シャンパンはフルートグラスで飲むべきではない?リーデル当主に直接聞いてきた

Maximilian Riedel

シャンパンを飲むのにおすすめのシャンパングラスと聞いて、フルートグラスの形を想像する方は多いと思います。私も疑いなくフルートグラスでシャンパーニュを飲んでいましたし、以前おすすめのシャンパングラスとして紹介したこともありました。


フルートグラスは、こういう形のグラスです。

しかし、リーデルが「シャンパーニュにはフルートグラス」という常識に風穴をあけました。世に問うた作品はヴェリタス・シャンパーニュ・ワイン・グラスです。

私もリーデルのセミナーに参加したり、自身でヴェリタス・シャンパーニュを購入して何度も試しました。そして先日、リーデル現当主マキシミリアン・リーデル氏によるスペシャルシャンパンテイスティングセミナーに招待され、氏からお話を伺いました。

リーデル当主から直接ワイングラスの選び方を聞くことができ、実際の味わいも体験して、もはやシャンパーニュはフルートグラスで飲むものではないと確信しました。

私が体験したワインの味わい変化とセミナーの様子をレポートします。

創業250年の名門ワイングラスブランド<リーデル>

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リーデル・スペシャルシャンパンテイスティングセミナーのポイントは

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今回のシャンパンテイスティングセミナーのポイントは大きく2つ。

1,シャンパンにフルートグラスは正しいのか
2,シャンパンも葡萄品種によってワイングラスを変えるべきか

1は前述のとおりフルートグラス(とクープグラス)はシャンパンに最適なワイングラスとは言えないと証明するためのもの。

2もかなり興味深くて、シャンパーニュに使用される葡萄品種、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの比率によってワイングラスを分けるべきかどうかという問いです。

ピノ系2種は黒葡萄、シャルドネは白葡萄です。今回用意されたモエ・エ・シャンドン・ロゼ・アンペリアルは、赤ワインをブレンドして造られるワインで、黒葡萄の比率が8割を超えるシャンパーニュです。

そして比較するリーデルワイングラスは、シャンパングラスと赤ワイン用グラス。つまりロゼ・シャンパンの場合、シャンパーニュ(発泡性ワイン)であることを重視するか、赤ワイン用葡萄品種に合わせるべきかという問いなわけです。

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よって、写真左の1番クープグラスと2番フルートグラスは咬ませ犬。主役は右側の3番ヴェリタス・シャンパーニュと4番ヴェリタス・ニューワールド・ピノ・ノワールです。

ヴェリタスシリーズはリーデル・ワークショップで数多くのデザインの中から選ばれたワイングラスです。ワークショップとは、醸造家やソムリエなど延べ5万人以上が参加している、リーデル主催のワインテイスティングの場です。ワインのプロに選別され、もっとも各葡萄品種ごとの特長を引き出すワイングラスとして生き残ったものということになります。

  1. ヴェリタス クープ/モスカート/マティーニ
  2. ヴィノム シャンパーニュ
  3. ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス
  4. ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュ

ピノ・ノワールの赤ワインとデカンタ「アヤム」の紹介

まずは赤ワインテイスティングからです。と、その前にマキシミリアン・リーデル氏がデザインしたデキャンタ「アヤム」の紹介。

リーデル・アヤム

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アヤムとはインドネシア語でチキンの意味。形状からこう名付けられました。
「来年は酉年なので、リリースのタイミングも完璧だね」とマキシミリアン氏の軽快なトークで場をなごやかに。

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さらに「テーブル上の邪魔にならないよう、こうやって横に引っかけることもできるよ」と澄ました顔でジョークをとばす、おちゃめな当主。

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構造的に、他のデキャンタと違ってバシャバシャ揺すらず、静かに左右に傾けるだけで空気が移動するのでエレガント。音はゴッポゴッポすごいですが、エイジングが進んでいるのがはっきりイメージできていいですね。

ちなみにリーデルのデカンタは他のも見てるだけでおもしろい。「こぶたのしっぽ」とか「ボア」とか「エスカルゴ」とか、ネーミングもなるほど。

リーデル・デカンタ

ピノ・ノワールの赤ワインをテイスティング

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さて、赤ワインのテイスティングです。ワインは、ポール・ホブス ピノ・ノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2013。カリフォルニアワインです。いわゆるカリピノ。

