ける角度が違うからです。のど越し大事。
なので、スッキリ系の白ワインとビールにも使いたいならバレリーナ4をおすすめします。予算があるなら3と4の両方を買って使い分けるのがベターです。
ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラスの種類と特徴
バレリーナシリーズの種類と特徴をご説明します。
バレリーナは、まず1〜6までのナンバリンググラスがあり、加えてチューリップ(シャンパーニュ)A〜C、そしてブルゴーニュ、トラベラーなど幅広くラインナップを展開しています。
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス1
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス2
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス3
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス4
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス5
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス6(ウォーター)
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス ブルゴーニュ
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス チューリップ A
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス チューリップ B(トール)
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス チューリップ C(ロウ)
- ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラス チューリップ D(トラベラー2)
- ロブマイヤー・バレリーナ シャンパンフルート
- ロブマイヤー・バレリーナ ビアグラス
- ロブマイヤー・バレリーナ シェリー
特徴はなんといってもそのデザインの優雅さ。バレリーナの名のとおり、思わず見とれてしまう美しいシルエットです。カリクリスタルの透明度と光の輝き方も本当にすばらしいです。
加えて薄さ軽さもとんでもなく、一般的なワイングラスの半分程度の重さ(104g/バレリーナ3)です。軽さは手に持った感触やスワリング(くるくる回す)のしやすさ、薄さは味わいに影響します。
特に口に当たるリム部分の薄さは、ワインの味わいに大きく影響しますので、最重要な部分です。
バレリーナワイングラスⅠ&Ⅱ
バレリーナワイングラス1と2は、脚が長く背の高いタイプ。まるでアン・オーのポーズで立っているような、うっとりするぐらいエレガントな芸術品です。
高級レストランやホテルなど、業務用で使うのにはすごくいいです。
カジュアルなワインバーでも、このグラスでワインが出てきたら店の印象がグッとアップするでしょう。どんなワインでもエレガントになり、写真を撮ってSNSでシェアされること間違いなしです笑
ただ、自宅で普段使いをするにはちょっと不便かなと。
飲むのはいいのですが、かなり背が高いので保存場所に困ります。どれくらい高いかというと、ワインのフルボトルと比較してこんな感じ。
バレリーナ1の高さは26cmあります。これだけ高いとつっかえてしまう棚も多そうですし、入ったとしても倒れないか心配です。重心が上の方にありますし。
ワイングラスハンガーに吊るして保管すればいいのですが、このグラスは台座も大きいんです……。ウチのワイングラスハンガーには、通すときにナナメにすると入りましたが、ギリギリです。
吊り下げ保管を考えるなら、あらかじめ直径を測るか、下記のような台座の大きさに影響されないハンガーを用意してくださいね。(バレリーナ1の台座が一番大きくて直径約9.5cm、他のグラスはそれより小さいです)
自宅用に購入するなら、特別なときだけ使い、普段は箱のまま保存すると良いですね。
参考にウチの保管方法はこんな感じです。