マキシミリアン氏は素晴らしいワインだと賛辞をおくっていて、私も飲んでみたかったワインです。ポール・ホブスは、あのオーパス・ワンの醸造責任者をつとめていたポール・ホブス氏が設立したワイナリーです。このレベルが出てくるのはさすがスペシャルセミナー。

テイスティングは4、3、2番のワイングラス順で行います。

4番はさすがピノ・ノワール専用グラスです。大ぶりなボウルからもわっと漂う、フルーツやイチゴの華やかな香り。飲んでみても豊かな果実味と甘さを存分に感じられます。良いワインだなあ。

3番は香りと果実味が少し減り、アルコールを強く感じます。さらに香りには青臭さが混じる。これはセカンダリーアロマが前に出てきたためだそう。ちなみにセカンダリーアロマは発酵時に出来る香り、プライマリーアロマは葡萄由来の香りのことです。

2番のフルートがダメなのは誰でも分かる。酸とミネラルを強く感じて、ツンツンした味わいになります。香りもほとんど消えます。グラスが小さくて、口もすぼまっていれば、香りを強く感じるのでは?とイメージしてしまうのですが、実際はまったくダメです。

カリ・ピノなどのニューワールドピノ・ノワールにはこのワイングラスですね。(ブルゴーニュはピノ・ノワール100%ですが、別の伝統的なワイングラスの方がいいそうです)
ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュ

ピノ・ノワールとホワイトチョコレートのマリアージュ

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次はポール・ホブスとホワイトチョコのマリアージュを試します。チョコはリンツのこれです。
リンツ Lindt タブレット チョコレート エクセレンス ホワイトバニラ

舌の上で溶かしつつ4番のピノ・ノワールグラスでワインを飲むと。

おお、ホワイトチョコの甘さとバニラがピノ・ノワールの果実味と合う。今まで普通のチョコレートとピノ・ノワールは合わないなと感じていたのですが、そうかカカオマスを含まないホワイトチョコにすればいいのか。これは勉強になりました。

ちなみに私がピノ・ノワールと最もマリアージュすると考えている食材、それは「梅干し」です。カリカリ梅やかつお梅などの調味梅干ではない、ほんものの梅干し。人におすすめしても誰も実際に試してくれないんですが……。ネタじゃなく、本当に合うのに。

シャンパーニュに合うワイングラスの選び方

次はシャンパンのテイスティングです。白のシャンパーニュとロゼ・シャンパーニュに最適なワイングラスを選びます。

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ワインはモエ・エ・シャンドン・ロゼにアンリオ・ブリュット・スーヴェラン!しかもハーフボトルを一人一本ずつ。テンションあがる。アンリオは神の雫にも登場したシャンパーニュメゾンで、以前このサイトでもおすすめシャンパンとしてご紹介しました。いいワインが出てきましたわ。

そして、ワインを並べている方は、リーデル動画で有名な庄司さん。本物だー。・・・お話できなかったなあ。

Youtube Riedel Japanより

1番クープ型(ソーサー型)

クープ型シャンパングラスのリーデル・ヴェリタス クープです。

香りがあまり立たず、酸の強さが際立つだけで、味わいも薄っぺらい。やっぱりクープ型はもはやホストクラブでシャンパンタワーをやるときだけのものなのか。あ、でもカクテルには使えますね。うん、ワイングラスにも「マティーニ」の名前があるし、カクテル用だこれは。

ヴェリタス クープ/モスカート/マティーニ

2番フルート型

フルート型シャンパングラスのリーデル・ヴィノム・シャンパーニュグラス。今までは定番だったワイングラスですね。泡の立ち方はやっぱり綺麗。グラスの底に傷をつけてあるので、すらっとした泡がいつまでも立ち上ります。

しかし味わいは別。白もロゼもどちらも香りが弱い。酸味と泡が強く、シュワシュワスカーッとするだけのように感じます。それがスパークリングの醍醐味だという方もいると思いますが、次のヴェリタス・シャンパーニュで飲むと、たぶんその言葉を飲み込んでしまいます。

ヴィノム シャンパーニュ

3番ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス

真打ち登場です。まずは白のシャンパーニュであるアンリオ・ブリュット・スーヴェランをテイスティング。

・白シャンパンの場合
いやあ、もう香りがぜんぜん違う。何種類ものフルーツ。そして私はトースト香を一番強く感じたのですが、マキシミリアン氏は触れませんでした。あれれ?と思ったら、あとでイーストとか酵母を感じると言っていたので、表現の違いですかね。

泡の感じはほどよくクリーミー、果実味があり余韻も長い。まさにパーフェクトです。白のシャンパンを飲むならこのグラスですね。マキシミリアン氏によると、シャンパーニュ以外のスパークリングワインや、スパークリング日本酒もこれがベストとのこと。

・ロゼシャンパンの場合
対してロゼ・シャンパンである、モエ・エ・シャンドン・ロゼを注いだ場合は、ちょっと泡が舌でパチパチ弾ける感じで、余韻に苦みが混じります。氏はこの3番は、4番のピノ・ノワール用ワイングラスに比べて、泡がアグレッシブでフルーティさが少ないと表現していました。

ただ、私にとってはこの差は許容範囲で、3番ヴェリタス・シャンパーニュ・ワイン・グラスで飲むロゼ・シャンパンは、最高ではなくても、悪くはないと思いました。確かに4番よりも香りとフルーティさが痩せてしまうのですが、フルートグラスで飲んでいたことを思うと、十分満足できる味わいです。

<リーデル・ヴェリタス> シャンパーニュ・ワイン・グラス

4番リーデル・ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール

一番大ぶりなピノ・ノワール用ワイングラス。正式名称は、ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュで、ロゼ・シャンパンもしっかり名前に入っています。

こちらは、先ほどの3番ヴェリタス・シャンパーニュ・ワイン・グラスとは逆で、白のシャンパンだと酸味が強めに出て、苦みもあります。しかしモエ・エ・シャンドン・ロゼ・アンペリアルを注ぐと、なんということでしょう。チェリーなどのフルーツが迫ってくるような香りで、とてもエレガントではありませんか。

マキシミリアン氏も、泡やミネラルが心地よく、料理にも合わせやすいとの評。ドン・ペリニヨンの醸造責任者も、ドン・ペリニヨン・ロゼを飲むならこのワイングラスと言っていたそうです。

この後ロゼ・シャンパンをリンツのオレンジアーモンドチョコレートとマリアージュさせるのですが、香りが飛び抜けてすごかったのが、このワイングラスでした。オレンジピールの香りからオレンジの花の香りへとクラスチェンジ。これはもう一度試したいマリアージュでした。

リンツ Lindt タブレット エクセレンス・オレンジアーモンド ダークチョコレート

ワイングラスの違いはマリアージュにも影響します。絶対にフルートグラスでやってはダメですよ。今回試しましたが、一言でいうと「にがいだけ」です。

ピノ・ノワールの赤ワインとロゼ・シャンパンを飲むならこのグラスですね。

ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュ

ところでどうしてまだフルートグラス造ってるの?

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ここまで味わいが違うのに、どうしてリーデルがまだソーサーグラスやフルートグラスを造っているのか。

これに関しては、飲食店の求めというのが大きいようです。そりゃそうだ。シャンパーニュを卵ボウル型ワイングラスで飲むのはまだ浸透していないし。卵型グラスで出すと「この店シャンパングラス置いてないの?」とか思われるでしょうね。リーデル梅田店のセミナーに参加したときも、「(一般の方も)説明聞かずに、フルートグラス指定で買っていかれる方もいらっしゃいますからねえ」とおっしゃってましたし。

フルートグラスが長年使われてきた理由については、「シャンパンは高いから、細長いフルートグラスなら少量でも満タンに見えてリッチな気分になるでしょ。トリックだね」と軽快トーク。

ちなみにクープグラスについても、砂糖が貴重でクッキーなどの菓子が甘くなかった時代、シャンパンに浸して食べていたのであの形になったとの説明も。シャンパーニュは元々甘いワインだったそうなので。

クープグラスとマリーアントワネットの逸話については、時代を考えると違うんじゃないかなーとのこと。たぶん、ソーサー型はマリーアントワネットの左の乳房からデザインされたとか言われている説のことかと思うのですが。パンがないならケーキを食べればいいじゃないとか、マリーアントワネットは後付けでいろいろデマこかれて散々ですねえ。

リーデルがおすすめするシャンパングラスは?