ロブマイヤー・バレリーナⅠに合うワイン
バレリーナワイングラス1は、赤白兼用の万能型です。突出して得意なワインがないかわりに、幅広いタイプのワインを楽しめます。
香りを重視するブルゴーニュなどは、もう少し大きなボウルがほしいところですが、デザインが気に入ったなら、許容範囲です。
同時に飲み比べると、バレリーナ3やブルゴーニュグラスのほうが香ると感じますが、そういうテイスティング的なことをしなければ、私はあまり気になりません。
ロブマイヤー・バレリーナⅡに合うワイン
バレリーナワイングラス2は白ワイン用グラスです。ほかにシェリーやマデイラなどの酒精強化ワインにも合います。
ワインを飲んだあと、飲み足りなくてブランデーなどをちょっといきたいな。ってときありませんか?私はそのままこのグラスに注いで飲んでしまいます。
でもボウルがかなり小さく、赤ワインには向かないので、我が家では出番が少なめです。
バレリーナワイングラスⅢ&Ⅳ
バレリーナワイングラス3と4は、シリーズ中もっとも人気のあるグラスです。一番人気はバレリーナ3のほう。ボウルが大きいのが特徴です。
均整のとれたデザインは、これぞまさにロブマイヤーといった風格。見た目に反してとんでもなく軽く薄く、グラスの存在を忘れてワインに没頭してしまうほどです。
高級ワイングラスを使っていながら、グラスの存在を感じないのは逆説的ではありますが、これこそ優れたグラスの本質じゃないでしょうか。
バレリーナ3と4は、持ちやすくスワリングもしやすいので、普段使いから特別なときまで末永く使えるワイングラスです。保管も問題なしです。
ロブマイヤー・バレリーナⅢに合うワイン
バレリーナワイングラス3は主に香りを楽しむ赤ワインに合います。
とはいえ、ワイン価格の半分は香りですので、どんなワインを飲んでもいいと思います。特に代表的なボルドーとブルゴーニュはどちらもしっかりポテンシャルを引き出してくれます。
白ワインを飲んでもいいんですが、酸味がちょっと丸くなる感があるので、スッキリとした爽やかさやミネラルを楽しむタイプの白ワインは、別のグラスを使ったほうがいいと思います。
人気No.1のワイングラスで、売り切れのことも多いです。バレリーナはすべてハンドメイドで大量生産できないため、入荷未定のままのショップも多いですね。
ロブマイヤー・バレリーナⅣに合うワイン
バレリーナワイングラス4は、一番人気の3を少し細くしたデザインです。
扱いやすく、基本のワイングラスとしてイメージするのはこのバレリーナ4の方かもしれませんね。重さもこちらの方が軽く、量ったら79gしかありませんでした(バレリーナ3は105g)。持ち上げたとき思わず「うわ軽っ!」と声が出ます笑
香りはやはりボウルの大きい3のほうが感じますので、赤ワインメインなら3の方がいいと思います。
が、白ワインやビールとも兼用するならこちらのバレリーナワイングラス4ですかね。
特にビールの喉越しは完全にこちらのバレリーナ4に軍配があがります。香りを楽しむエールビールやクラフトビールとの相性は最高。また一般的なピルスナースタイルでも、プレミアムモルツなどはさらに美味くなりますよ。
バレリーナワイングラス ブルゴーニュ
バレリーナワイングラス ブルゴーニュは、名前のとおりブルゴーニュ用のワイングラスです。
ピノ・ノワール種はもちろん、ガメイやカベルネ・フランなどの葡萄品種から造られる、エレガント系の赤ワインに合います。
そしてモンラッシェやムルソーなど熟成した白ワインもOK。芳醇なワインの香りを最大まで引き出してくれます。
バレリーナ3と得意なワインは似ていますが、こちらの方がよりブルゴーニュに専用特化しています。さらにバレリーナ3より、鼻とワインの液面が近くなるので、少量のワインでも香りが取りやすいです。
このブルゴーニュグラスのデザインも素敵ですよね。バレリーナ3との選択であれば、お好みで大丈夫です。
バレリーナワイングラスⅤ&Ⅵは2脚目向け
バレリーナワイングラス5は白ワイン向け、6はウォーターグラスと名が付いており、水やソフトドリンク向けに造られたグラスです。
形状はバレリーナ4をスリムにしたイメージです。
ロブマイヤー・バレリーナⅤに合うワイン
バレリーナワイングラス5は、白ワインやビールに合うグラスです。