もう結論は出ていますが、リーデルおすすめのシャンパングラスは、

・白シャンパーニュの場合
3番のヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス
ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス

・ロゼ・シャンパーニュの場合
4番のリーデル・ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール
ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュ

となります。つまりやはりシャンパーニュも葡萄品種によってワイングラスを分けるべき。なのですが、ここで一つの疑問が。

シャンパーニュによく使われるピノ・ノワールは黒葡萄ですが、黒いのは皮だけで中身は透明です。果汁だけを搾って造れば白ワインになります。つまりピノ・ノワールで造られた白シャンパンが存在します。というかかなりある。ブラン・ド・ノワールと呼ばれたりしますが、ピノ・ノワール100%の白シャンパンもあります。さて、この場合はどちらのワイングラスを使うべきなのか?

シャンパン自体が白くても、ピノ・ノワールで造られているんだから、4番のピノ・ノワール用ワイングラスを使うべきだろうと思うのですが、今回飲んだ白シャンパンのアンリオ・ブリュット・スーヴェランも実はピノ・ノワール比率が5割以上のシャンパーニュです(ピノ・ノワールとシャルドネを使用)。これはピノ用の4番よりも、3番のヴェリタス・シャンパーニュ・ワイン・グラスの方が合いました。

セミナー中はアンリオ・ブリュット・スーヴェランのピノ・ノワール比率が高いことに思い至らず、この記事を書いている最中に気付きました。セミナーの記憶をたどると、マキシミリアン・リーデル氏は3番のワイングラスはシャルドネにマッチすると言っていたような気が……。うーん、でもアンリオはピノ比率の方が高いし。シャルドネが強めにでていれば3番、くらいの意味だろうか。この時もう酔ってきていたので自信がない。

幸いにも、今回使用したワイングラスはすべてお土産にいただいたので(ありがたやありがたや)、これからじっくり自分の舌で確かめていくことにします。確信が得られたらここに追記します。

ちなみにロゼ・シャンパンは赤ワインをブレンドする製法がほとんどですので、4番のピノ・ノワール用ワイングラスで間違いありません。

  1. ヴェリタス クープ/モスカート/マティーニ
  2. ヴィノム シャンパーニュ
  3. ヴェリタス シャンパーニュ・ワイン・グラス
  4. ヴェリタス ニューワールド・ピノ・ノワール/ネッビオーロ/ロゼ・シャンパーニュ

シャンパンテイスティングセミナーに参加して

リーデル第11代当主マキシミリアン・リーデル氏は、伝統にとらわれず発想される方です。最後に「伝統はいいが、本当にそれがベストなのかは再考すべきだ」とおっしゃっていたのは印象的でした。実際過去には、足なしのワイングラス「リーデル・オー」を自ら創り出しています。伝統あるリーデルが足のないワイングラスなんて!と反発必至だったと思いますが、カジュアルさと手入れのしやすさで、世界中で絶賛されています。

今回の、シャンパーニュにはフルートグラスという「常識」を打ち破ったことも、思い立ったのはシャンパンメゾンのテタンジェでインターンをしていたときだそうです。曰くテタンジェではスタッフがテイスティングにフルートグラスを使っていなかったと。これはまさにコロンブスの卵で、あとで聞く分には、ああそれでひらめいたのねと感じますが、実際は常識が邪魔をして、なかなか思考がそこにいたりません。やはりすごいセンスをお持ちの方なのだと思います。

ところで今回のスペシャルシャンパンテイスティングセミナーはメディア向けで一般非公開のものと当日知り、びっくりしました(おい)。さらにメディア、ブロガーのほか、インスタグラマーが招待されていると聞いたのが印象的でした。Instagramきてますねえ。10代〜20代の利用が多いので、会場後方にいたお若い女性の方かなーとか想像しておりました。

最後にマキシミリアン・リーデル氏とツーショットで写真を撮ってもらったのですが、「撮ってあげるよ〜」といってくださったのがこちらの超絶イケメン。

Wolfgang J. Angyal

後でサイトみたらリーデル・ジャパン(RSN Japan株式会社)の代表取締役社長ウォルフガング・アンギャル氏でした。うわわ、当主とのツーショットを社長に撮ってもらうなんて……おそれ多すぎる。

創業250年の名門ワイングラスブランド<リーデル>

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