バレリーナ4よりさらにスリムになっているので、白ワインの中でもスッキリ爽やかに飲むタイプに合います。日本酒もOK。大吟醸とかこんな感じのグラスで出してくれるお店ありますよね。
濃くて芳醇な香りのするシャルドネ白ワインなどは、もう少しボウルが大きいほうが香りを引き出せます。
熟成赤ワインが得意なバレリーナ3と組み合わせれば、かなり広範囲をカバーできます。
ロブマイヤー・バレリーナⅥに合うワイン
バレリーナワイングラス6は、「ウォーターグラス」の名の通り、ミネラルウォーターやソフトドリンク向けです。ビールもいけます。
「水までおいしくなる」と言われるロブマイヤーグラスですので、水にもこだわる方は揃えてもいいと思いますが、バレリーナ4で代用できるかと思います。
少なくとも初めて買うロブマイヤーにはちょっと推薦しにくいです。
でも、お酒が飲めない方へのプレゼントにはいいですね。ロブマイヤーのウォーターグラスなんて、贅沢すぎて自分では買いそうにないという意味でも。
ロブマイヤーは割れやすいのか
薄く軽いワイングラスはどうしても割れやすいイメージがあります。私はロブマイヤーを割った経験はありませんが、確かに倒すと割れてしまいそうです。
ただ、ワイングラスを割ってしまうときって、倒すか落とす、またはぶつけるかですよね。つまり普段の使い方ではない「事故」が起こったときです。
たいていのワイングラスは、そういう事故が起きれば割れると思うんですよね。
衝撃に強いと有名なワイングラスメーカーもあって、私も使っているのですが、前に蛇口にコツンとぶつけて割れましたから。
乾杯の衝撃程度で割れるなら問題ですが、バレリーナワイングラスはそこまでヤワではありません。(まあ、高級ワイングラスなので無理にグラスを合わせなくてもいいと思いますが)
また、ロブマイヤーは普通のガラス(ソーダ石灰ガラス)より強い特性を持ったクリスタルガラスを使用しています。安物のワイングラスはソーダガラスですので、ロブマイヤーは薄いとはいえ、もろいわけではありません。
まあでもガラス製品なので、いつかは割れます。本気で割れないワイングラスがほしいのなら、アクリルやプラスチックのグラスにするしかない(味わいはあきらめることになります)ので、あまり神経質にならなくてもいいと思います。
私が気をつけているのは「飲んだその日にワイングラスを洗わない」ことです。洗い物を残すのはちょっと気持ちが落ち着かないですが、酔っていると手が滑ったり、蛇口に当てたりしますので……。あ、そうそう「そんなに酔ってない」と思ってる状態が一番危ないですよ!笑
気に入ったデザインを選んで問題なし
ここまでおすすめをまとめましたが、バレリーナシリーズはどれも最高級の品質なのは間違いなく、直感で好きなデザインから選んでも、そんなにハズしたと思うことはないです。
確かにワインとワイングラスのマッチングによって、味わいに差は出るのですが、好みは人それぞれですからね。
私はまずバレリーナ3からがいいと思いますが、背の高いバレリーナ1や2のデザインが好きなら、そちらを買ったほうが満足度は高いでしょう。(でも保管場所には気をつけて)
私は、ワインは幸せな気持ちやゆとりを実感できるお酒だと考えているので、毎日気分よく使えるというのは大切だと思います。それに「惚れ込んだグラスで飲む」という心理的な要素も無視できません。味覚には感情が大きく影響します。
ロブマイヤー・バレリーナ・シャンパングラスのおすすめはこちらの記事にまとめました。
ロブマイヤーのシャンパングラスはおすすめなのか?ドンペリで試しました
ロブマイヤーのワイングラスは最高峰だけあって、けっこうなお値段です。ちょっと躊躇しますよね。私も使う前は、ロブマイヤーほど高価なものを選ばなくても、「マシンメイドでもあまり変わらないんじゃないかなあ?」と思っていました。でも、違います。ハンドメイドの高級ワイングラスはやっぱりそれだけの価値があります。
それに、この先末永く良いワイングラスで美味しくワインが飲めると考えると、投資効果は抜群にいいです。安ワインも旨くなりますし、合わせる食事もグレードアップします。
ワインの味に一番影響するグッズはワイングラスですので、普段のワインを何回か我慢してでもぜひ良いものを選んでください。ロブマイヤー・バレリーナワイングラスは期待に応えてくれます。迷っているなら、とりあえずバレリーナ3を買っておけばOKです。